特別講演
半導体産業の動向と当社グローバル戦略
半導体産業の動向と当社グローバル戦略
賀 賢漢
フェローテックホールディングス
代表取締役社長兼グループCEO
ものづくりの現場、中国から日本回帰へ

フェローテックホールディングスは、1980年にアメリカのフェローフルイディクス社が日本に進出して作った会社です。92年に中国の杭州に工場を作り、96年にはジャスダック(当時は店頭市場)に上場しました 。
今まで我々が育ててきた製品のセグメントは三つあります。一つはセミコン(半導体)関係の材料、装置関連、サービス関連。二つ目は電子デバイスで、サーモモジュール、 ペルチェ、磁性流体、パワーデバイスなど。三つ目は自動車関連の応用製品です。中国に11の生産基地があり、売り上げの約8割は中国での生産です。半導体関係では、 大手の装置メーカーやデバイスメーカーに商品を納めています。
中国一国だけでモノを作るということはリスクがあります。 2016年からアメリカと中国の間に貿易摩擦が出てきて、中国のハイテク産業に制裁が何回も行われ、世界のサプライチェーンの環境は一変しました。地域のサプライチェーン(※1)を作るということを考えながら、我々の会社は大きくなってきました。
2022年の1月、当社は日本に回帰することをアナウンスしました。日本にはかなりの市場があり、全世界で日本だけが半導体のチップを作るための全工程を持っています。熊本に建設中の工場では、パーツクリーニングや、石英の火加工と機械加工を行います。石川では第1・第2工場が完成し、セラミックスのアプリケーションや材料関係を作っており、第3工場も決まっています。岡山でも半導体製造装置向け部材「CVD-SiC」の生産を拡張してきました。
マレーシアでも、装置メーカーやデバイスメーカーから「マレーシアに進出してほしい」という強い要望があり、迅速に工場を作りました。ペナン州に近いクリムの工場では、石英やセラミックス、メタル関係の真空チャンバー、ロボット関係、組み立て関係を、2024年1月から生産開始できると思います。
我々が大きなビジネスを展開してきたパワーデバイス基板(※2)に関しても、お客さまの強い要望で、マレーシアのジョホール州に進出を決めました。新しい会社を作り、2023年12月初めに着工します。半導体製造装置部材シリコンパーツの中のボートやフォーカスリングも、一緒にジョホールで生産することを決めました。

人材とM&A、ビジネス成長のカギ
成長するためには、人材が重要です。人材確保のいろいろな優遇政策を出して、新卒も定期採用することが決まりました。初任給は25万円からそれ以上も検討予定です。トレーニングも、社外の第三者のトレーニング機関にお願いしてやっています。開発についても、3年間かけて日本に100人以上の開発センターを作る計画です。
2023年の当社は2200億円の売上高が見込まれています。来年は2700億円、再来年は3600億円を目標にしており、2030年までには5000億円の売上高を必ず実現したいと思っています。
そのためには、新製品をどんどん導入しないと達成できません。我々は、大泉製作所や東洋刃物とのM&Aを積極的にやってきました。これからも関連のあるM&Aはどんどん進めたいと思っています。半導体はいろいろな領域と関係していますので、このビジネスは必ず成長していくでしょう。
日本を「世界で一番強い半導体の国」に
我々は、全世界に販売ネットワークを作り上げていきます。現在のネットワークは北米、ヨーロッパ、東南アジア。メインの市場である日本も強化していきます。中国はアメリカの制裁がありますが、非先端半導体(※3)の市場は大きくなっており、無視できません。中国市場もどんどん開拓していきます。
我々は今、毎年800億円から1000億円の投資をしています。もっとこれから投資して、どんどん新しい生産拠点、新しい製品 、 新しい人材を採用して、M&Aもやっていきたいと思っています。
日本はこれから、世界で一番強い半導体の国になってほしいし、そうなれば我々も光栄です。日本の市場をどんどん開拓していきたいと思っています。
- ※1原料調達から消費者の手元に届くまでの一連の流れ
- ※2電力の制御や変換をするデバイスの基板
- ※3アナログデバイス、パワーIC、オプト、センサー、ディスクリートデバイスなど、非先端プロセスを用いた半導体。レガシー半導体ともいう。
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