木へのこだわりと、高いデザイン性に定評がある住友林業の注文住宅「邸宅設計プロジェクト」が11年目を迎えた。理想の住まいに求めることや、どんな「邸宅」をつくりたいかという考えは、人それぞれに違う。住友林業は、その思いの一つひとつに丁寧に耳を傾け、注文して良かったと心から満足してもらえる家づくりを「邸宅設計プロジェクト」で大切にしてきたという。自らも一級建築士として多くの「邸宅」づくりを手がけてきた設計統括部 兼 技術商品開発部マネージャーの満田(みつだ)憲司さんに話を聞いた。

日本家屋の文化が息づく柱とはりを生かした大空間

お話を伺った場所は、東京都世田谷区にある駒沢公園ハウジングギャラリー内にある住友林業のモデルハウス。住友林業の注文住宅の中でも素材やデザイン性に特にこだわったというワンランク上の自由設計が売りの3階建ての住宅だ。

外側から見ると、建物は重厚でシックなたたずまいだが、玄関をくぐると、床から天井まで続く大きな窓が壁側の一面いっぱいに広がる大空間が広がっている。内壁がない開放感と、木の香りが五感にしみ渡るような圧倒的な木質感が印象的だ。  

満田憲司さん


「むかしの日本の家を思い出してください。日本の家は古来、ふすまと畳敷きの部屋により幅広い用途で利用することができました。時代のニーズやライフスタイルに寄り添い、耐震性や断熱性など家づくりに必要な条件はしっかりと整えながら、こうした日本の木造建築のすばらしさや文化的な伝統についても、住友林業はしっかり継承していきたいと思っています」と満田さんは語る。

室内には大きなソファやダイニングテーブルが置かれ、一見、ぜいたくなしつらえになっているが、その根底には構造材や建材として木をたいせつにしてきた日本の伝統がある。こうした大空間を実現できるのは、伝統的な家造りを支え続け、それを進化させてきた住友林業の独自技術、「ビッグフレーム構法」によるところが大きい。

ビッグフレーム構法は、ラーメン構造というビル建築でも使用されるノウハウを木造建築でも生かした技術で、壁の強さに頼らないでも強い耐震力を維持でき、大きな窓や広々としたリビングを木造住宅でも実現できる。わが家をあこがれの「邸宅」にするには欠かせない、住友林業にとっては宝の技術だ。

体験したい「価値」を実現する邸宅設計プロジェクト

2階にはサウナやトレーニングルーム、3階にはバーコーナーや、半屋外空間を活用したリビングテラスといった5つ星ホテルや高級旅館のような「非日常」を楽しむ空間もある。なかなか自分事とは思えないような演出を強調するのは、ふだん使いをする日常生活の空間のなかに「非日常」を融合させる「提案力」も、住友林業が「邸宅設計プロジェクト」を通じて磨き上げてきた底力といえるからだ。  

満田憲司さん

満田さんは「邸宅」の意味合いについて、「お客様がご自宅でどのような時間を過ごしてみたいと考えているのか。その潜在的な思いをくみ取って、お客様に『自分にとっての本当の贅沢』を実現していただくために設計者がチャレンジをした積み重ねが『邸宅』なんだと考えています」と説明している。サウナやトレーニングルームをセールスしたいのではなく、これまで見聞きしたり感じたりしてきた経験を踏まえ、自分が家を建てるなら家の中でどんな時間を楽しみしたいか、あるいはどんな体験をしたいと考えているのかを丁寧に聞き取り、その夢をかなえていく家づくりを手がけていくプロセスが「邸宅設計プロジェクト」にかかわる醍醐味なのだという。

「ビッグフレーム構法」によって、どの階からも大きな窓から外の緑や空が見える。四季の移り変わりを実感しながら、テラスがあれば家にいながら子どもたちとバーベキューを楽しむという未来を想像することができる。お客様が体験したいと考える「体験価値」に寄り添い、そのお客様にカスタマイズした家づくりを提案するのが住友林業の「邸宅設計プロジェクト」だと説明できそうだ。  

子供たちや友人たちとバーベキューも楽しめるテラス

「昔の日本の家には、よく縁側がありましたよね。部屋の続きのようでもあり、外にいるようでもある『中間領域』の半屋外空間です。縁側に座って、家族どうしで同じ空や庭を見ながら話をすると、会話が弾みやすいと昔から言われてきました。最近の住まいではなかなか広い庭が取りづらいですが、あいまいな中間領域を生かせば、和みの空間が演出できる。こうした提案のノウハウがたくさん住友林業にはあるので、お客様が思い描く未来の暮らしを一緒に考えていきたいですね」

夢づくりを支える充実した専門スタッフ

「邸宅設計プロジェクト」の特徴の一つは、お客様ごとに営業スタッフや建築士、インテリアコーディネーターなどで構成する専任チームが組まれることだ。特にデザイナーについては、デザイン力や設計力が社内でも認められたチーフデザイナーやマスターデザイナーといったトップクラスの経験豊富なスタッフが担当する。満田さんも、これまでに「邸宅設計プロジェクト」の設計を、数多く手がけてきた一人だ。  

「邸宅」のキッチン前でインタビューに応える満田憲司さん

「なぜ経験豊富なデザイナーを選ぶかと言えば、上質な木を使い細部までこだわろうとすると、設計の難易度が高くなるからです。木材は手間をかけて加工することで美しく見えるものです。こんな設計にしたいなら、こんな木材が使えないだろうかとか、どう設計すれば美しく見せられるかといった技は、積み重ねた経験や知識の裏付けがないと身につかないものです」

お客様のニーズを引き出し、 一緒に夢を思い描く「傾聴力」

思い通りの家をつくって夢をかなえるのは一筋縄ではいかない。何かポイントはあるのだろうか。満田さんに聞くと、その答えの一つは「傾聴力」だと言う。

「デザイナーは、お客様の求めているものを上手に引き出すことが大切です。打ち合わせでも気にとめなければ通り過ぎてしまうキーワードを聞き逃さず、丁寧にすくい上げて提案につなげるようにしています。お客様の気持ちの奥に眠ったニーズを探りあて、それに見合った真の「ウォンツ」を提案できてこそ、自由設計で建てた満足感につながると思っています」  

住友林業修正

お客様がかなえたい夢を引き出すために、実際に建てた「邸宅」をお邪魔するツアーも行っている。お客様とデザイナーが一緒になって建設候補地を見学したり、土地の潜在力や難点などを見つけ出して解決策を探ったりすることもあるという。こうした地道な努力が、お客様にとっての「邸宅」を手がけるためには欠かせないのだという。

木質感の快感と、ぜいたくさへの満足感

モデルハウスを見学して感じるのは、木の美しさとぬくもり、そして木に包まれた快適さ。床や天井はもちろん、壁にはめ込まれた木のタイルのひとつひとつにも、立体感のある削りが施され、その陰影は一つのアートのようにも感じ取れる。高級感を演出する素材として木を活用できるのは、木の特性を知り尽くした住友林業だからこその匠の技だ。

「自然素材は触り心地や見た目のぬくもりなど、記憶にも残りやすいですよね。年を重ねるほどに良い味わいになって、愛着が湧くことも利点ではないでしょうか」

満田さんは「邸宅」について、モデルハウスなどで実際に体感してほしいと考えている。木の魅力は、やはり五感でこそ伝わる、と考えているからだ。木だけではなく、計算し尽くされた設計や、細部までこだわった丁寧な「仕事」の数々が一体となって、ぜいたくな空間を生み出していることがモデルハウスでわかってもらえると信じている。

ハードルは高くない。どんな状況でも「お客様と一緒に考える」

はじめてから11年目を迎えた住友林業の「邸宅設計プロジェクト」。スタートから今日までにどんな変化があったのだろうか。

「10年ほど前は必要な部屋数があって、良いしつらえであればご満足いただけた部分がありました。最近は自分たちがどう過ごしたいか、何が体験できるかがより重視されているように感じます。だから、家で趣味を楽しめるというように、どう過ごせるかに重点を置いた提案をするように変わってきました」  

住友林業は駒沢公園ハウジングギャラリーに木の魅力あふれるモデルハウスを4棟構えている


「邸宅」というとハードルが高そうだが、狭い土地など条件が制約されていても実現できるのだろうか。満田さんはほほ笑みながら、こう答えてくれた。「家づくりは、まずはお客様のお話を伺うことから始めます。どんな状況であっても、住友林業は精いっぱい考えますので、まずは気軽にご相談ください」