単なるワーケーションでは終わらない、新たな価値を生み出す仲間やビジネスとの出会いが、長野で待っています――。長野県が推進する「信州リゾートテレワーク」から、新しいビジネス交流イベント「GATE」が始動しました。ワーケーションの利用者がビジネスを通じて地域と深く関わる「つながり人口」の創出を目指すこの取り組み。その記念すべき「第ゼロ回」が7月、長野市のコワーキングスペースで開かれました。

これまで県内の自治体職員を中心に進められてきた学びの場の“垣根”を取り払おうと、県外からも参加者を募り、会のあり方を新たにするためのプロトタイプとして開催された「第ゼロ回」。 県内外の会社員から起業家、クリエイターまで多岐にわたる参加者が、「長野でビジネスにつながるアイデアの創出」という共通の熱意のもと、活発な意見を交し合いました。

あなたの“これ、やりたい”が見つかる? 様々な人たちと交流できる、ビジネスカンファレンスが11月5日に長野・軽井沢で開催!

「長野でテレワーク」をトレンドで終わらせないために

02_031GATE_ok08316
会場の「Terminal51°」は1946年に創業した水島紙店の旧社屋をリノベーションしたコワーキングスペース・シェアオフィス。「ここから目指す未来へ飛び立ってほしい」という思いが込められている

長野県は、コロナ禍以前の2018年から「信州リゾートテレワーク」を推進。県内に滞在しながら仕事をする「つながり人口」や企業の誘致を目的とし、働き方の多様化を促進しています。

「信州リゾートテレワーク」は、普段は都市圏で働く人が職場や自宅から離れ、長野ならではの自然や地域の魅力に触れながら働く、新たなライフスタイルを県内外に発信しています。また、企業のチ―ムビルディング(組織開発)や社員研修、実証実験などの多様なニーズを「信州リゾートテレワーク推進チーム」が長野県全域の市町村や民間団体と連携して受け入れることなどを行っています。

さらに、地域や組織の活性化事例といった最新の知識が学べる大型イベント「クリエイティブコネクト(※2025年11月5日の本イベントは終了しました)の開催など、さまざまな施策を重ねています。このカンファレンスの前後には、県内でのテレワークも体験できます。

これらの取り組みはメディアでも取り上げられ「長野でテレワーク」が流行語として注目されたこともありました。しかし「信州リゾートテレワーク」が目指すのは一過性のブームではなく、その先にあります。

たとえば、コワーキング施設で生まれた人々のつながりをいかに地域経済の活性化に結びつけるか、といったテーマのように、地域内外のビジネスパーソンらによる共創の可能性を模索し続けているのです。「GATE」もこれまでの取り組みによって、つながった人との“縁”を活用したイベントとなりました。

03_121GATE_ok08439
「GATE」ゼロ回には、県内外から30名ほどの多種多様なビジネスパーソンが集まった。経営層、管理職、一般社員とレイヤーもさまざま

「GATE」のルールは、傍観禁止

今回の「GATE」で用意されたテーマは以下の5つ。地域資源、コミュニティ、IT、教育、ワーケーションなど幅広いテーマが設定されました。

・ワーケーション×IT人材の地域への巻き込み方と共創

・地域×"卒業生(アルムナイ)"コミュニティ

・今AIに助けてほしいこと

・千曲川流域のソーシャルプレイグラウンド構想

・5年後の長野県の理想像と最新テクノロジー

参加者は自分の関心のあるテーブルを回り、意見を出し合います。ルールは「傍観禁止」のみ。どのテーブルからも楽しそうな声が聞こえてきます。

04-2_155GATE_ok08549
出てきたアイデアやキーワードを書き出し、つながりを可視化していく。ワーケーション×ITと地域課題をテーマにしたテーブルでは、空き家問題、高齢化、サウナ、コワーキングなどのキーワードが持ち寄られた

地域資源のテーブルでは、千曲川周辺の自然やスペースを活用し「町を遊ぶ」という要素を通じて関わりを増やすことで、豊かなつながりをつくり地域へのコミットを強くしていくことの意義が共有されました。

また、長野在住でなくても、「自分はこんなスキルや経験がある」と会話が自然に盛り上がる場面も多くみられました。

05_191GATE_ok09444
各テーブルのまとめを発表する時間。それぞれの興味関心の領域がゆるくつながり、次第に個人の視点から、町のためになること、地域のためになることと視点の広がりが感じられた。「GATE」はゼロ回をもとに、少人数対話形式のイベントとして今後も継続予定

「GATE」、そして11月に長野・軽井沢で開かれる対話型カンファレンス「クリエイティブコネクト(※2025年11月5日の本イベントは終了しました)の魅力はどこにあるのか。東京から「GATE」に参加し、各テーブルでMCをつとめたconecuri合同会社の高橋龍征さんと、盛川英典さん。そして、長野県でソーシャルビジネス実証事業やまちづくり事業を行う株式会社ふろしきやの田村英彦さんに話を聞きました。

長野には、つながりの「わらしべ長者」的な良さがある

07_081GATE_ok08382
盛川英典さん(左)と高橋龍征さん(右)。盛川さんはAI、高橋さんはコミュニティのテーブルでMCを担当した

――お二人は、長野県に住んで仕事をしてみたいIT・クリエイティブ人材に対し長野県がサポートする「おためしナガノ2024」に参加するなど、長野県のプロジェクトに複数参加していると聞きます。長野にはまったきっかけは何だったのでしょうか。

高橋:僕はリモートワークができるようになってから、5年で50回以上、日本各地でワーケーションをしてきました。東京以外でも仕事ができるなら、地方の豊かな自然の中でおいしいものを食べられるほうが楽しいなと思ったからです。その中で、縁あって「おためしナガノ」に採択されて、長野に集中的に来るようになりました。

盛川:僕はIT系の人材として事業をサポートしてくれないかと、高橋さんに誘われたのが長野にかかわるようになったきっかけです。長野の魅力は、お酒とワインを両方つくっているところだと思います。というのも、僕らは二人ともお酒が好きで、全県に160カ所以上ある酒蔵とワイナリーを巡れるアプリをつくろうと企画したほどです。

――「楽しそう」や「自分はこれが好き」というのがお二人の入り口なのですね。

高橋:そうですね。何度も長野に足を運ぶうちに、人とのご縁がかなり増えました。今は単にテレワークをする場所以上の存在感があります。長野県の魅力として、つながりは大きいと思います。実は「おためしナガノ」に申し込んだのも、長野で知り合った方や県庁職員の方に勧められたのがきっかけなんです。「ここにこんな面白い人がいるよ」と紹介してもらい、その先でまた、紹介があって……と、「わらしべ長者」のように(笑)。

盛川:僕もつながった先で、ある会社との取引がはじまりました。

高橋:僕も盛川さんも、結果的につながりが広がり濃くなって、結果としてビジネスをしていますが、最初から「仕事をつくろう」を前面に出しすぎると続かないかもしれないなと思います。目的は人それぞれでいいのですが、単に売り上げをつくりたいなら、都心部のほうがやりやすいですよね。長野や地方で「共創」を目指すなら、まず現地に来て、交流が深まっていく中で刺激をもらいつつ、自問自答していく。ゆるく長く付き合っていける「こと」を見つけるのが大事なのではないかと思います。それが見つかれば、次は「人」の紹介につながって、アイデアの実現へ向けて動き出すかもしれません。

06_077GATE_ok08359
「ここに来ると楽しい。まずはそういうものを見つけてほしい」と話す高橋さん

――こうしたイベントに参加してみたいけれど、迷っているという人に向けて一言お願いします。

高橋:いつもと違う場所へ行く、違う人に会う。まずは、ちょっとした“いつもと違う”何かをする程度でいいと思います。僕自身も、最初からコミュニティをつくりたかったわけではなく、行きつけのすし屋でたまたま隣に座った人に話しかけたことがきっかけで数百人規模のご近所会を主催するようになっていました。ほんの小さなきっかけが、いつしか大きな変化になっていることがある。みなさんのきっかけを無理なく、楽しみながら見つけてほしいです。そういう意味で、ちょっと場所を変えてみるのはいいですよ。長野はどの場所からでもアクセスがいいし、イベントに参加するという口実で、気軽に来てみては。

盛川:僕が思うのは、何でもやってみないとわからないということ。どんどん人口が減っていく日本では、今自分がいる場所だけで何かをしようとしても、パイの奪い合いになってしまいます。チャンスをつかむために場所を広げることは重要だし、チャレンジし続けることが大事だと思います。

09_077GATE_ok08359
インターネットやテクノロジーの急速な進化を体験してきた盛川さんは「変わらないことがリスク」と話す

ここは「大人の友だち」が見つかる場所

08_107GATE_ok09518
田村さんが「まとめ役」を務めるふろしきやでは「千曲川ゴーランド」や「トレインワーケーション」などを実施している

――田村さんは受け入れ側の事業者として、「信州リゾートテレワーク」と長い付き合いがありますが、あらためて長野という場所は何が魅力だと思いますか?

田村:まず、首都圏から近いのに景色が急に変わるところでしょうか。平野部とは違う高低差、それによる文化や暮らしの違い。少し移動した先で手軽に越境体験できるのが長野の魅力だと思います。

――長野駅で降りると、山に囲まれた景色が現れて圧倒されました。

田村:都会の暮らしでは人口の集積がある分、この場所は誰の場所か、それに伴うルールなどをはっきりと認識して暮らす事が多いですよね。ここでは人の生活圏よりも自然が大きく、人の手が及ばない自然というものを体感できます。自然に包まれることが自分を解放してくれ、素の自分を出し合った気持ちよい関係性をつくりやすいと思っています。ワーケーションを通して「大人の友だち」ができる人も多い。そこが「信州リゾートテレワーク」の良さだと思います。

――「信州リゾートテレワーク」を通じた「共創」の可能性はどうお考えになりますか?

田村:正直に言うと、「GATE」やイベントに参加したから、すぐに何かが生まれるなんてことはないと思います。それはもっと長いスパンでの話ですから。まずは気が合うかどうか、ちょっと試してみようと、長野でワーケーションをしてみる。そして興味を持てたら、次にどんな付き合い方をしていきたいかを一緒に考えていく。そこで一緒に考える場になるのが「GATE」や秋に開催予定の「クリエイティブコネクト」の役割だと思います。

――参加したいなと思っている方へ一言お願いします。

田村:もし何かを変えたいと思っているなら、行動が必要です。けれど、必ずしも大義名分が必要だとは思わないでほしいです。楽しそうだから参加してみるといった、シンプルな動機でいい。「大人の友だち」をつくりに来るとか。そんな能動的な気持ちで来てもらえたら、目の前にいろんなものがあることに気付けるはず。そうなればどこにいても自分の周りの豊かさを感じられると思いますし、自分の「これやりたい」が見つけやすいのかなと思います。

2025年11月開催の「クリエイティブコネクト」に来てみませんか?

差し替えcc2025_OGP

普段の職場を離れ、信州の自然のなかで働く、つながる。
そんな新しいライフワークスタイルを提案する<信州リゾートテレワーク>が、“リアルな共創“をテーマに人とアイデアが交差するビジネスカンファレンスを開催いたします。 

【クリエイティブコネクト概要】
※2025年11月5日の本イベントは終了しました
その"共創"は本物か。
観念を超え、語り、動かしあう。
ビジネスの"共創”のリアルを見る。

日時:2025年11月5日(水) 13:30 〜 16:30
(16:30より事前予約者のみ会費制交流会開催)
会場:軽井沢プリンスホテルWEST バンケットルーム<長野>
(長野県北佐久郡軽井沢町大字軽井沢1016-87)
参加費:無料
募集人数:80名
主催:長野県産業労働部 産業立地・IT振興課