Cashless Talk 3

今、急成長しているモバイル決済はどれくらい使われているのか?

START!編集部

佐藤 元則
NCB Lab. 代表

吉富 才了
電通 ビジネス共創ユニット
キャッシュレスプロジェクト

キャッシュレスに関する疑問に、世界のキャッシュレスに事情に詳しいNCB Lab.の佐藤元則(さとう・もとのり)さんと、電通ビジネス共創ユニットでキャッシュレス・プロジェクトを推進する吉富才了(よしとみ・まさのり)さんが、対話形式でわかりやすく答える「Cashless Talk」。今回のテーマは「次々と新しいサービスが生まれるモバイル決済の使い方は?」です。

モバイル決済アプリのダウンロードは過半

佐藤:最近はモバイルQRコード決済を中心に、次々と新しい決済サービスが生まれていますよね。

吉富:はい。EC系や通信系に加えて、銀行系や流通系など、さまざまな事業者がモバイル決済アプリをリリースしています。

佐藤:生活者はこのようなモバイル決済アプリをどの程度活用しているのでしょうか。

吉富:今年7月に全国1,000人の消費者を対象にインターネット調査を実施しました。「現在、あなたのスマートフォンにはモバイル決済アプリがいくつ入っていますか」という質問に対し、以下のような回答を得ました。

1つ以上アプリを導入している人は51.0%と、2人に1人はモバイル決済アプリをスマートフォンに入れていることがわかりました。内訳としては、1つの人が19.3%、2〜4つは27.0%、5つ以上入れている人は4.7%という結果でした。

いっぽう、スマートフォンを持っていない人は9.1%、スマートフォンは持っているがモバイル決済アプリをいれていない人は39.9%と、まだまだ伸びしろがあることもわかりました。

佐藤:使うかどうかは別にして、アプリをダウンロードした人が過半という数字は、それだけモバイル決済に興味を持った人が多いことを物語っていますね。特に2つ以上のスマホ決済アプリを入れている人は31.7%と、いろいろなモバイル決済を試してみたいと思っているようです。

モバイル決済を使ったことがある人は3人に1人だが

佐藤:アプリをダウンロードした人の割合はわかりました。では、実際にモバイル決済を使ったことがある人はどれくらいいるのでしょうか。

吉富:直近1カ月以内にモバイル決済を使ったことのある人は、37.8%でした。51%の人はアプリをダウンロードしていますが、使っていない人も少なからずいます。13.2%の人が何らかの理由で使っていません。

佐藤:その理由を突き詰めれば、もっとモバイル決済の利用は増えるでしょうね。ところで、モバイル決済が利用されている理由は何かわかりましたか。

吉富:はい。モバイル決済アプリの利用理由のトップは、「キャンペーンに魅力を感じたから」で、44.7%を占めました。つづいて、「使い慣れているから」(35.2%)「通常の還元率がいいから」(34.7%)「アプリの使い勝手がいいから」(29.1%)といった結果でした。

佐藤:この結果を見ても、20%還元や70%還元などの魅力的なキャンペーンは効果があることが伺えますね。そのいっぽうで、「通常の還元率がいいから」(34.7%)と「使い慣れているから」(35.2%)という人もいます。適度なインセンティブを継続することが必要だということでしょう。

また、「アプリの使い勝手がいいから」(29,1%)というのは、モバイル決済にとって大切なことです。アプリの登録が複雑であれば、離脱してしまう。利用時に手間がかかれば使われない。そういう所に心くばりができているアプリは使われるようです。

インセンティブだけではなく、アプリにももっと注力すれば利用は拡大するでしょう。

吉富:今回の調査では、「モバイル決済の使い分け」についても聞いてみました。「モバイル決済アプリを使い分けるタイプ」と回答した人は全体の48.0%で、「特定のモバイル決済アプリを使うタイプ」(38.6%)を上回りました。

佐藤:なるほど。モバイル決済アプリ利用者の過半は、現時点では、キャンペーンによって、スマホ決済を使い分けているという状況ですね。モバイル決済の勝者は、いまだ決まっていないといっていいでしょう。

モバイル決済を最もよく使う場所は?

佐藤:直近1カ月のモバイル決済利用者は37.8%もいることがわかりました。この人たちはどこでモバイル決済を使っているのですか?

吉富:はい。そこで「あなたは、モバイル決済(QRコードや非接触タッチ決済)を、どのような店舗やサービスで利用されていますか。あてはまるものをすべてお知らせください。」という設問で聞いてみました。

その結果、モバイル決済が最も使われているのはコンビニで46.8%という結果でした。つづいてドラッグストアが20.9%、飲食チェーンが12.5%の順で高いことがわかりました。

佐藤:これはなかなか興味深い結果ですね。さまざまなコンタクトポイントの中でも、比較的日常使いが多く、小口決済が多い場所が選ばれていますね。

なかでもコンビニエンスストアが、最もモバイル決済を使う場所となっています。モバイル決済事業者との共同キャンペーンが功を奏していますね。コンビニ=モバイル決済という行動パターンができつつあります。

吉富:キャッシュレス推進に小口決済の脱現金化はとても重要です。そういう視点からみると、コンビニやドラッグストアでの利用が多いのは、キャッシュレスが進む兆しと言えるかもしれません。

佐藤:英国ではキャッシュレス推進のために、小口決済の現金取引をモバイルと非接触で駆逐するという方針を数年前に打ち出しました。その成果が現れて、急速にキャッシュレス化が進んでいます。

実際、英国の2017年の現金決済件数は前年比15%も減少しています。2018年1月から9月までのATMからの現金引出件数も前年同期比5%以上の減少、金額では3.5%のマイナスだったのです。

吉富:モバイル決済の普及は「キャッシュレス・ジャパン」の推進に、ますます重要になってきますね。

次回は、お店のキャッシュレス意識についてです。キャッシュレス決済に対して、決済を受付ける中小事業者はどの程度関心を持っているのでしょうか。調査結果をもとに解説していきます。

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