
【第2回】そもそもお金って何ですか?
大昔にはお金というものはなく、常に物々交換でした。だけど物々交換は大変効率が悪く、難しい。例えば魚を持っている人が肉を食べたいというとき、肉を持っていて魚を食べたいなって思う人と会わないといけない。
その時に一番いいのは、とりあえずみんなが欲しがるものに交換しておくことですよね。みんなが欲しがるものに代えておけば、いつでも交換できる。これが日本の場合、最初は稲つまりお米でした。そのころは稲のことを「ネ」と呼んでいたと考えられています。それがやがて値段の「ネ」の語源になりました。
もうひとつみんなが欲しがるもの、それが布です。布を切ったり貼ったりすれば、着る物に変えられますよね。紙幣の幣という字は布という意味なのです。とりあえず稲か布に交換して、だれかこれを肉と交換してくれないかと市場の中で言ってみる。こういうことからモノとモノの仲立ちが生まれたんですね。

これが例えば中国だと珍しい貝殻が選ばれました。「子安貝」のことです。キレイでみんながほしがるから、とりあえず子安貝に変えておけば、その貝で何か他のものを買うことができる。これがお金の起源になります。
だから漢字でお金に関する文字には全部貝が入っています。貴重品の貴の下、貨幣の貨、購買の購、買うという字の下。売るという字も昔は下が貝でした。貧しいの貧もそう、全部貝が入っています。
また、古代ローマでは兵士への給料は塩でした。とりあえず塩を持っていれば、貴重品だから他のものといつでも交換できる。ラテン語で塩のことをサラリウムといいます。そこから英語の「サラリー」という言葉が生まれました。
そうすると、やっぱり一番いいのは金や銀なんです。金・銀・銅です。
すぐに手に入らないし、そこらへんに転がっていない。かつ古代の幼稚な技術でもすぐに溶かして一定の形にすることが出来ました。だから通貨として、お金として使われるようになってきたのです。日本でも、結局は金貨や銀貨が使われるようになりました。
始めた当初はよかったのですが、大規模な商取引になると、金貨・銀貨・銅貨をジャラジャラ持って歩くのは危ないですね。重いですし、途中で盗られるかもしれない。そうするとたくさん持っているお金持ちのところに行って預けるんです。
そして、そのお金持ちが「確かに預かりました」と預かり証を紙に書いてくれる。その紙さえ持ってくれば、いつでも金と交換してくれる。この預かり証がまさに信用になるんです。
預かり証を持って行けば金に換えてくれますけども、どうせそうなら換えなくてもいいわけです。それまた別の買い物に使えばいいわけです。そうして預かり証自体がお金の価値を持つようになっていきます。これが紙幣のはじまりです。
次回は紙幣についてより深く学んでいきます。