今年はもう、ふるさと納税の手続きを済まされましたか? 居住している自治体に限らず、自分で選んだ自治体に寄付をすると、その寄付金額のうち2000円を超える部分については、所得税の還付や住民税の控除を受けられるのが、ふるさと納税の制度です。

年末が近づくにつれ、魅力的な返礼品の特集が組まれたり、過度な返礼品に対する規制のニュースが流れたりと、どうしても“返礼品”に目が向きがちですが、本来の趣旨は「自分の意思で、応援したい自治体を選び寄付ができる制度」。

自治体が寄付金をどう使うのか、より具体的に提示し、賛同者から寄付を募るGCF®(ガバメントクラウドファンディング®)が2022年はすでに530件開設されるなど、ふるさと納税の「使い道」に関心を寄せる動きも広がってきています。地域の伝統工芸を応援したい、鉄道が好き、動植物保全に関心があるなど、あなた自身の思いをふるさと納税に託してみるのはいかがでしょう。

熱いプレゼンが飛び交う! ふるさと納税の優良な取り組みを表彰

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2022年10月、寄付金の使い道やそれに伴う地域の変化など、全国の自治体のふるさと納税への優良な取り組みを表彰する「ふるさとチョイスAWARD2022」が開催され、4つの部門の大賞が決定しました。

「ふるさとチョイスAWARD」は、「ふるさとチョイス」を運営するトラストバンクの主催で2014年にスタート。9回目を迎える今年は全国から132件のエントリーがあり、最終ノミネートされた取り組みの登壇者12人が壇上でプレゼンテーションを行いました。

 返礼品が注目されがちなふるさと納税ですが、その裏側には、地域の課題と向き合い、サステナブルなまちづくりを目指す、各自治体や人々の熱い思いやストーリーがあります。そこで今回は、大賞を受賞した自治体の事例を少しご紹介しましょう。

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参加者たちの熱意あるプレゼンに、審査員も真剣なまなざしを送る。

「吉野町のファンを増やしたい!」
ふるさと納税の仕事に魅了されたフレッシュな1年目ルーキー

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吉野町のふるさと納税公式SNSでは、事業者の協力を得ながら、吉野町の風景や返礼品情報を発信。
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ふるさと納税担当者に就任して1年目の担当者の「まちへの思い」「未来への決意表明」を評価する「チョイスルーキー部門」。大賞を受賞した奈良県吉野町の職員、浪花望さんは、3年前に移住体験に参加し、吉野町の自然や人々の温かさに触れて、昨年10月に町へ入職。ふるさと納税の担当となりました。「ふるさと納税で吉野町のファンを増やしたい!」そんな思いを形にするために、この1年で3つの取り組みを行いました。

1つ目は、事業者の募集要項の改正。寄付金を設定できる金額を10万円以下は1000円単位にしたり、出品できる返礼品の数の制限をなくしたりと、8項目を改正。事業者がより参加しやすい体制を整えました。2つ目はSNSの運用。今年7月からはLINEオープンチャットを活用し、事業者にも参加してもらって情報発信を行いました。3つ目は、町内の加盟店で使える電子ポイントが返礼品となった「チョイスPay」の導入です。寄付者の方たちに吉野町に足を運んで地域を身近に感じてもらう機会をつくりたいという思いが込められています。

「ふるさと納税の仕事は、地域の方とたくさん関われるのが本当にうれしい。私も新しく知ることばかりで、楽しくやらせていただいています」と語る浪花さん。これからも「千里の道も一歩から」の気持ちで、できることから挑戦していきたいと抱負を語ります。

チョイスルーキー部門 大賞は浪花 望さん(奈良県吉野町)>>

ふるさと納税をフル活用で地域活性化!
地域商社の設立で培ったノウハウの全国展開を目指す

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茨城県の名産品、さつまいもの苗植え風景。干し芋は境町でも人気の返礼品。
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地域経済の活性化やまちの魅力づくりに貢献した事業者の取り組みが表彰される「チョイス事業者部門」では、「さかいまちづくり公社」が大賞を受賞しました。同社は2016年に茨城県境町などの出資で設立され、道の駅事業、ふるさと納税事業、ものづくり事業に取り組んでいます。

8年前の境町は、将来負担率が184%を超え、破たん寸前の状況にあったそうです。ふるさと納税を積極的に活用するために、道の駅の人気商品を返礼品にしたり、新しく開発した返礼品の工場を建てるなど、町外からの収入を増やすビジネスモデルで財政は改善。同社も売り上げを拡大し、従業員数が3人から168人に増えて地域の雇用に貢献しています。

地域に好循環を生み出すビジネスモデルにヒントを得ようと、町には全国から年間200件以上の視察があるそうです。同社では、蓄積したノウハウを全国に展開するため、一般社団法人の「全国地域ビジネス協会」を今年4月に設立。研修や「地域ビジネスプランナー」検定などを行っています。

代表取締役の野口富太郎さんは「地域を変えるためには、人財育成が非常に重要です。検定試験をとおしてふるさと納税制度のことをまずはきちんと学んでもらい、当事者意識を持って取り組む人材を育てる。また、稼ぐ地域商社を作り、スピード感ある自治体にすること」と言い、この3つのポイントで地域を変えることが日本を変えることにつながると力説します。1自治体に1商社の設立、それが大きな目標です。

チョイス事業者部門 大賞は株式会社さかいまちづくり公社(茨城県境町)>>

フードロス削減プロジェクト「コバヤシB印」が人気の返礼品に!
ユニークな取り組みで持続可能な地域をめざす

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恵まれた環境の中、農薬に頼らない野菜作りに取り組む生産者。
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商店に設置されたコバヤシB印コーナー。

自治体職員の取り組みに対して送られる「チョイス自治体職員部門」の大賞は、宮崎県小林市の佐藤友和さん。民間企業への出向を経て、昨年に復職。「民間での経験は自分の街をふかん的に見る機会になった。いろんな魅力が詰まっている地域だと気づくことができたので、その経験が生きていると思います」と話します。

ふるさと納税の担当に戻った佐藤さんを待っていたのは、寄付金の減少や事業者の離脱といった現状。その流れを変えるために目標を設定し、関係者の意識を変えるさまざまなチャレンジに取り組みました。

その一つが、SDGsの視点を取り入れた「コバヤシB印プロジェクト」。事業者が製造過程で生じる規格外品の取り扱いに苦慮していることを知り、規格外品や消費期限の近づいたものを返礼品として出品しました。フードロスの問題へのメッセージに対する反響は大きく、地元の商店にもB印コーナーが設置されるまでに至りました。

そのほかにも、地域課題の解決を目指す起業家をふるさと納税で支援するプロジェクトや、学生と一緒に地元の未来を考えていく取り組みを実施。2011年の寄付額は前年比2倍以上の14億円に達しました。

佐藤さんは「地域の持つ課題も、地域の個性。そういった個性を認め、地域と一緒にその価値を最大化していきたいと考えています。ふるさと納税というツールを使って、未来に向かって持続する地域を、今後も皆でつないでいきます」と話していました。

チョイス自治体職員部門 大賞は佐藤友和さん(宮崎県小林市)>>

ふるさと納税を活用し、高齢者の運転事故を防ぎたい!
全国初・自動運転バスが定常運行する町へ

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自動運転バスを運行させることで、誰もが生活の足に困らない町へ。
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ふるさと納税を活用した未来へのまちづくりを表彰する部門では、茨城県境町が大賞を受賞しました。同町では寄付金などを使って、自治体としては全国初となる、公道での自動運転バス定常運行を2020年11月にスタート。その取り組みが評価されました。

同町には鉄道の駅がなく、車がないと生活が不便で、高齢者が運転免許を返納したくてもできないという課題がありました。事業を担当した町職員の藤井裕紀さんは「自動運転は前例が少ないために事故やトラブルを懸念する声が多いですが、80代・90代の方が運転する方がリスキーではないかと考えました」と導入の経緯を説明します。

5年間で約5億円の予算が町議会でスピード承認され、運行を開始。徐々にバス停やルートが追加され、同乗する人員などの規制緩和も実現しました。2022年7月には累計乗車人数1万人を達成し、無事故運転を続けています。

境町の自動運転バスの定常運行は多くの地域の関心を集め、今後は北海道上士幌町や愛知県日進市にも広がっていく予定です。

藤井さんは「スクールバスも、買い物も、病院も、自分で車を運転せずに行ける時代が来るために。この取り組みは、日本の自動運転のチャレンジでもあると思っています」と語ります。

未来につながるまちづくり部門 大賞は藤井裕紀さん(茨城県境町)>>

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大賞受賞者の方々。左上から時計回りに、チョイスルーキー部門・浪花望さん、チョイス事業者部門・野口富太郎さん、未来につながるまちづくり部門・藤井裕紀さん、チョイス自治体職員部門・佐藤友和さん。

ふるさと納税の「使い道」が、地域の変化を起こしていく

総務省によると、2021年度の全国でのふるさと納税受入額は8302億円(前年比1.2倍)。今年度は1兆円に達しようかという勢いで増えつつあり、ふるさと納税は私たちの生活にすっかり定着した感があります。

トラストバンク代表取締役の川村憲一氏は「ふるさと納税の制度がスタートして、地域の変化が年を追うごとに増え、二次効果や三次効果が起こっています。その地域で可能性が少なかったものが、制度に乗せることで可視化されたり価値化されたりすることも生まれていると、アワードの発表を見て感じました」と語っていました。自治体の活動も年々ブラッシュアップされており、「ふるさとチョイスAWARD」は関係者が情報交換をする場になっているようです。

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受賞者の表彰後のステージでも、川村氏は「今日の発表を聞いて、ふるさと納税は、地域や人が可能性を生んでいる、地域の未来を創っている、地域の頑張る人を応援する。そんな制度だと感じていただけたのではないでしょうか。この制度が、どういうことを生んでいるのか、どんな変化を起こしているかが非常に重要になってくると思います。我々も地域の変化をどんどん届けていきたい」と総括していました。

今回紹介した4つのケースだけでなく、ふるさと納税に取り組む自治体や一つ一つの返礼品には、ストーリーが込められています。「ふるさとチョイス」では、そういった人たちや取り組みの情報をできる限り届けたいという思いから、「使い道をさがす」のメニューをポータルサイトで設けたり、地域の取り組みを広く伝えるイベントを開催したりと、さまざまな工夫をしています。

魅力的な返礼品が多くて、ついつい迷ってしまうふるさと納税。今年の12月のふるさと納税では、ぜひコト(使い道)やヒト(自治体や関係者)にも着目して選んでみるのはいかがでしょうか。