幅広い世代に親しまれている明治のお菓子「きのこの山」と「たけのこの里」。「きのこ派?」「たけのこ派?」という問いかけは、生まれる意見の違いをポジティブに楽しむ文化として親しまれてきました。それを学びの場に広げようと、明治は朝日学生新聞社、朝日新聞社と共同で小学生・教師向けの教材を制作。今回、正解のない“サステナブル(持続可能)”な問いをテーマに、横浜市の小学校で授業が行われました。白熱した議論の先に、子どもたちは何を見つけたのでしょうか。
「どっち派?」から始まる楽しい学び
明治は、サステナブルな社会を目指してさまざまな活動を行っています。しかし、「サステナブル」と聞くと、子どもは難しい問題と捉えがち。そこで、これまで多くの人に親しまれてきた会話「きのこの山とたけのこの里、どっち派!?」という文脈を使い、楽しいディベート教材を作りました。教材は小学生・教師向けで、明治、朝日学生新聞社、朝日新聞社と共同で制作しました。
ディベートで扱うテーマは、“サステナブル”に関する身近な問題です。教材に示されたヒントや事例を手がかりに、自分たちの考えを深め、答えのない問いについて、異なる意見を交わしながら互いに認め合う姿勢を学んでいきます。子どもたちが意見を交わし、立場の異なる相手を理解することで、論理的思考力や発言力を育てることが目的です。
今回、この教材を使った授業に挑戦したのは、横浜市都筑区の市立川和小学校の6年生。1~3組の78人がクラスごとにディベートを行いました。テーマは「食品を選ぶときは」です。この教材では、テーマの例やそれに関連した明治のサステナビリティへの取り組みも紹介されていて、子どもたちが社会課題を自分ごととして考えるヒントとして活用できます。
ディベート開始!
どちらの意見に“納得”できる?
いつもは黒板に向かって授業を受けている教室。この日は、「A:自分にとっておいしいもの」と「B:社会や環境にやさしいもの」の二つのチームが向かい合う形で机を並べました。両チームの間には、どちらの意見により納得できたかで勝敗を決める「C:ジャッジ」チームが座ります。教室には、「おもしろいことが始まりそう」という空気が満ちていました。
ジャッジを納得させるには、根拠のある意見が必要です。その準備として行うのが、「知識のブキ集め」。子どもたちは、ディベート本番を迎えるまでに意見の土台となる事実やデータを調べ、どの順番で、誰がどんな言葉で伝えるか、チームごとに話し合い、まとめてきました。
子どもたちのタブレット端末をのぞくと、調べた情報や自分の考え、仲間の意見がぎっしり。相手からどんな質問がきそうかを想定し、答えを用意している様子も見られました。どのチームも、リーダーを中心に戦略を練ってきたことが伝わってきます。
授業は、担任の先生の「みんなは、きのこの山とたけのこの里、どっち派?」という問いかけから始まりました。子どもたちから元気な声が次々に上がり、教室は一気に和やかな雰囲気に。そこから、ディベートの流れとルールが説明されます。子どもたちは、「論理的に説明できているか」「事実にもとづいているか」「感情的になっていないか」を意識しようと確認し合います。
先攻チームが意見を言ったら、後攻チームが質問。先攻チームが質問に答え終わったら、今度は後攻チームが意見を述べて、先攻チームから質問を受ける流れです。
偶然にも、3クラスとも先攻はAチーム。「好きなものを食べた方がストレスは減るというデータがある」「環境にいい食品は売っている場所が限られていて、そこまで行くためのガソリンが逆に環境負荷になるのでは」などといった意見が挙がりました。「おいしくないものを食べるという、我慢が必要な選択は長続きしない。続かないものはサステナブルとは言えない」という言葉には、ジャッジ役の子どもたちも真剣な表情でうなずき、時折、質問も投げかけます。
一方、Bチームは「好きなものだけを選び続けた結果、温暖化が進んだらどうする?」「社会や環境にやさしいものを選べば、SDGsの目標が達成できる」など、世界が抱える課題について意見を展開。「サステナブル=おいしくない、というイメージは思い込み。おいしい商品も増えている」という指摘もあり、Aチームからは思わず「そうなんだ」という小さな声が漏れます。
ディベート中、ワークシートに相手の意見を書き留めたり、タブレットに考えを入力してチーム内で共有したりする姿があちこちで見られました。「この質問、誰が答える?」と小声で相談する場面も。教室全体が、議論に集中していきます。
あるクラスでは、明治の取り組みを調べ、例に挙げた意見も出ました。Aチームは、「明治のように企業がおいしさを追求してきたから今の豊かな食文化がある。おいしさを後回しにするのは、これまでの進化を否定すること」と主張。さらに、苦手な野菜も好きな食材と組み合わせることでおいしく食べられると、自作したパンケーキの写真を画面に投影する子もいました。これには教室から「おお~」とどよめきが起こります。
続くBチームは、明治のチョコレート『ザ・カカオ』のような「産地への支援とおいしさの両方を追求した商品」を紹介しながら、「環境に配慮することが、結果的においしさにもつながる」と主張。商品の値段の高さについて問われると、「安くてたくさん消費することを選び続けた結果、環境破壊が進んで将来食べ物の値段がもっと上がるかもしれない。未来のために今、賢い選択をした方がいい」と切り返しました。
判定の結果は?
子どもたちは晴れやかな表情に
最終意見として、Aチームは「おいしいからこそ毎日続けられるし、健康になれる。『おいしい』は、社会や健康を良くするための最強の手段です。私たちは社会や環境を無視しているわけではなくて、その土台にあるのは個人の幸福であると考えます」と発表。
Bチームは「環境へのこだわりは、究極の味へのこだわり。おいしさと環境へのやさしさは敵同士じゃない。誰かの犠牲の上に成り立つおいしさは、いつか必ず終わります。サステナブルな食品を選ぶのは、好きなものを未来まで守るための作戦です」と主張しました。
ジャッジの判定を待つ間、「あれ? AもBも同じようなこと言ってない?」と、教室の中はざわざわ。6年1組では、わずかな差でBチームが勝利。Aを選んだジャッジからは「おいしさを大切にしながらサステナブルも考えていた点に納得した」、Bを選んだジャッジからは「情報量が多く、質問への答えが論理的だった」といった理由が挙がりました。それを受けて、「どっちも大切だよね」と話す子どもたち。勝ち負けを超えて、お互いの意見を理解し合う経験が、その表情を晴れやかなものにしていました。
正解のない問いだからこそ、他のクラスでも結果はさまざま。Aチームが圧勝したクラスでは、Bチームが主張した「フェアトレード」「オーガニック」といった言葉の意味が伝わりにくかったことが反省点として挙がり、「どうすれば相手に伝わるか」を考える学びにつながりました。
「サステナブル」問題は
子どもも考えられる!
ディベートをした髙田來実さんと、ジャッジを担当した吉村太希さんに話を聞きました。2人とも「とても楽しかった」と笑顔を見せます。髙田さんは「環境問題は、これまで大人が考えることだと思っていました。でも、授業が終わった後は、子どもでも考えられることだと感じました。サステナブルのような答えのない問題をもっと解いてみたいです」、吉村さんは「普段はやさしい子が論理的に意見を言って、いつもと違う一面が見られたのも印象的でした。自分もどちらかのチームでディベートに参加してみたいです」と振り返りました。
6年1組担任の田口祐太先生は、「サステナブルは児童にとっても教える側にとっても難しいテーマでしたが、『きのこたけのこ』という入り口があったことで、子どもたちにとっても身近に感じられたのでは」と話します。
「『サステナブルな問いには正解がない』と最初に伝えたことで、どの子も間違いを恐れず、生き生きと取り組めました。サステナブルはみんながわかっていないことだから、どの子も同じ土台に立って楽しめたように思います。普段なかなか発言しない子が意見を言う、一生懸命ノートに書く……。自分を発揮するためにはどうすればいいのか、子どもたち自身が考え、行動していました。普段は受け身の子どもたちが準備段階からどんどんアウトプットしていき、本音を引き出せる授業になりました」
おいしさを大切に、
未来の環境に思いを巡らせる
明治では、「きのこの山・たけのこの里の森」と名付けた自然保護区をつくり、生きものの大切さを伝える「きのこの山たけのこの里サステナブル宣言」や、カカオ産地に直接関わりながら生産者の技術支援や生活向上、環境保全などを行う「メイジ・カカオ・サポート」など、さまざまなサステナビリティに取り組んでいます。
今回の授業を見学した同社カカオマーケティング部の吉田伊織さんは、「サステナブルについて、子どもたちが想像以上に白熱した議論をしていました」と笑顔を見せます。
中でも印象的だったのは、子どもたちが「相手の意見も正解かもしれない」と受け止めていたこと。「Aチームのお子さんたちが、おいしさだけでなく、その先の環境まで考えていたのもすばらしかったです」と振り返ります。「サステナブルを楽しく学んだ子どもたちが将来親になり、『お父さんお母さんも子どもの頃にこのディべート合戦をやったよ』といった会話につながるように、これからも活動を続けていきたいです」と語りました。
小学校向け教材『きのこの山・たけのこの里と学ぶ どっち派!? ディベート合戦』をご希望の場合は、下記までご連絡をお願いいたします(教職員の方からのご応募に限ります)。
・応募フォーム:https://t.asagaku.com/MDE0NDUy
・申込締切:2026年7月10日(金)23:59
※先着順になります。数量に達し次第、締め切らせていただきます。
※申し込みいただいた教材は順次お届けする予定です。
※児童用冊子、先生用ガイドともに8ページ、サイズは児童用がB5、先生用がA4になります。
・問い合わせ:朝日学生新聞社内「どっち派!?ディベート合戦」係 school@asagaku.co.jp