手話をひとつの言語として学び、新しい世界を知って、多様性のある社会に貢献したい。そんな思いを抱いた高校生たちが全国から参加する「第41回全国高校生の手話によるスピーチコンテスト」が2024年8月18日に開催されました。事前審査を勝ち抜いた10名の高校生たちが全国から集い、「未来を拓く者の役割」と「挑戦と失敗から学んだこと」をテーマに、手話を通じて伝えたい思いを力強く表現しました。

第1回大会から協賛を続けているのはNECです。単なる協賛だけでなく、グループ会社も含めた多くの社員が毎年ボランティアとして大会に参加しています。多様性を重視するNECが、大会を長年支援し続ける想いとは――。

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「私は今、ボランティアとして――」。

上村優芽(うえむらゆめ)さん(愛知県・桜花学園高等学校2年)は、手話で語り始めました。老人ホームでのボランティア活動でリーダーとなって、イベントをしたときの思い出です。高齢者の方と一緒に手遊びなどをやってみると、難しくてついていけず、説明も速すぎて、あきらめてしまう人もいました。年齢に合った内容を考えられていなくて、うまくいかなかった失敗を振り返ります。「誰かを笑顔にしたいなら、相手のことをもっとよく見て、本当に何を望んでいるのか、何をすればもっと喜んでくれるのかを考えることが大切だと学びました」。みずみずしい感性にあふれたスピーチに、会場からは大きな拍手が起こりました。

将来はホテルで働き、英語、日本語、そして手話を使っておもてなししたいという夢がある上村さん。「これからも新たな出会いと学びを大切にし、挑戦を続けていきたい」と目を輝かせた姿が印象的です。

そのほかにも、全国から選ばれた高校生たちが、いままで体験してきたことから感じた思いを、学んできた手話を使って精いっぱい表現しました。いろいろな立場の人たちがもっと生きやすい社会になってほしいと願う若者たちのまっすぐな気持ちがあふれていて、会場が感動に包まれました。

1984年の第1回大会から協賛

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第1回大会の様子=朝日新聞厚生文化事業団提供

NECが「高校生手話スピーチコンテスト」の協賛を始めたのは41年前。聴覚障がいの方を取り巻く環境が十分に認識されていなかった時代だからこそ、手話の普及と福祉活動に先駆的に取り組んできました。手話の習得やサークル活動に取り組む全国の高校生の活動を奨励するコンテストへの支援です。聞こえる人、聞こえにくい人が共に生きていける社会を目指して活動を続けてきたことが、手話の普及に貢献しています。

コーポレートコミュニケーション部でシニアディレクターを務める岡部一志さんは、「我々が40年以上にわたり、手話スピーチコンテストの協賛を続けてきたのは、どんな人もわけへだてなくコミュニケーションがとれ、互いに認めあえる社会、すなわち、共生社会の実現を目指したいという考え方が社内に深く浸透していたからです」と話します。

大会を支える社員ボランティア

コンテスト当日は、NECグループのボランティア社員たちが、観客を手話で案内する姿や、聴覚障がい者の方と笑顔でコミュニケーションを取る姿があちこちで見られました。今年は約30人のボランティアがコンテストの運営を支えています。

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長く学んできた手話を使いながら、来場者を案内する多田一恵さん

10年以上毎年ボランティアに参加している多田一恵さんは、「手話スピーチコンテストは夏の風物詩のようなもの。これがないと夏が終わらない」と笑顔を見せます。会社のユニバーサルデザインを考える勉強会で手話を習ったことがきっかけで興味を深めて、「高校生の頑張りを応援したい」とコンテストを支えてきました。手話通訳士の勉強をしていたこともあり、挨拶や簡単な手話は自然に使えます。「手話を使ったコミュニケーションを体験することで、視野が広がった」と感じています。NECでは人材育成の仕事をしていますが、「普段の仕事でも相手の立場に立った対応ができるようになりました」として、多様な視点を持つことは仕事にも大きく役立っているのです。

会場の入り口には、入社4年目の藤岡舞さんがいました。手話スピーチコンテストでのボランティア体験は初めて。高校生の時に体験した障がい者支援のボランティア経験を活かしたいとの思いから、参加を決めました。担当は手荷物検査で、来場した方々に、かばんの中に不審物がないかどうかを見せてもらい、安全を確認する仕事です。手荷物検査を依頼するときに、聴覚障がいがあるかどうかを瞬時に判断できず、聞こえない人に話しかけてしまって、意図が伝わらなかったという難しさも感じました。「手話を使って意思疎通ができたときは、相手の方が本当に嬉しそうな表情になるので、こちらも嬉しくなりました」と振り返ります。

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手話と笑顔で手荷物検査への協力を伝える藤岡舞さん

多田さんは、「私も最初はそうでした。見た目では分からないということが聴覚障がいの方の大変なところ。そのため、このイベントでは、声だけではなく手話を使うことで、聞こえる人も聞こえない人も安心して参加できるようにしています」と気づかいを示します。

藤岡さんは普段は、システムエンジニアとして働いています。今回のボランティア経験は、「聴覚障がい者にどうやって対応すればいいのかを学べるきっかけになりました。仕事でもいろいろな立場の方に寄り添い、最適な提案ができるようにしたいです」と語りました。

NECが掲げる「誰もが人間性を十分に発揮できる持続可能な社会をつくる」というパーパスは、社員一人ひとりの行動に反映されています。すべての社員が「自分の役割に応じて挑戦し、責任を果たす」ことを目指していて、聴覚障がいのある社員も多く働いています。多田さんは、「NECでは聴覚に障がいがある社員も内容が理解できるよう、社内イベントには手話通訳がついていたり、手話サークルも活発だったりと、手話がとても身近な存在です。聞こえないことで、聴覚に障がいがある社員が情報から取り残されないよう、社員と会社が協力して働きやすい職場作りをしています。積極的にバリアフリーに取り組んでいることを誇りに思います」と語りました。

共生社会の実現に、テクノロジーでも貢献

コンテスト会場では、NECが開発した「高性能音声解析システム」のデモンストレーションが行われていました。このシステムはAIを活用し、会話している人の言葉を正確に聞き取り、瞬時に文字表示をするシステムです。自由な会話や複数人が参加する会議でも、すぐに文字に起こすことが可能になるため、手話を必要とする人々にとっても大きな助けになりそうです。

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NECの理念を語るシニアディレクターの岡部一志さん

今回、会場にこのシステムを展示した理由についてNECの岡部さんは、「当社は今年創業125年目を迎えるテクノロジーの企業です。共生社会実現のためには、社外の活動を支援することだけではなく、自社のテクノロジーや事業を通じた社会価値創造が重要です。その取り組みの一つをコンテストに参加した学生さんや来場者の皆さまにも知っていただきたいと思いました」と語ります。

インクルージョン&ダイバーシティ(I&D)※を経営戦略の中核に据えているNEC。イノベーションを起こし続けるために、言語も国境も年齢も超えて多様性を認め合う社内の環境づくりを推進しているとともに、共生社会実現に貢献する新たな技術開発にも力を入れています。

※ダイバーシティ(多様性)は、多様な「個」が包括的に尊重されているインクルージョンの状態ではじめて価値を生むと考え、NECグループではインクルージョンを先にして「I&D」と表現

若手社員が語る最新技術で社会に貢献できるやりがい

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音声解析システムを体験するコンテストに参加した学生

高性能音声解析システムのデモンストレーションを担当したのは、入社3年目のAIエンジニアである角南智也さんです。角南さんに、システムの特徴や仕事のやりがいについて話を聞きました。

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開発に携わるAI技術について語る角南智也さん

「音声解析技術は、最新のAI技術を使うことで、文字に変換する精度が高くなっています。『え~』とか『あの~』のような不要な言葉は除去されて、自然な会話を人が文字起こしするのと同等以上の精度でテキスト化。これはNECが掲げるパーパスの実現に関連する技術です。テキスト化することで、オンライン会議の支援にも幅広く貢献しています。会場でも来場者から熱心に質問されて、その期待を肌で感じました」

「大学院でAIを研究していましたが、入社してからは、お客様の要望に対してAIの技術をどう当てはめていくか、創意工夫することに面白さを感じています。AIの世界はアップデートが激しく、うまくいかない課題もあり、失敗もあります。それでも、やりたいことを言えば、やらせてもらえる環境があります。AI の技術を社会に実装して提供できるスキルを日々、身につけています。若手であっても責任のある仕事を任せてもらえるので、やりがいを感じています」

若手の挑戦を支え、多様性ある社会へ

若い高校生たちが、失敗をおそれずに挑戦したからこそ感じられた学びと成長の体験は、手話を通して多くの人の心に届きました。人を大切にして、お互いに支え合うことが社員の心に根づいてきたNECの文化が、手話スピーチコンテストの支援につながってきました。若い人たちに活躍できる場を与え、新しいことに挑戦させる。失敗したとしても、そこから学ぶことで貴重な経験となり、もっと大きな力が育つ。若者が自分の持つ力を精いっぱい発揮することが、多様性ある社会の実現につながるのだという思いを実感できる手話スピーチコンテストでした。

【関連リンクはこちらから】

全国高校生の手話によるスピーチコンテスト(全日本ろうあ連盟、朝日新聞厚生文化事業団、朝日新聞社主催)

NEC Enhanced Speech Analysis - 高性能音声解析 -とは

NECのInclusion & Diversity