国内でトップを誇る木材商社の一面もある住友林業。PRIME WOOD(プライムウッド)は、世界中から優れた木を集めることができる住友林業の木材調達力と優れた加工技術から作られる高品質なオリジナル部材だ。PRIME WOODの品質管理や開発のために、世界中を飛び回っている資材開発部の安岡拓也さんに話を聞いた。
※木材国内取り扱い高(2022年12月末時点 住友林業調べ)

上質さと統一感を与えるオリジナル部材へのこだわり

「素足でお入りください」

海老名ハウジングギャラリー(神奈川県海老名市)にある住友林業のモデルハウスの玄関には、そう書かれたプレートが置いてある。その通りに靴を脱いでそのままお邪魔すると、木の床のぬくもりとさらりとした心地良さが足の裏から伝わってくる。

ここのフロア材に使われているのが住友林業のオリジナル部材PRIME WOODだ。その特徴を、品質管理や開発を行っている安岡さんに聞いた。

住友林業資材開発部の安岡拓也さん

「PRIME WOODは、調達から製造まで一貫して住友林業が行っています。これは世界から品質の良い木材を集められる当社の調達力と、建築部材へと仕上げる職人の高い技術力があるからこそ実現できるものです」と安岡さん。

住友林業創業の原点は、今から300年以上もさかのぼる1691年。当時から建築用木材に関わり、現在は日本屈指の木材商社の一面を持つ。

「PRIME WOODのフロア材は、主に広葉樹を使用しています。国内はもちろん、北米やヨーロッパ、東南アジアなど、約15カ国から調達しています」

部材としてそろえた樹種は、オーク・アッシュ・チェリー・チーク・ウォルナットなどの海外産材と、ナラ、タモ、ニレなどの国産材と多彩だ。これだけの樹種をそろえられる住宅メーカーはそうはないらしい。

住友林業資材開発部の安岡拓也さん

「部材の一つという考え方ではなく、室内の“最終的なコーディネート”という点にもこだわっています。樹種の特徴を見極めながら、部材となった時の色合いも調整する」と安岡さん。世に出すまでに何度となく多くの意見を聞き、試作を重ねるという。

自社で部材を開発することで、フロア材やドアなどの建具、天井といった部屋に使う部材を、全て同じ風合いや色味でトータルコーディネートできることが住友林業の強み。そこに空間の統一感が生まれ、木の上質感が醸し出されるという。

森から育て「みんながよろこぶような木の使い方」を目指す

住友林業の調達力の最大のひけつは、国内に東京ドーム1万個以上(約4.8万ヘクタール)もの社有林を持ち、さらに海外にも約24万ヘクタールの森林を自社で管理・保有することで得られる木材に対するノウハウだろう。脈々と蓄積されたノウハウにより、上質な木材を安定的に調達できる。また住友林業では、「森を育てる」ことにも重要な価値をおいている。

住友林業 調達力

「水源涵養(かんよう)という言葉があるのですが、森が荒れると土に水を蓄える力を失って土砂崩れなどが発生しやすくなります。もちろん、それも自然のサイクルだからいいだろうという考え方もありますが、周辺の地域にも大きな問題や災害が起こってしまうこともあるので、森を管理していくことが大切なのです」

また、サイズ、形、見た目などで、部材として使えない部分も他の用途で利用するなど、木材の無駄を極力なくす努力も惜しまない。

「製作工程の中で様々な利用の仕方ができるのは、原材料の取得から部材の製造までを一貫体制で作っている利点ですね。森を育てる人から、製材所、職人と、部材、お客様へと、関わっているみんながよろこぶ木の使い方を目指しています」

天然木の魅力を満喫できる“一品物”に仕上げる職人技

PRIME WOODは手間がかかっても、職人の目で木材を一つひとつ確認し、手作業で仕上げることを惜しまない。そこまでする理由は、どこにあるのだろうか。

「工業化がどんどん進んでいくと、いくら天然素材を使っても画一的な“製品”になっていきます。やはり職人さんが手を入れることで、その木材が“一品物”になるからでしょうね。木は二つと同じものがない。この床板はこの家にしかない。このような考え方は、住友林業の家づくりと合致しています」

住友林業 職人技

PRIME WOODのフロア材には「うづくり」(木目を際立たせる加工)など、職人の手作業が必要な加工をあえて取り入れている。この手間が、量産的なフロア材には出せない美しさとなる。

「こちらの床を触ってもらうとわかるのですが、床にほんの少しだけ凹凸があります。これが日本の伝統技法のうづくり。板の表面に強めにヤスリを掛けることで、木の軟らかい部分が削られ、硬い年輪部分だけが残るので、木目が引き立てられます。素足で過ごしていただきたい理由の一つです」

その他にも、板に波打つような削りを加えることで、独特の陰影と木目を楽しめるスプーンカットなど、熟練の職人でなければ作れない加工も取り入れている。

住友林業のスプーンカット

「職人技だけではなく、独自検査も数多く実施しています。例えばストッキング検査。床でストッキングがひっかかるのは嫌ですよね。だから職人が実際にストッキングをはいて、フロア材の上を歩いて確認しています」と笑う。床暖房に使用するフロア材の耐久テストでは、針一本ほどの板の隙間までチェックが入るほど念入りだ。

木の風合いやぬくもりを感じるオイル仕上げ

PRIME WOODのフロア材の良さとはどういうところか聞くと、「やはりこの木の風合いと、素足で歩いた時に感じる心地良さではないでしょうか」と、いとおしそうに床を見つめる安岡さん。一般的な床よりもマットな質感で、天然木の質感がある。これは自然系塗料を使用したオイル仕上げを採用しているから。

海老名展示場の住友林業ショールーム

「フロア材には、UV塗装と呼ばれる加工もありますが、PRIME WOODはオイル仕上げにもこだわっています。UV塗装は表面が膜で覆われるため、汚れに強くメンテナンス性が高いです。一方でオイル仕上げは、油分を浸透させるため木が持つ素地に近い風合いを楽しめるのが最大のメリットです」

「お手入れも必要ですが、より自然に近い天然木の楽しみ方を味わっていただきたいです。UV塗装もオイル仕上げもどちらも良いですが、個人としてはオイル仕上げがより自然に近いので好みです」

PRIME WOODのフロア材は約30種。家が完成する頃には施工主も、樹種など木に詳しくなっていることもあるという。

家の中に調和の取れた「自然らしさ」を表現したい

住友林業資材開発部の安岡拓也さん

「自分の中では、私たちがPRIME WOODにここまでこだわる理由は、家の中に自然らしさを表現したいからだと思っています。家のふとしたところで、自然を感じてもらいたい。だからこそ、私たちも自然を大切にし、環境負荷が小さいやり方で、木を無駄なく使い切ることを考えながらやっています。そういう背景にも目を向けていただいて、住友林業の家を選んでいただき、日々の暮らしで楽しんでいただけたらと思っています」と安岡さん。

最近ではCO2を吸収し、炭素として固定化できる木材は、建築素材として高層建築でも注目されている。住友林業では、木を育て、木を使い(家を建て)、また新たな木を植えるという「ウッドサイクル」を回すことで、森林による二酸化炭素の吸収量を増やし、脱炭素社会に貢献している。

海老名展示場

「長い時間と、いろいろな人の手を経て作られた床です。床を目的に来るだけでいいので、一度はモデルハウスで体験してほしいですね」

その言葉には、自社の品質に対する並々ならぬ自信が感じられた。