「大切な社員が事故に巻き込まれないように安全運転できているか?」「適切な安全運転指導をすることで事故の削減ができないか?」「効率的な走行ルートによって、コスト軽減ができないか?」。企業の経営層や総務部門の管理者は、このような悩みを持つことが少なくない。
そのような課題の解決策として注目されているのが、トヨタ自動車の通信型ドライブレコーダー「TransLogⅡ(トランスログツー)」を活用したテレマティクスサービス※(以下、テレマ)だ。走行データを車両管理クラウドサービス「TOYOTA MOBILITY PORTAL」へタイムリーに連携・集約ができ、危険運転の把握や車両の現在位置の確認などが可能で、社用車の動きを管理しドライバーの安全運転を見守る。
このサービスを導入して目に見える効果を上げている六合株式会社(名古屋市)と、株式会社洛北義肢(京都市)の活用事例を紹介する。
※テレマティクス=通信を意味するテレコミュニケーションと情報工学のインフォマティクスを組み合わせた造語。自動車などの移動体向けの情報通信技術で、リアルタイムに双方向の通信ができる。
簡単な対策を実施しただけで、短期間の内に危険運転が大きく減少
社員の健康・安全を守る企業を目指す
導入のきっかけは、社員の安全と健康を守るため
75年の歴史を持つ六合株式会社は、マンションや店舗、工場などの新築・改修などを行う総合建設会社で、愛知県をはじめとする東海3県を中心に事業を展開している。
「TransLogⅡ」を装着したトヨタのテレマを、リース契約している社用車10台すべてに導入したのは2021年9月のこと。もともと事故は数年に一度あるくらいの少なさだったが、建設現場に行ったり営業活動したりする時に使う社用車を運転する社員の年齢が、20代前半および50代後半~60代と極端に分かれ、事故を未然に防ぎ、社員の安全を守りたいという経営陣の思いがきっかけだ。
代表取締役社長の横山隆一さんは「高齢のドライバーは、慣れによる不注意など、運転操作に遅れが生じやすい。一方、若いドライバーは、運転技術が未熟なゆえにミスをしやすく、1つ対応が遅れると事故につながりかねません。もらい事故など、自分のミスではない状況でトラブルが起きることもあります。当社は社員の健康・安全を守ることを使命とし、できるだけ長い間、例えば70歳まで元気に働いてもらえるような環境にしたいと思っています。事故を未然に防ぐために、きちんと対策を取っておくべきだと考え、テレマの導入を促しました」と話す。
社長の呼びかけのもと、事故/危険運転削減への対策を検討したのが、取締役総務部長の坂納和則さんだ。「テレマを提供している数社からお話を聞かせてもらいました。その中でTransLogⅡを選んだ決め手は、トヨタレンタリース店さんとリース契約で長いお付き合いがあり、新しいサービスの導入は信頼のおけるところにお願いしたいと思ったからです。また、導入目的は危険運転を減らすことであり、社員を監視するような厳しい設定にはしたくなかったため、当社の目的に合った活用方法をトヨタレンタリース店さんの担当者から提案いただいたことも選定要因になっています」(坂納さん)。
危険運転通知のメールが激減。導入すぐから効果を実感
テレマ導入から1年数カ月経った現在、最も効果が現れているのが危険運転の減少だ。急加速や急ブレーキなどの危険運転で車両に設定以上のG値(加速や減速による負荷)を感知すると警告音が鳴るだけでなく、その直前直後の動画が、TransLogⅡで取得したデータを管理しているクラウドシステム「TOYOTA MOBILITY PORTAL」へ自動送信されると同時に、設定したメールアドレスに知らせが届く。「導入当初は、危険運転を知らせるメールが1日に6、7件届いていました。ところが最近は1週間に3件程度まで減り、工数をかけずとも、TransLogⅡのシンプルな機能を活用するだけで大きな効果を感じることができている」と坂納さんは実感する。横山社長も「社員が運転する社用車の助手席に乗ると、運転が穏やかになったのを感じます」という。
危険運転をした社員への注意喚起は、常に監視をしているわけではなく、本当に危険な運転を行った時にのみ注意を行っている。営業出身の横山社長が、「必要以上の監視によるストレスで営業活動に支障をきたすことは避けたい」という想いからの配慮で「監視しすぎない」スタンスで、日々見守っているそうだ。
トヨタのテレマには、車両・ドライバー別に安全運転診断レポートを表示する機能がある。速度超過や急加速など安全運転関連項目の回数をグラフで示したり、運転結果を点数化した評点を車両(運転者)別にランキングを出したり、一般道と高速道路別に、車両(運転者)毎に運転状況が分かるほか、走行軌跡の確認も可能。例えば、速度超過が多い社員の1カ月間の走行軌跡を見ると、どの道で速度超過しているかが簡単に分かり、具体的に注意を促すこともできる。坂納さんは、この指導に手間がかからない安全運転診断レポート機能を今後、運転教育のために活用したい考えだ。
「テレマの導入は危険運転の抑止力になり、当初の目的は達成できています。導入コストは、事故を防げると思えば高いものではないと思います。1年に1回の事故を防げれば、完全にペイできるものです。まだまだ有効な使い方があるので、もっと掘り下げて学んでみます」と坂納さん。導入後すぐに実感できる「抑止力」を、広く法人の管理担当者に知ってほしいとも話す。さらなる活用で、社員の安全運転への意識はますます高まり、横山社長の描く「長い間、元気に働いてもらえる職場環境」への実現につながっていく。
導入から1年で事故件数が半数以下に
優秀安全運転事業所の銀賞を初めて受賞
注意喚起では減らない事故を減らしたいという思いから導入
けがや病気をした人の治療や障がいのある人たちの日常生活を助ける義手や義足、コルセットなどの装具を製造・販売・開発している株式会社洛北義肢。会社のある京都府内を中心に滋賀、大阪、兵庫県内の病院などにも赴き、医師の指示のもと、患者に装具の採型や採寸、装着、適合などを行っている。会社から病院に移動するだけでなく、病院から病院へと動いて臨床業務をすることもあり、遠方 の病院担当者は長距離運転になることもあるそうだ。社用車を使うのは国家資格の義肢装具士で、20 代前半から30代後半の若い人が多い。
社用車は、トヨタレンタリース店とリース契約の乗用車が30台。課題は事故が多いことだった。事故が起こった時に対応するのは、社用車の環境整備や安全運転の指導などを担当する総務部課長の岡田泰典さん。事故時には警察や保険会社、相手方への連絡をしなければならないし、荷物を搬送途中のクルマが事故した場合には、事故現場に赴き、違う社用車に荷物を載せ替え搬送するなど、煩雑かつ多くの対応に時間を取られてしまっていた。事故を減らすための対応策として、無事故期間の日数をドライバーが目にするところに貼って安全運転の意識を高めようとしたり、社員へ口頭で注意したが、事故は減らなかった。市販のドライブレコーダーを購入したものの事故が起きた際に事故シーンを見て事故の事象・事実確認にしか活用できず、安全運転の徹底・事故の減少には役立たなかったという。
「事故を減らすために、何かできる対策はないかと常々考えていました。そんな時に、トヨタレンタリース店さんからテレマをご紹介いただいたのです。社内には、お金をかけなくても社員が意識を高めれば事故を防止できるという意見もありましたが、トヨタレンタリース店さんの熱心な提案でシステム導入後に事故/危険運転削減への対策が推進できるイメージが湧きました。その内容を会議で伝えたところ了承され、2020年4月に30台の社用車すべてに導入しました。トヨタさんとはリース契約だけでなく、新入社員向けの安全運転講習で指導してもらうなど15年ほどのお付き合いがあり、信頼関係が築けていることも大きかったです」と岡田さんは経緯を話す。
事故が明らかに減り、社員のメンタルケアにも活用
テレマを導入した当初は、社員から、頻繁に警告音が鳴ることについて指摘もあったが、管理者である岡田さんのところには、実際に急ブレーキ急アクセル等の危険運転を知らせるメールが届いていた。その動画を観て、早め早めに具体的な運転指導をするようにしたところ、危険運転を知らせるメールが減っていくように。メールでのお知らせ機能によるタイムリーな運転指導が、実際に危険運転の減少に貢献したわけだ。
「導入当初はひと月に70回ほど来ていた危険運転のお知らせメールが、今では1週間にゼロということもあり、無事故期間の日数は100日まで行かなかったのが、今では200日に近づいています。結果、導入前は年間14件あった事故が、導入した年は4件、その翌年は7件と導入前より少なくなり、自動車保険料の割引率が改善され、以前より保険料が安くなりました。高い保険料を支払うことは会社にとってはコストになりますし、導入の大きなメリットの一つです」(岡田さん)。
事故防止のために導入したテレマだが、社員のメンタルをサポートするという副次的な効果まで生まれている。ある日、赤信号の手前まで減速していなかった社用車があり、岡田さんは居眠りを疑った。その運転者に聞くと、最近よく眠れていないことが分かり、生活指導につながったのだ。「時には、TransLogⅡの映像から気になるつぶやきが聞こえ、こっそりと本人に、しんどいことがあるのか?と聞いたことも。こちらから声を掛けることで話してくれる社員もいて、メンタル的なフォローにも役立っています」と岡田さん。総務部主任の薮純子さんも「メンタルの不調は会社には言いづらいでしょう。総務部としては社員の心に寄り添うことを意識しており、車のシステムを通して大きな事故も防げてメンタルの異変にも気づけていると思います」と話す。
また、テレマには社用車の稼働状況が時間別に分かる稼働レポートや、車両の現在位置をタイムリーに把握できる位置情報もある。これらは社員が無事に担当の病院に着いたのかなどを確認するために活用し、活動を見守っている。
「事故や違反が減り安全運転に努めている企業として、この3月に、自動車安全運転センターの令和4年優秀安全運転事業所表彰の銀賞を創業から初めて受賞しました。ただ、まだ速度超過があるので、走行データを分析して指導に役立てたいと思います」と岡田さんは受賞に気を緩めることなく、安全管理を行っていく。
社用車を持つ法人の課題解決に
「TransLogⅡ」を活用したトヨタのテレマの事例を紹介した。いずれも導入から1年ほどの期間に危険運転や事故が大きく減少し、安全運転対策や事故防止に役立っている。特に危険な運転が発生した時にメールでお知らせする機能を活用したり、車両の位置情報を確認して社用車のタイムリーな情報把握や稼働状況によって適正な活用方法を把握したりできるのが魅力だ。稼働状況がタイムリーに分かることで、例えば物流業界の配送時間の管理がしやすくなるメリットも。また、法制化されたアルコールチェック項目も盛り込まれている運転日報の自動作成や、事故減少により作業/対応工数も減らすことができ、それぞれの法人が抱えている課題を解決に導く機能がある。洛北義肢の岡田さんは「当社は導入後に事故が明らかに減るという結果が出ました。トヨタのテレマは、各法人の特徴に合わせた使い方ができると思いますし、検討中の法人担当者の方にお勧めします」と太鼓判を押す。
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