「コレクションの王様」と称されるアンティークコイン。近年、若い世代の間でもコイン収集が人気を集めています。硬貨としての価値だけでなく、デザインや形に時代や文化が反映され、美術品や歴史遺産としての価値も持ち合わせています。そんな不思議な魅力があるアンティークコインをテーマに、美術への造詣が深い脳科学者の中野信子さんとコイン専門店「銀座コイン」の竹内潤社長が楽しく語り合いました。

中野信子
脳科学者、医学博士、認知科学者。東京大学大学院博士課程修了。脳や心理学をテーマにした研究や執筆活動を中心に、『新版 科学がつきとめた「運のいい人」』(サンマーク出版)をはじめとする数々の著書を持つ。東京藝術大学大学院国際藝術創造研究科(博士後期課程)で科学とアートの関係性を学び、個展を開くなど美術の分野でも精力的に活動している。

竹内潤
創業57年目を迎えるコイン専門店「(株)銀座コイン」の代表取締役社長。様々なジャンルの日本古貨幣はもとより、欧米諸国をはじめとする外国コインへの造詣も深い。海外のコインショーにも2か月に一度のペースで積極的に参加している。

歴史を刻むコイン、その美術的価値とは

中野信子さんと竹内社長の対談

中野 美術品に触れる時間が本当に好きで、物事を考えるヒントになる作品を見ると「欲しいな」と強く思います。ただ、アンティークコインには、なかなか手が出せなくて……。コイン収集家の方々は、どのように楽しんでいるのでしょうか?

竹内 アンティークコインは幅が広いです。製造方法や形、デザインは様々ですし、それぞれにストーリーが詰まっていて、1枚1枚のコインに異なる魅力があります。収集方法も様々で、同じコインを年号順に集める愛好家もいれば、イギリスのビクトリア女王の時代のコインだけを集めているファンもいます。中野さんはアンティークコインのどんなところに魅力を感じますか?

アンティークコイン

中野 私が考えるコインの魅力は「時間軸を広げる装置となり得るところ」でしょうか。その昔、私たちの祖先は、美しい貝殻をお金のように使っていました。その貝殻には、どんなものと引き換えにしてでも手に入れたいと思わせるような審美性があったと想像します。長い歴史の中で、食べ物や道具と交換できる象徴的価値を使っているのは、私たち人間だけだと言われています。象徴的価値そのものを実際に食べたり、何か役に立つ道具として使えたりはしないのですが、人々はそれを求め、今の貨幣につながってきた。とてもトリッキーでおもしろいことだと思います。

竹内 1枚のコインから、長い時間を超えて過去や未来に思いを馳せるなんて素敵ですね。では、実際に手に取って見てみてください。今お渡ししたのは、1500年代後半の天正年間に作られた大判です。収集家の間では「天正大判」と呼ばれています。大判は世界の中でも最高サイズの金貨。現在では2,000万円前後で取引されています。

大判

中野 手のひらサイズとは、本当に大きいですね。当時の墨もしっかり残っていて、500年前につくられたものとは思えないくらい美しい。こうやって実際に手に取ると、アンティークコインを収集されている方々の気持ちがわかる気がします。

アンティークコインで「癒やされる」とは

竹内 収集家のみなさんからよく聞くのが、「集めていて楽しい」という言葉です。歴史が好きな人からは、「古銭をながめていると癒される」とも聞きます。他人が持っていない貴重なものを手に入れる特別感や楽しさはコレクションの醍醐味だと思いますが、コインをながめることで癒されるというのは、脳の中で一体どんなことが起きているのでしょうか?

中野信子さんと竹内社長の対談

中野 おそらく側頭頭頂接合部が活発になっているのでしょう。この部分は、立体・空間の認知、時間の認知、安寧の理解などの高次機能を司っていて、さらに創造性にも関わっているのではないかとも言われています。そもそも人間には、「物語によって癒される」という特徴があります。とくに歴史が好きな人にとっては、アンティークコインをながめることで歴史的な背景を思い描いたり、自分なりに点と点を結んで見えざるストラクチャーを発見したりすると、オリジナルなひらめきが生まれているのだと思います。まさに、脳を活発化させるスイッチになっているのでしょうね。

趣味と資産性を兼ねたアンティークコイン

中野 最近は若い年齢層のみなさんもコイン収集を楽しんでいると聞きます。裾野が広がっている理由は何でしょうか?

竹内 よくご存じですね。実は、SNSなどの影響で20~30代の若い層でもコイン収集が盛り上がってきています。海外でもコインのコレクションは盛んなので、店頭には連日のようにインバウンド観光客も訪れます。今のトレンドは大判や小判など、江戸期の古銭。海外の人たちにとっては楕円や四角の日本の古銭が珍しく、実際に購入される方も多いですね。

中野 私もヨーロッパに行った時には、各国のユーロのコインを集めていました。国によってデザインが違うので、それぞれの国の特徴が表現されていて楽しいですよね。

竹内 アンティークコインへの注目が高まっている背景には、個人による資産形成の動きが活発になっていることも一因だと思います。コイン業界は世界的に見ても市場が整理されていて、初心者でも参加しやすいことから、アンティークコインの優れた資産性が評価されるようになってきました。

中野 資産として美術品を所有する人は多いですよね。ただ、基本的に美術品はどれも一点もので、一般的に相場も不安定で投機性が高くなります。なぜ、アンティークコインは安全性が高いと言われているのでしょうか?

銀座コインの竹内社長

竹内 まず、アンティークコインは、種類によって相場がきちんと体系化されているという点があります。基本的な評価基準は古銭としての希少価値で、そこに状態の良し悪しなどが加わります。また、日本でも海外でも、コインの価値を評価する第三者機関がきちんと存在している点も安心材料です。日本なら日本貨幣商協同組合が開催する鑑定委員会に依頼すれば、専門家が鑑定して真贋を保証する証明書(有料)が発行されます。

中野 評価基準がしっかりしていて、第三者機関が公正に鑑定してくれるのなら信頼できますね。資産として持つなら、売買のしやすさも大きなポイントになりそうですね。

竹内 その辺りもきちんと整備されていて、日本国内だけでなく世界中で売買が行われています。当社も店舗での販売・買取のほかに、定期的にオークションを開催して安心してコインを売買できる場を提供しています。

コイン収集を始めるなら「銀座コイン」へ

銀座コインを訪れた中野信子さん

竹内 当店は、1968年創業のコインの買取・販売・鑑定を行うコイン専門店です。もともと銀貨の製造所があった銀座に店舗を構え、「銀座コイン」と名付けました。現会長で父の俊夫が、人気番組の「開運!なんでも鑑定団」(テレビ東京)にコイン鑑定士として出演していたことで全国的に社名が広まりました。今では北海道から沖縄まで全国からお客様が訪れます。店頭には、お土産として手軽に購入できるコインからレアリティの高いコインまで、幅広く取りそろえています。

中野 本当にたくさんのコインが並んでいますね。教科書で習った和同開珎をはじめ、江戸時代の大判、小判や、明治以降の金貨や銀貨など、様々な時代の貨幣がありますね。外国のコインも豊富で、イギリス、フランスなどのヨーロッパの大国、南米やアジアのレアなコインまで、たくさん並んでいて目移りしてしまって大変です。初心者がアンティークコインを購入する際のポイントはありますか?

竹内 よくお客様に伝えるのは、「レアリティの高いコインは処分する時に有利」ということです。例えば、10万円のコイン10枚よりも、より珍しい100万円のコイン1枚を所有する方が、売りに出すときに結果に満足できることが多いと思います。また、最近はネット販売が増え、アンティークコインを気軽に購入できるようになった半面、評価に値しないコインを購入してしまうケースもあります。コインは1枚1枚に個性があって、色合いや雰囲気が違います。特に銀貨は金貨に比べて色が変わりやすいので、店舗で実物を見た方が満足のいく買い物ができると思います。

中野 いいコインをたくさん見て審美眼を磨くことが、長くコイン収集を楽しむ秘訣になりそうですね。美術品として素晴らしいのはもちろんですが、世界的に経済不安が叫ばれる今だからこそ、アンティークコインを持つという選択肢が、私のなかでもはっきりしてきた気がします。

竹内 それは、とても嬉しいですね。もし、「アンティークコインが欲しいけど、どんなものがあるのか、どれを買えばいいのかわからない」といった疑問がわいた際には、気軽に「銀座コイン」にお越しください。どんな質問にもお答えいたします。事前予約は不要ですので、お買い物帰りなどに立ち寄って、実際にご自身の目でアンティークコインを見てみてください。

コインの売買・販売・鑑定は「銀座コイン」へ
銀座コインの皆さん

〔店舗住所〕〒104-0061 東京都中央区銀座5丁目1番地 銀座ファイブ1階

〔営業時間〕11:00~18:30(年中無休)

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