ライフステージの変化などに伴い、自分らしい、よりよい働き方を模索する30~40代が増えています。そんな転職希望者を支援しようと、人材大手の「マイナビ」は今年1月から新サービス「マイナビスカウティング」の提供を始めました。新サービスのねらいや、これまでのサービスとの違い、転職市場の現状について、同社エージェントサクセス事業部の吉澤伸吾・事業部長に話を聞きました。

30~40代転職希望者のニーズに手厚く

――「マイナビスカウティング」はどんな新サービスですか?

「マイナビスカウティング」は、30〜40代の経験豊富なミドルハイクラスをターゲットとした、転職活動のプラットフォームサービスです。

 転職活動をする際は、転職サイトに登録し、企業の求人広告を見て応募するか、転職エージェント(転職アドバイザー)に求人を紹介してもらうという方法が一般的です。マイナビでも、「マイナビ転職」や「マイナビAGNET」という形でサービスを展開してきました。

新サービス「マイナビスカウティング」は、「マイナビ転職」や「マイナビAGENT」を使った転職者が30~40代になり次のステップへ進む時に利用するような位置づけです。

 サービス内容は大きく分けて二つあります。ひとつは、転職希望者と実績がある転職エージェントをマッチングしていくサービス。もう一つは、採用する企業が転職希望者に直接オファーできるダイレクトリクルーティングです。

マイナビAGENT
マイナビスカウティングのサイトトップ

――これまでのサービスとの違いを詳しく教えてください

「マイナビ転職」は全国に営業所があるので、各エリアに密着した求人広告を多く掲載することができます。エリアも年齢も職種も幅広いという強みがありますが、その幅の広さゆえに、30代〜40代の経験豊富なミドルハイクラスのマッチングが少ないという 課題がありました。

この「マイナビスカウティング」は、ターゲットの年齢を30〜40代、想定年収を600万円以上と設定しています。転職エージェントの登録に審査制を導入するなど、質にもこだわっており、ターゲット層の転職支援をした実績がある100社以下に絞りました。

また、それぞれの転職希望者にあったスカウトをするために、マッチ率を算出したり、スカウトメールの件数を制限したりして、ひとつ一つのスカウトを大切にしてもらう工夫もしています。

「人生100年時代」、これからの人生を応援したい

――そもそも30〜40代にターゲットを絞った理由は?

マイナビは、「マイナビ転職」や「マイナビAGENT」のほか、プロフェッショナルな経験をいかす人材紹介サービス「マイナビ顧問」や「マイナビプロフェッショナル」、フリーランス・副業人材と企業のマッチングサービス「スキイキ」など幅広い事業が展開されているのですが、30〜40代向けに提供しているサービスはありませんでした。

「人生100年時代」といわれる世の中ですから、ミドルシニア層と言われている30〜40代にもサービスを提供していかなくてはいけないという思いが強くありました。

――キャッチコピーは「今よりいい働き方を、今よりいい待遇で。」。そこに込めた思いは? 

これは多くの転職者の方へのインタビュー を重ねる中でわかってきたことなのですが、「マイナビスカウティング」のターゲットである30〜40代で想定年収600万円以上の方々は、「働き方を少し変えたい」「お給料を少し上げたい」という思いはあっても、「年収2000万円をめざす」といった、いわゆるハイクラス転職とはやや距離感がある方が多いことがわかりました。

そこでキャッチコピーには、「今よりいい働き方を、今よりいい待遇で。」という、転職希望者の思いに寄り添ったものを採用しました。CMに関しても、ハイクラスすぎないテイストを軸に、タレントの選定などにこだわりました。

マイナビ1

コロナ禍を経て“理想の働き方”求める傾向に

―――35歳以上の転職希望者が5年で約90万人 増加(※)するなど、30〜40代の転職市場には勢いがあります。その背景には何があるのでしょう?

企業の目線で考えれば、人材不足は常々言われてきています。10年ほど前は「若手が欲しい」と第二新卒を採用する流れが強くありましたが、子どもの数が減っている中、採用はますまず難しくなってきています。

 労働者の平均年齢は、定年延長や終身雇用形態の変化などで上がってきています。企業は人がいなければ倒産してしまいますから、年齢問わず人材を確保していきたいというニーズが高まっているのでしょう。

 以前は「転職35歳限界説」が話題になったこともありましたが、今はそれも崩れてきています。各社がDX(デジタルトランスフォーメーション)化を進めたり、新規事業開発をしたりするために、経験豊富な人材を求めていることも背景としてあげられると思います。

 一方、転職希望者の目線に立ってみれば、30〜40代の転職が増える背景に、働き方の多様化があると考えます。転職を考える中で重要視する項目は「年収」と答える方が一番多いのですが、それだけでなく「リモートで働きたい」「週休3日で働きたい」といった働き方もあわせて考える選択が増えてきています。

 それはやはりコロナ禍の影響が大きかったと思います。毎日出社が義務づけられた企業でも、リモートワークを導入したり、紙の申請をデジタル化したりと、否が応でも変化を求められました。

裏を返せば、社員一人ひとりが「このままの働き方でいいのか」と考えたり、自分にとっての“理想の働き方”を考えるようになったりしたからだと思います。

さらに生成AIの登場などで、自分の仕事や会社は10年後、20年後どうなるのだろうと不安を抱いたり、「キャリアは積んできたが、自分の会社以外でそのスキルが発揮できる自信がない」とおっしゃる方々も30~40代には多くいます。

新サービスの「マイナビスカウティング」では、そうした不安を持つ転職希望者の後押しができるといいなと思っています。

(※)2022年(令和4年) 総務省統計局労働力調査 年齢階級別転職等希望者数より算出

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――「マイナビスカウティング」のめざしている未来を教えてください

たくさんの「働く」をつなげることです。まずはミドルハイクラスの転職希望者と企業や転職エージェントをマッチングさせていく。マイナビの他のサービスと連携していく。そしてサービスを大きく成長させた後、たとえばリスキリングの文脈でミドル向けのキャリアスクールなどにつなげていってもおもしろいかもしれません。

つなげることで「一人ひとりの可能性と向き合い、未来が見える世界をつくる。」というマイナビのパーパスを体現できると思っています。

吉澤伸吾
株式会社マイナビ エージェントサクセス事業部 事業部長。大学卒業後、住宅メーカーを経て、2005年に株式会社毎日コミュニケーションズ(現・株式会社マイナビ)に中途入社。入社以来約16年、マイナビJOB20‘s(既卒・若年層向け紹介サービス)、マイナビ転職(総合転職サイト)、など一貫して中途採用領域に携わる(営業、大手企業向けの営業、キャリアアドバイザー、転職イベントや採用BPO、採用管理システム等の商品企画・企画運営)。2021年2月、エージェントサーチ事業部の事業部長に就任。マイナビスカウティングをはじめ、転職エージェントと求職者のマッチングを様々な形で「つなげる」事業の事業責任者を担当。2022年10月より事業部名称を変更し、現職。

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