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特別講演

水素を日本の次世代エネルギーの切り札に

水素を日本の
次世代エネルギーの切り札に

藤原 正明

サントリーホールディングス
常務執行役員
サステナビリティ経営推進本部長

「天然水の森」からCO2ゼロの「グリーン水素」へ

サントリーグループは、グループ売上が3兆円を超える総合食品酒類メーカーです。サステナビリティの目標においては、人と自然の両輪を設定しています。

画像:サントリーグループのサステナビリティ・ビジョン -人と自然の響きあう社会の実現へ-

NATURE(自然)サイドでは、「水」「容器・包装」「気候変動」「原料」を、PEOPLE(人)サイドでは、「健康」「人権」「生活文化」をテーマとし、「人と自然と響きあう社会の実現」に向けて活動を進めています。

水素を取り巻く社会の動きとしましては、昨年、水素社会推進法が施行されました。化石燃料との価格差を支援する制度や、国・自治体・企業が地域や業種の壁を越えて取り組める枠組みの整備など、企業としても水素社会実現に取り組む素地が整いつつあります。

「サントリーグリーン水素」についてもご説明いたします。水素はCO2を排出せず、水に戻ります。宇宙の元素のうち75%が水素とも言われており、ほぼ無尽蔵です。ロケットエンジンにも使われるぐらいのパワーがあり、抗酸化や還元剤としての用途も豊富です。水がたくさんある日本ならではの、次世代のエネルギー安全保障の切り札となる可能性があります。

画像:水素はさまざまな利点を備えたクリーンエネルギー。エネルギーとして利用したあとは「水」になる。

化石燃料は遠隔地での「採掘」「運搬」「加工」ととても長いサプライチェーンを持っていますが、水素は水と再生可能エネルギーがあれば製造可能です。短いサプライチェーンでの「地産地消」になるエネルギーです。甚大な災害時のレジリエンス(回復力)の強化にも寄与できます。

画像:水素のサプライチェーン

「グリーン水素」は、再エネを活用して製造工程からのCO2排出がゼロの水素です。市場の大半は「グレー水素」で、グリーン水素はまだ1%に満たない状態です。

「サントリーグリーン水素」は、天然水の森で涵養(かんよう)した100%地下水と、山梨県の豊富な太陽光と、水力を活用した100%再生可能エネルギーを、プロトン交換膜(PEM)型の装置で電気分解するというとてもユニークなものです。温室効果ガス(GHG)排出ゼロを実現しています。

画像:山梨県のグリーン水素で、製造工程からGHG排出ゼロを実現

「水と生きるサントリー」として水素の可能性を発信

我々が「水素に取り組む狙い」についてお話しします。「水と生きるサントリー」として、水から生まれ、水に還る新エネルギーとしての水素の可能性をお客様に広く発信し、環境負荷の少ない未来実現へのフロンティアを目指します。

画像:水と生きるサントリーの、水から生まれるエネルギー。

山梨県の再生可能エネルギーの利用状況を見ると、未利用の部分がたくさんあります。貯めることができない再生可能エネルギーを水素に変えることで蓄電の効果が得られ、また県内や首都圏に輸送することにより運搬の効果も得られます。

取り組みは二つのフェーズに分かれます。

フェーズ1では、国内最大級のグリーン水素製造設備「やまなしモデルP2Gシステム」でグリーン水素を製造し、白州内の当社工場で大規模な利用実証を行います。経産省、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)によるグリーンイノベーション基金事業の下、山梨県やコンソーシアム企業と共同で実施します。

画像:25年秋からグリーン水素を自社拠点で利用開始する。

「やまなしモデルP2Gシステム」は、山梨県および技術開発参画会社10社により、水電解装置やボイラーなどを共同開発いたしました。このシステムが24時間365日フル稼働する場合、年間能力として水素製造量が2200トン、CO2排出削減において年間1万6000トンにもなります。

設備は10月11日、無事竣工いたしました。製造した水素は全長約2kmのパイプラインで白州の当社工場へ送り出し、使用を開始しています。まずは水素ボイラーでの活用からスタートいたしますが、物流や他の用途の利用も検討しています。

写真:藤原 正明さん

山梨で「地産地消」、大消費地・東京への供給も

フェーズ2では、山梨県様、やまなしハイドロジェンカンパニー(YHC)様、巴商会様と共に、水素の外販にチャレンジしようと考えています。山梨での地域再エネ製造モデルを検証し、水素の地産地消を実現します。

画像:27年以降、水素の製造・販売にチャレンジする。

東京都内への水素供給も目指します。外販に向けて、長年にわたり水素ガスを含む多種多様なガスをお客様にお届けされてきた巴商会様とタッグを組み、東京都産業局のご支援も受けながら、容器開発・サプライチェーンの整備を進めてまいります。エネルギー大消費地である都内でのグリーン水素需要喚起にも挑戦し、新たなカテゴリーの創造を目指します。

これらが実現しますと、原料である水を生み出す森での水源涵養までさかのぼった「水を育む」「水素を作る」「使う」「運ぶ」「売る」を一気通貫で行う、グリーン水素に関するフルバリューチェーンの会社となります。山梨県様、YHC様、巴商会様と共に新たな価値創造を目指してまいります。

グリーン水素の価値を通して技術発展と地域貢献の両方を実現することで、たくさんのパートナーの皆さんと共に、より良い未来の実現を目指してまいります。

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