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相続税

最終更新日:2022.10.31

産相続した相続人の
確定申告は原則不要!
必要になるケースを確認

遺産相続した相続人の確定申告は原則不要!必要になるケースを確認

このコンテンツでわかること

  • ■ 相続発生時に確定申告が不要な理由
  • ■ 被相続人の準確定申告が必要なケース
  • ■ 準確定申告の流れや期限、必要書類
  • ■ 相続人の確定申告が必要なケース

被相続人が亡くなって相続が発生し、一定額以上の財産を取得すると相続税がかかります。

相続税は10カ月以内に申告・納税しなければなりませんが、よくある疑問に「所得税の確定申告も必要なの?」といったものがあります。

相続税と所得税は課税の仕組みが違うため、相続財産を取得しても、所得税の確定申告は原則不要です。

ただし、特定の財産を相続したときや、相続の状況によっては確定申告が必要になるため注意しましょう。

今回は、相続税申告と所得税の確定申告について、それぞれの違いをわかりやすく解説します。

相続発生時に相続による所得に対しての確定申告は原則不要

一定額を超える財産を相続すると、相続税申告や納税が必要となりますが、相続人本人の相続による所得に対しての確定申告は原則として不要です。

理由は課税対象の違いです。相続税は資産税とも呼ばれ、不動産などの資産を無償で取得したときに課税される税金です。

一方、所得税は給与や事業所得、年金などにかかる税金であり、相続財産には課税されません。

被相続人の確定申告(準確定申告)が必要なケース

被相続人が年の途中で亡くなり、かつ収入があったときは、相続開始を知った日の翌日から4カ月以内に準確定申告と納税をする必要があります。

すでに被相続人は亡くなっているため、準確定申告は相続人が行います。

なお、申告期限に間に合わなかった場合は、無申告加算税が発生します。

また、申告期限の翌日から延滞税もかかるので注意してください。

具体的には、以下のようなケースで準確定申告・納税が必要となります。

  • 被相続人に事業所得や不動産所得があったとき

  • 不動産や株式の譲渡所得(売却益)があったとき

  • 2カ所以上から給与収入があったとき

  • 2,000万円超の給与収入があったとき

  • 確定申告により医療費などの還付を受けるとき

  • 400万円超の年金を受給していたとき

では、それぞれのケースについて具体的な内容を見ていきましょう。

被相続人に事業所得や不動産所得があったとき

被相続人が自営業者の場合や、賃貸アパートや貸駐車場などの不動産所得があった場合は、所得について準確定申告が必要となります。なお、事業所得や不動産所得については、売上から経費を控除した金額が48万円を超える場合に限り、準確定申告を行います。

不動産や株式の譲渡所得(売却益)があったとき

被相続人が不動産や株式を売却していた場合、以下の計算結果がプラスになれば譲渡所得が発生しているため、準確定申告が必要です。

  • 計算式

  • 譲渡所得:譲渡価格-(取得費+譲渡費用)-特別控除額

株式は上場・非上場に関わらず、税率は20.315%(所得税+復興特別所得税15.315%、住民税5%)です。ただし、源泉徴収ありの特定口座であれば準確定申告は不要です。

また、不動産は所有期間によって以下のように税率が変わります。

  • 計算式

  • 5年以下の短期所有:39.63%(所得税+復興特別所得税30.63%、住民税9%)

  • 計算式

  • 5年超の長期所有:20.315%(所得税+復興特別所得税15.315%、住民税5%)

【関連記事】相続した不動産の売却時にかかる税金【計算方法と控除・特例も紹介】

2カ所以上から給与収入があったとき

正社員やアルバイトとして2カ所以上の会社から給与収入があれば、の準確定申告が必要です。

2カ所の給与を合計して申告します。2カ所両方の給与が源泉徴収の対象で、年末調整する方の給与が20万円以下のときは申告不要です。

2,000万円超の給与収入があったとき

2,000万円を超える給与収入がある場合、確定申告が必要とされています。

確定申告により医療費などの還付を受けるとき

被相続人が亡くなるまでに支払っていた医療費や社会保険料については、準確定申告することで医療費控除などの対象となります。

ただし、相続発生後に被相続人と生計を一にする相続人が支払った医療費等であれば、被相続人の準確定申告ではなく、相続人本人の確定申告において医療費控除の対象となります。

400万円超の年金を受給していたとき

被相続人の公的年金受給額が400万円を超えていたときは準確定申告が必要です。

また、受給額が400万円以下であっても、年金以外に20万円を超える所得があれば、準確定申告しなければなりません。

準確定申告の流れ・期限・必要書類

準確定申告は以下の流れで手続きを進めますが、申告が必要な範囲は被相続人の死亡時期によって変わるので注意してください

  • 1月1日から3月15日までに死亡したとき:前年分とその年の1月1日から死亡日までの所得

  • 3月16日から12月31日までに死亡したとき:その年の1月1日から死亡日までの所得

また、相続開始を知った日の翌日から4カ月以内が申告期限になるため、葬儀や法事が落ち着いたら、すぐにでも準備に取り掛かりましょう。

続いて、申告完了までの流れや必要書類を解説します。

代表相続人を決める

準確定申告は各相続人が個別に対応しても構いませんが、代表相続人を決めて申告するケースが一般的です。

必要書類の準備と作成

被相続人の準確定申告には、以下の書類が必要です。

  • 確定申告書

  • 被相続人の所得税および復興特別所得税の確定申告書付表

  • 被相続人の源泉徴収票

  • 収支内訳書または青色申告決算書

  • 被相続人の控除証明書

  • 被相続人の医療費の領収書

  • 他の相続人からの委任状(準確定申告用)

確定申告書は一般的な様式を使いますが、表題には「準」の文字を書き足しておきます。

上部余白には「相続人 ○○○○(個人番号)」のように相続人の氏名および個人番号を手書きしておきましょう。相続人の代表者や還付金の振込口座などは確定申告書付表へ記入しましょう。

また、代表相続人が還付金を一括して受け取るときは、他の相続人からの委任状が必要となります。

画像

確定申告書(国税庁)
被相続人の所得税および復興特別所得税の確定申告書付表(国税庁)
準確定申告用の委任状(国税庁)

所轄税務署へ書類提出

準確定申告は、被相続人の最後の住所地を所轄する税務署が申告先となり、以下の方法で書類を提出できます。

  • 税務署の窓口へ直接提出

  • 郵送による提出

  • e-Tax(電子申告)

【関連記事】準確定申告とは?期限や申告方法・必要書類をわかりやすく解説

相続人の確定申告が必要なケース

相続財産に所得税は課税されませんが、以下のように相続財産から収入が生じる場合や、税金の還付を受けるケースでは確定申告が必要となります。

  • アパートなどの収益物件を相続したとき

  • 相続財産を売却して利益が発生したとき

  • 被相続人が被保険者となっている保険金を受け取ったとき

  • 被相続人の未支給年金を受け取ったとき

  • 相続財産を換価分割したとき

  • 相続財産を寄附したとき

それぞれのケースをわかりやすく解説しますので、申告漏れがないように注意しましょう。

アパートなどの収益物件を相続したとき

賃貸アパートや貸駐車場などを相続した場合、土地や建物は相続税の課税対象ですが、相続開始日以降の賃料収入は相続人の所得となるため、確定申告が必要です。

収益物件の確定申告には2パターンあり、受遺者(遺言書で指定された承継者)が指定されていれば、受遺者の所得として確定申告を行います。

遺言書がなく遺産分割協議を行う場合、相続人が確定するまでの間は、法定相続分に従って賃料収入を分割し、各自が確定申告を行います。

相続財産を売却して利益が発生したとき

相続した不動産や株式の売却で利益が出たときは、翌年3月15日までに確定申告が必要となります。この場合の利益を譲渡所得といい、準確定申告の場合と同じく以下の計算で所得の発生を判断します。

  • 計算式

  • 譲渡所得:売却価格-(取得費+譲渡費用)-特別控除額

計算結果がプラスになれば所得が発生したことになるため、必ず申告しなければなりません。なお、税率は準確定申告するときと同様です。

【関連記事】相続した不動産の売却時にかかる税金【計算方法と控除・特例も紹介】

被相続人が被保険者となっている保険金を受け取ったとき

被相続人が被保険者となっている保険契約の保険金の受取人と契約書(保険料負担者)が同一人であれば、保険金に所得税が課税されるため、確定申告が必要になります。

異なる場合は、相続税がかかるので、以下の契約例を参考にしてください。

被保険者 契約者(保険料負担者) 受取人 税金
被相続人(父親) 長男 長男 所得税
被相続人(父親) 被相続人(父親) 長女 相続税

なお、保険金の受け取り方法によって、所得の種類が異なります。一時金として受け取った場合は一時所得、年金で受け取る場合は雑所得となります。

被相続人の未支給年金を受け取ったとき

未支給年金も相続人の一時所得となります。一時所得の総額が特別控除の50万円以下であれば申告不要です。

相続財産を換価分割したとき

主な相続財産が不動産のみであり、公平な遺産分割ができないときは、不動産を売却(換価)して現金化し、その現金を分割するケースがあります。

このような分割方法を換価分割といいますが、一度、相続人名義に変更した上で不動産を売却するため、利益が発生したときは相続人の所得となります。

つまり、譲渡所得税の課税対象となるため、不動産を売却した年の翌年3月15日までに確定申告しなければなりません。

相続財産を寄附したとき

相続財産を国や地方自治体などに寄附したときは、寄附金控除を適用できます。

なお、控除の対象となる寄附先には以下のような法人や団体があります。

  • 国や地方自治体

  • 認定NPO法人

  • 公益財団法人または公益社団法人

  • 社会福祉法人

  • 学校法人

  • 日本赤十字社の支部

  • 政党および政党支部

  • 政治資金団体 など

まとめ

確定申告が必要かどうかは相続財産の種類や相続状況によって変わりますが、申告経験がない方にとっては負担の重い作業となります。

場合によっては相続税申告・準確定申告・相続人の確定申告すべてに対応しなければならず、申告期限は違っても準備を並行するケースがあるでしょう。

申告期限に間に合わなかったり、過少申告や申告漏れが発生したりすると、延滞税なども加算されるため、かなり割高な税金を納めることになってしまいます。

仕事が忙しくて時間を確保できない方や、申告書の作成に不安がある方は、税理士への依頼も検討しておきましょう。

税理士 古尾谷 裕昭
  • この記事の監修者

  • 税理士 古尾谷 裕昭

VSG相続税理士法人
代表 税理士

2006年に古尾谷会計事務所開業。現在は、相続を専門とするVSG相続税理士法人の代表税理士。
税理士・司法書士・弁護士・行政書士・社会保険労務士・不動産会社が在籍し、相続税申告のみならず、相続登記、相続争い、遺言書作成、信託、資料収集から不動産売却・コンサルティングまで様々な業務に対応。年間申告件数3,000件以上。

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