
【第3回】紙幣はいくらでも発行できますか?
前回取り上げた「預かり証」には、この金額と同じだけの金と変えてあげますよと書いてありました。これを「兌換紙幣(だかん・しへい)」といいます。兌換とは、交換する、取り換えるという意味です。
明治維新後にできた日本中のいろんな銀行は、もともとは両替商でした。両替商は自分が持っている金を担保に、それぞれが勝手に紙幣を発行していたのです。
そうすると中には悪いことを考える人が出てきます。持っている金の量以上にお札を刷ってしまう、なんてこともありました。
その地方でお札がいっぱい出回ると、「ほんとに金があるのだろうか」「取りあえず金に換えておこう」となり、取りつけ騒ぎが起きて、つぶれる銀行が出てきました。あそこがつぶれたらこっちは大丈夫なんだろうかという形で金融不安が広がります。
となると、明治政府としてはお札を発行できるところを、一つだけにしたほうがいいと考えます。国の信用がバックにある、ちゃんとした銀行だけがお札を発行できるようにしよう。それで中央銀行として日本銀行が誕生したわけです。だから日本銀行だけがお札を発行できる。他の銀行はお金の貸し借りはするけれどもお札の発行は出来ないよ、という仕組みになりました。
さきほどの兌換紙幣は、お札を銀行に持っていけば金と代えてくれるという形でした。つまり金本位制でした。
しかしながら、金本位制は第1次世界大戦後に大混乱の中でやめることになります。金本位制というのは、たとえ景気が悪くなったりしても、そこの中央銀行が持っている金の量の分しかお金を発行できないわけです。
景気のためにはお金の流れを良くしたほうがいい。ところが金の量しかお金が発行できないから経済が発展しなくなる。だから、もう金の量に関係なくしようとしました。これが金本位制からの離脱です。それによって、兌換紙幣じゃなく不換紙幣、金と交換できないよとなったわけです。
それまで私たちは、千円札はいつでも千円分の金と代えてくれるからこれに価値があると思っていました。ところが金本位制をやめた瞬間に、ただの紙切れになったんですね。ところが、これはお金なんだという信用・信頼は残りました。あえて言えば共同幻想です。みんながお金だと思い込んでいるこのことが、お金として通用し続けていくことができることにつながります。
じゃあ中央銀行、日本銀行はどうやってお札を発行しているか。こちらも同様に金が入ってきたら、その金に相当するだけお札を出していました。でも、もう金以外でもやろうと。ただし、金に代わる価値のあるものが入ってきたら、その代わりにお札を発行しましょうというやり方を取っています。つまり、勝手にお札を刷ってばらまくことはできない。
ではどうやっているかというと、その価値あるものが今は「国債」なんです。
次回は国債について学んでいきます。




