Cashless Talk 1

「あなたはキャッシュレス派、それとも現金派?」

START!編集部

佐藤 元則
NCB Lab. 代表

吉富 才了
電通 ビジネス共創ユニット
キャッシュレスプロジェクト

日本は経済の先進国ですが、キャッシュレスでは後進国といわれています。個人の消費支出に占めるカード・電子マネー決済の割合はわずか20%。韓国は約90%、中国が60%なので、日本は大きく遅れています。

なぜ日本ではキャッシュレス決済が進まないのでしょう。どうすれば、キャッシュレス先進国になれるのでしょうか。そもそも、キャッシュレス社会は、私たちの暮らしにとって便利なのでしょうか。

3月に朝日新聞が主催で開いたキャッシュレスイベントでは、こんな質問がありました。
「給料はやがてアプリでの支払いになりますか」
「みなさん小銭は持ち歩いていますか」
「地方ではどうしたらもっとキャッシュレスが普及するようになりますか」
「中小企業がキャッシュレスにするとどんなメリットがありますか」

このようなキャッシュレスに関する疑問に、世界のキャッシュレスに事情に詳しいNCB Lab.の佐藤元則(さとう・もとのり)さんと、電通ビジネス共創ユニットでキャッシュレス・プロジェクトを推進する吉富才了(よしとみ・まさのり)さんが、対話形式でわかりやすく答えていきます。

ではさっそく第1回のテーマに移りましょう。
今回のテーマは「あなたはキャッシュレス派、それとも現金派?」です。

日本人のキャッシュレス意識は本当に低いか

佐藤:日本人は現金派が多いのでキャッシュレス意識が低い、というのがマスコミの論調ですが、実際はどうなのでしょう。

吉富:今年3月に500人の消費者を対象にインターネットで調査を実施しました。結果は、キャッシュレス派が70%、現金派は30%でした。

佐藤:意外ですね。現金派が多いと思っていたのですが、半々どころか、圧倒的にキャッシュレス派が多い。70%とは驚きです。どんな質問だったのですか。

吉富:「支払い(決済)はできるだけキャッシュレスにしたいか、現金にしたいか」を4択で聞きました。

キャッシュレス派の70%を分解すると、「キャッシュレスにしたい」が38%、「どちらかというとキャッシュレス」が32%。

現金派を分解すると、「どちらかというと現金にしたい」が19%、「現金にしたい」は11%でした。

佐藤:4択で一番多かったのは、「キャッシュレス支払いにしたい」という人たちだったのですね。これはいい。

吉富:かたくなに現金支払いを主張する人たちは、わずか11%。日本人は頑固な現金派が多いと思っていたので、意外な結果でした。

佐藤:現金派の中でも、「どちらかというと現金支払いにしたい」という人の割合が19%と多い。キャッシュレスの利便性がわかれば、この人たちはキャッシュレスに傾くかもしれませんね。頑固な「現金派」はともかく、残りの89%は、キャッシュレス派と考えられなくもない。

吉富:キャッシュレスを推進する我々にとって、この結果はとても心強いですね。

佐藤:「現金派」「キャッシュレス派」に、性・年代別の特徴はありますか?

吉富:男女別にみると、「キャッシュレス派」は、男性の方が女性より多く、年代別では、若年層の方が「キャッシュレス派」が多いことがわかりました。

佐藤:朝日新聞のキャッシュレスイベントでも「使い過ぎが心配で、あまりキャッシュレス化できていません」という女性がいました。このような方にキャッシュレスの利便性や安全性を知ってもらう必要がありそうです。

意識と利用の大きなギャップは何か

佐藤:日本人のキャッシュレス意識は高い、ということがよくわかりました。しかし、実際には個人消費支出の20%しかキャッシュレスが使われていない。このギャップは何なのでしょう。

吉富:二つの理由が考えられます。いちばんの理由は、キャッシュレス決済の場が限られていること。もう一つは、キャッシュレス決済に対する後ろめたさです。

今回の調査で、百貨店やスーパー、コンビニや商店街、飲食店、交通機関などを利用する際、実際にどんな支払方法を利用しているかを聞きました(複数回答)。

現金の比率が最も高かったのは、「商店街」で77.5%。ついで、「飲食店」が62.5%、「コンビニ」が50.4%で高い。どの決済手段より現金の割合が多かったのがこの3つのカテゴリーです。

逆に現金比率が低かったのは、インターネット通販での支払いでわずか6.4%。次に低いのが通信費の支払いで10.6%、公共料金の支払い17.0%とつづきます。

佐藤:現金比率が低いカテゴリーは、その性質から当然という感じです。でも、商店街や飲食店、コンビニでは、なぜ現金支払いが多いのでしょう。

吉富:コンビニを除き、商店街や飲食店では、キャッシュレス決済を受けつけていないところが多いからです。なぜ現金を使うのかその理由を聞いたのですが、商店街では53.1%、飲食店では26.5%が「現金しか使えないので」、と回答しています。

佐藤:コンビニはカードだけでなく、電子マネー、最近話題のモバイル決済も使えるはずです。どういう理由で現金支払いが多いのですか。

吉富:それはギャップの二つ目の理由、キャッシュレス決済に対する後ろめたさからなのです。

コンビニで現金を利用する一番の理由は、「支払金額が少額なので」(52.1%)でした。
また、スーパーやショッピングモールでも、31.6%の人が、同じ回答をしています。

佐藤:日本人特有の過剰な謙虚さから、現金を使ってしまう。コンビニやスーパーなどはキャッシュレス決済を使ってほしいはず。もっと、堂々とキャッシュレスを使うべきですよね。

次回のテーマは、政府が消費増税対策として打ち出しているキャッシュレス決済の施策についてです。消費者は内容を理解しているのか、増税後もキャッシュレスは使われるのか、インセンティブ期間が終わった後もキャッシュレス決済を使いつづけるのか。これらを解説していきます。

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