「ポータブル電源」の市場が盛り上がりを見せている。屋外でも家電製品やスマートフォンなどに給電できる便利さに加えて、コロナ禍に伴うキャンプなどのアウトドア需要や、防災意識の高まりなどが影響しているのだろう。「電源は、水や食料に次ぐ『第3の備蓄』」と提唱する災害危機管理アドバイザーの和田隆昌さんとともに、国際展示会に出展した「Jackery(ジャクリ)」のブースを訪れ、話を聞いた。
多種多彩なポータブル電源が登場、
ソーラーパネルも新たな付加価値に
次世代電池の国際展示会は、コロナ禍以前の盛況を取り戻していた。訪れたのは、3月中旬に東京・有明で開催された「バッテリージャパン」。会場で目立つのはやはり消費者向けのポータブル電源で、業界関係者でなくても目を引き付けられる。
和田さんがまず感じたのが、ポータブル電源を出展する企業が急増したこと。「以前のポータブル電源は高価なうえ、利用する場面が限られていました。今はより身近なエントリーモデルから高機能なプロ仕様まで多種多彩な製品が登場し、選択肢が増えてきていますね」と語る。
市場の拡大に伴い、充電速度や容量など性能面でも進歩し、豊富なラインアップの中から普通の家電と同じ感覚で購入しやすくなった。そして、ポータブル電源の新しい付加価値として、ソーラーパネルで発電した電力を蓄えておいて使えることは、選ぶ基準として大きなポイントになっている。
「再生可能エネルギーを利用できることは、エネルギー資源の少ない日本人の意識を変える一助になるのではないでしょうか。個人でも太陽光発電を手軽に活用できるシステムを普及させるという面でも、非常に意義があると思います」
災害に備える「第3の備蓄」としての有用性
ポータブル電源は、北米市場ではアウトドアでの用途が大部分を占めている。日本のマーケットが特徴的なのは、災害時や停電時での利用目的が広がっていることだ。
「日本人はこれまで数多くの大きな災害に遭ってきましたが、実際に自分が被害を受けないと防災の大切さを自覚するのは難しい。準備をしている人としていない人の差は非常に大きく、『第3の備蓄』である電源の準備を皆が考えるべきです。水、食料だけでなく、電源を備蓄することで、明かりや情報入手の手段(スマホ、ラジオなど)もまかなえて、家族や周囲の安全を確保できます」
和田さんが唱える「第3の備蓄」の考え方は、諸外国に比べて停電の頻度が少なく、安定した電力供給が実現している日本では、特に大きな意味を持つ。当たり前のように使っていた電気が停止する可能性があるのが、地震や豪雨などの災害。生活を支えるインフラを維持するために、電源の確保は非常時ほど重要になる。特に夏や冬は、電気がなくなることは生死にも関わりかねない。
防災のための備蓄としての有用性は、ソーラーパネルを併用することでさらに高まる。ポータブル電源の不安要素の一つであった「電源切れ」のリスクを、環境にやさしいグリーンエネルギーによって軽減。安心して電気を使うことができる。
「小さいお子さんや高齢者にとって、避難所は過酷な環境です。しかし、自宅に直接的な被害がなくても、電源を確保できなければ避難所への移動を迫られます。『自宅避難』を続けたい人にとって、ポータブル電源はマストな設備になると思います」と和田さん。寒暖差に弱い種類の犬や植物、熱帯魚などのペットを飼っている人にとっても、電源を確保しながら自宅避難するために必要となるだろう。
「防災のポイントは、周辺環境の災害のリスクと住宅の耐震性・耐火性に大きく依存します。自宅が十分に安全を確保できれば、水や食料とともに電源の備蓄があることによって、インフラ回復が行われるまで、日常により近い形で『自宅避難』を実現できます。企業や自治体にとっても、より速い復旧のために『第3の備蓄』は必須となっていくでしょう」
「第3の備蓄」として有効なポータブル電源+ソーラーパネル>>
1512Whを2時間でフル充電可能な新製品
この日、展示会で訪れたJackery(ジャクリ)のブースは大盛況。和田さんはJackeryについて、「それまで一般にあまり知られていなかったポータブル電源を、ここ数年で一般に広めた立役者。機能や信頼性を満足できるレベルにまで高めたという意味でもリーディングカンパニー」と評価している。
Jackeryの担当者に、最新の製品について説明してもらった。今年1月に発売された「Jackery Solar Genegator 1500 Pro」。ソーラーパネルがセットになっており、容量が1512Wh、定格出力が1800Wで、電気ケトル(1200W)や電子レンジ(1160W)にも対応した製品だ。スマートフォン(18W MAX)を約74回充電でき、サーキュレーター(20W)は約61時間、電気毛布(55W)は約17時間使える。
※上記使用時間および回数は目安の数値です。使用する機器の仕様や電力傾向により異なります。
従来モデルと比べて最大の進化が、充電時間が約4倍に高速化したこと。コンセントやソーラーパネル*1から最速2時間でフル充電することができる。充電池の寿命の目安となるサイクル数も、800から2000と大幅にアップ。LEDライトが搭載され、暗いところでも操作しやすくなったり、冷却効率が30%向上したりするなど、便利さや安全性も向上した。
*1.ソーラーパネル「Jacekry SolarSaga 200」を6枚使用時。
保管時に自然放電が少ないのも特長で、非常時のバックアップ電源としての役割が大いに期待される。和田さんは「いつの間にか放電していて使えないという心配も少ない。月1回など定期的に利用して充電量を確認しておけば、いざという時に役立つでしょう」と語る。
「Jackery ポータブル電源 1500 Pro」とソーラーパネル「Jackery SolarSaga 200」を組み合わせたセット商品。
防災面での活用については、「多くの家電が利用できるのはメリットで、約1800Wだと使い勝手も良いと思います。家庭はもちろん、自治体、避難所などでの使用にも適しています。BCP対策*2を考えている企業なども、ソーラーパネルと一緒に用意しておきたいところです」と解説した。
*2.BCP(事業継続計画)対策とは、企業が自然災害などの緊急事態時の被害を最小限に抑え、事業継続できるよう対策や方法をまとめた計画のこと。
「第3の備蓄」を日常でも使いこなそう
非常時のためのポータブル電源を選ぶコツについて、和田さんは「まずは自分が使う家電をリストアップして、何ワット必要なのか、何時間使いたいかを確認していただきたいですね。ニーズに応じたものを選ぶ方がリアリティーがありますし、買ってから役に立たないということにもならずに済みます」と話す。
もちろん、ポータブル電源は防災のためだけのものではない。自身も趣味でアウトドアを楽しんでいる和田さんは「電源確保のできないキャンプ場で、ポータブル電源は活躍します。ランタンなどの明かりや炊飯器、湯沸かしなど、初心者が火を使わずにキャンプを楽しむことも」と説明する。
期待されるのが、将来的にスマート住宅とポータブル電源が連携することや、普段の生活がもっと便利になるようなニーズの開発。新しい用途は、DIYでの工具の使用、家庭菜園など、個々のレベルでは次々と生まれつつある。「第3の備蓄」は、倉庫に寝かせておくのものではなく、日常生活でもきっと役立つ場面があるはずだ。
Jackeryが提案
「ポータブル電源+ソーラーパネル」のある暮らし
Jackeryの製品は、ポータブル電源8種類、ソーラーパネル3種類とバリエーションが豊富にそろっているので、用途に合わせて選ぶのがおすすめ。セットでの購入はお得になるので、気になる製品をチェックしてみませんか。
和田隆昌(わだ・たかまさ)さん
災害危機管理アドバイザー。アウトドア雑誌の編集者として数々の自然災害現場を取材。防災士の資格を取得後、阪神淡路大震災、東日本大震災、熊本地震などの被災地で得たノウハウを、企業や自治体の防災対策に生かす活動を行っている。講演会、雑誌記事の構成・執筆、テレビ出演など多数。著書に『【最新版】中高年のための 「読む防災」』(ワニブックス)がある。