人生100年時代と言われる今、健康的な食生活のキーワードとして注目されているのが「ナトカリ比」です。「高血圧対策」には、ナトリウム(塩分)とカリウム(野菜)のバランスがポイント。7月21日、東京・イイノホールで、なすなかにしのお二人と松村沙友理さん、栄養学を専門とする武見ゆかりさんとともに、野菜の大切さについて学ぶフォーラムが開催されました。
季節の野菜をおいしく楽しく食べて元気に
――日本人は野菜の摂取量が足りていないということですが、皆さん食事では野菜を意識していますか。また、1日の野菜摂取目標量は350グラム以上(※1)と言われていますが、ご自身の摂取量は足りていると思いますか。
松村 仕事先ではお弁当やデリバリーが多いので、野菜を1日350グラムとるというのは達成できていないかなと思います。ただ、私は昔からトマトジュースが好きなので、いつもの食事にプラスしています。トマトジュースにリンゴ酢を入れて飲むとすっきりと飲みやすいので、夏にはおすすめです。
那須 僕は2年前に脳梗塞(こうそく)で倒れました。それまでは健康診断もほとんど受けていなくて。倒れた後は毎日血圧を測っていますし、塩分にも気を使っています。野菜は普段から食べなくてはとは思いますが、なかなか難しいですね。
中西 彼が倒れたのを身近で見ていたため、毎日の健康管理が大切だなとはしみじみ思っています。でも、やっぱり毎日の食事となると忘れてしまいます。ロケ弁が続くと野菜は足りていないだろうなとは思っています。
武見 まず、外でお弁当などを選ぶ時は、なるべく彩りの良いものを選んでみてください。野菜が入るとカラフルになるので、野菜が入っているかどうかの判断材料の一つになると思います。また、最近は野菜のお総菜なども多く出回っているので、お弁当に1品、何か野菜のお総菜やサラダをプラスするのもおすすめです。
“ナトカリ比”を知り、もっと野菜を
――今注目されているナトカリ比という言葉をご存じですか。ナトカリ比の重要性と野菜の魅力について教えてください。
武見 ナトリウムは食塩の主成分、カリウムは野菜や果物、乳製品などに多く含まれるミネラルの一種です。ナトリウムはとりすぎると高血圧につながります。そのナトリウムの排出を促す働きを持つのがカリウムです。ナトリウムとカリウムの摂取バランス(ナトカリバランス)を意識した食生活を今日は覚えて帰ってほしいですね。
中西 ナトカリ比は初めて聞きました。カリウムを十分にとるために、野菜を食べることが大切なんですね。うちでは、妻が料理をする時に子どもと一緒に野菜を切ったりしています。自分で切った野菜だと、子どもは喜んで食べるんですよね。子どものうちから野菜をたっぷり食べて、野菜好きになってほしいと思っています。
松村 私も初めて聞きましたが、今日から早速意識したいと思います。私は最近ゴーヤにハマっていてチャンプルーやゴマあえをよく作っています。野菜は大好きなので、これからも楽しくたくさん食べたいです。
那須 ナトカリ比、まずは意識することがとても大切なんだと実感しました。夏野菜ではネバネバ系のオクラが好きなので、プラス1皿を心がけて積極的に野菜を食べようと思います。
武見 旬の野菜はおいしいのはもちろん、値段もお手頃ですし、栄養価も高いです。野菜にはビタミンやミネラル、食物繊維など健康に欠かせない成分が多く含まれるので、意識しておいしく、楽しく食べていただきたいですね。
<武見先生の基調講演>今日から実践できる減塩とカリウムを意識した食事
日本人の多くが高血圧と推定されています。高血圧は死亡リスクとして最も重要な要因であり、心臓疾患や脳卒中を防ぐためにも、高血圧を予防することが重要です。高血圧予防の大切なポイントとして意識してほしいのが、減塩に加え、「ナトカリ比」です。
ナトカリ比とは、尿中に排出されるナトリウムとカリウムの比のことです。この数値を下げることが高血圧の予防に有効だとわかっています。数値を下げるためには、食事からの食塩を減らし、カリウムを増やす必要があります。
現在の日本人の1日あたりの平均食塩摂取量がどのくらいかというと、男性10.7グラム(目標値7.5グラム未満)、女性9.1グラム(目標値6.5グラム未満)(※2)であり、それぞれ目標よりも3グラムほど多いことがわかっています。一方、カリウムについては、男女ともに1日あたりの平均は2,000ミリグラムちょっと(※2)となっており、目標摂取量の男性3,000ミリグラム、女性2,600ミリグラム(※3)に届いておらず、こちらは不足しています。
日本の成人は、食塩摂取量の6割強を調味料から摂取しています。そこで「味見をせずにむやみに調味料をかけない」こと、「減塩タイプの調味料を使う」ことをまずは実践してみてください。買い物の際や食べる際に「食品表示をなるべく見て意識する」ことも大切です。
カリウムの摂取量を増やすためには、野菜が重要であることは言うまでもありません。
野菜は1日350グラムが摂取量の目標ですが、日本人の平均は260グラム(※2)ほどで約90グラム不足しています。不足分を補うために、私は「プラス1皿」(約70グラム相当)をおすすめしています。カリウムが多く含まれる野菜料理を、毎食ではなく、1日1皿でいいので増やすことを意識してみましょう。また、調理のいらない果物、牛乳やヨーグルトなどの乳製品は簡単にとれますので、ぜひ取り組んでほしいと思います。
日々の食事でナトカリ比を意識し、食塩の摂取量を減らして野菜を多くとることで、健康的で生き生きとした毎日を目指してください。(談)
※1 厚生労働省 健康日本21(第三次)
※2 厚生労働省 令和5年国民健康・栄養調査結果
※3 厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2025年版)
なすなかにし(お笑いコンビ)
2001年結成。いとこ同士の実力派漫才コンビ。小さい頃から仲が良く、「ずっと一緒にいたいから」という理由でコンビ結成。正統派のしゃべくり漫才で知られ、数々の賞を受賞。アドリブやロケに定評があり、TUT「なすなかにしのバズっちゃ!!笑う富山にロケ神様」、TBS「ラヴィット!」、MBS「土曜のあさはほめるちゃん」などにレギュラー出演中。
松村沙友理さん(タレント・モデル・俳優)
1992年生まれ、大阪府出身。2011年に乃木坂46の1期生オーディションに合格し、「ぐるぐるカーテン」でCDデビュー。グループ内で「さゆりんご」の愛称で親しまれ、バラエティ番組でも活躍。13年にテレビドラマデビュー。15年から『CanCam』専属モデルを6年半務めた。21年にグループを卒業。現在は、タレント・モデル・俳優と幅広く活動。
武見ゆかりさん(女子栄養大学 副学長、栄養学部 教授)
慶應義塾大学卒業。女子栄養大学大学院栄養学研究科栄養学専攻修士課程修了。女子栄養大学助手、専任講師、助教授、教授、大学研究科長を経て、2023年より同大学の副学長を務める。「食事バランスガイド」の策定など国の健康・栄養政策、食環境整備に関与。日本健康教育学会理事長。