旭硝子財団は、地球環境問題の解決に向けて貢献した人や組織に、毎年2件「ブループラネット賞」を贈呈しています。第34回となる今年の受賞者2人による記念講演が10月30日に東京大学で開催され、高校生や大学の若手研究者ら約200人が聴講しました。講演後には、「高校生記者」として豊島岡女子学園高校の生徒が受賞者へ英語でインタビューし、記事執筆にも挑戦しました。今回は、同校2年の深野紗妃さんが、英国の社会起業家ジェレミー・レゲット博士に行ったインタビュー内容をご紹介します。
「みんなの家、地球」を守る使命感に駆られて
――レゲット博士は大学で教鞭をとりながらシェール層堆積(たいせき)物の研究などをされていましたが、退職して国際的な環境NGOに参加し、その後1997年に太陽光発電開発企業の「ソーラーセンチュリー」を創業されています。なぜ人生のキャリアを変えて地球温暖化対策に力を注がれたのでしょうか?
私が地球温暖化を心配するようになったのは、温室効果ガスの脅威が明らかになり始めた1980年代半ばのことです。温室効果ガスの放出を食い止めなければ、地球の気温は上昇し続け、私たちの住む地球という家を燃やす事態になりかねない、と危機感を募らせました。地球温暖化を止めることこそが自分の使命だと考えました。
――なぜソーラーセンチュリーは成功したのでしょうか。
それは、運ですね。どれだけ努力したとしてもビジネスには運が必要なのです。“You make your own luck(運は自分でつくるもの)”という言葉があるように、優秀な人材を集めることも、成功するための重要な要素です。もし、あなたが将来ビジネスをはじめるのなら、一緒に働く人たちを慎重に選びなさい。その人たちの人柄と能力をしっかり見極めることができれば、幸運をつかむことができるでしょう。
大切なのは「自分の判断を信用しすぎないこと」
――レゲット博士の座右の銘を教えてください。
「自分の判断を信用しすぎるな」ということです。私ひとりで判断するよりも、数人で下す決定の方がよいことが多いので、そこは注意するようにしています。
――なにか決断を下すときに怖いと感じるときはありますか?
怖い?そうですね、重要な決断を誤れば会社が倒産してしまう可能性もあるので、少し怖いと感じることもあります。でも、失敗を恐れてはいけません。私は友人や親しい同僚たちと話し合い、意見を交わした上で判断し、実行に移すようにしています。それで、もしうまくいかなかったとしても最善を尽くしたのですから自分を責めすぎる必要はありません。
平和と自然再生に投資する社会へ
――未来に向けて、どのような社会を築きたいと考えていらっしゃいますか?私たちのような、未来を担う若い世代にメッセージをお願いします。
現在、世界では年間約3兆ドルが兵器や爆弾、航空機などの軍事支出に費やされています。これは地球上のすべての人間1人あたり300ドル以上に相当する金額です。それが戦争や殺し合いのための資金になっているのです。まったく狂った話です。
よりよい社会をつくるために、私たちが何をすべきか──。その答えは、みんな心のどこかでわかっているはずです。戦争をなくすことはもちろん、そのようなお金を学校や病院、そして自然の再生など、社会を良くするために使えたらと思っています。
――私は将来、国際連合で働き、地球温暖化問題の解決や世界平和に貢献したいと思っています。夢を叶える過程で、困難を乗り越えるために大切なことを教えてください。
学校で一生懸命勉強し、大学でもよい成績を取ってください。そして、「自分は国際的な視点を持つ人間である」と人に示す方法を考えてください。希望を持てば、きっと夢を叶えることができるでしょう。とても難しいことではありますが、不可能なことではありません。
ジェレミー・レゲット
1954年生まれ。スコットランドを拠点に自然再生事業を推進する「ハイランド・リワイルディング社」の創設者でありCEO。金融シンクタンクである「カーボン・トラッカー・イニシアティブ(CTI)」初代会長として「カーボンバブル」の概念を提唱し、化石燃料資産における経済リスクを明らかにした。CTIの活動を通じて、化石燃料関連企業などからの投資撤退を促すと同時に、経済活動と環境保全の両立をめざす太陽光発電の会社も設立している。
※この記事は、豊島岡女子学園高校の深野紗妃さん(2年生)が執筆も担当しました。
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啓発支援プログラムのご案内
旭硝子財団では、環境分野の学びを広げる啓発支援プログラムを実施しています。
未来を担う若者たちに地球環境問題への関心を高めてもらい、
その解決に向けた行動を促すため、
専門家による講演や学校での自由研究サポートなどを行います。