1979年からの長い歴史を誇る「ソニー生命カップ全国レディーステニス大会」。第48回大会となる今年も5月中旬から都道府県の予選が始まり、各地で熱い戦いが繰り広げられている。「アマチュア女子テニスの最高峰」といわれる今大会。参加資格に年齢の上限はなく、生涯スポーツとしてテニスを愛するシニア世代もプレーし、昨年の全国決勝大会では69歳の選手が最高齢となった。69歳と60歳でペアを組み挑んだこの大会から、そしてテニスから、彼女たちは何を得たのか。支えてくれる仲間や家族、そして同じ舞台に立つ選手たち――「この挑戦は、ひとりじゃない。」その実感とともに歩んだふたりの物語を追った。
聖地「有明テニスの森」を舞台に
チームで戦う
「ソニー生命カップ全国レディーステニス大会」は、満25歳以上の女性を対象としたダブルスの大会。ソニー生命が特別協賛する本大会は、各都道府県の予選を勝ち抜いた上位3組が代表チームを結成し、団体戦トーナメント方式の全国決勝大会に駒を進める。
第47回を迎えた2025年の大会は、全国決勝大会が12月3日から3日間の日程で開催され、「テニスの聖地」として知られる有明テニスの森公園(東京都江東区)を舞台に各代表チームがしのぎを削った。最終日となる12月5日、決勝戦で勝利の栄光を手にしたのは東京都代表。福岡県代表を3-0で制し、2年連続15回目の優勝を成し遂げた。
この第47回の全国決勝大会で最高齢だったのが、和歌山県No.2ペアの一人、69歳の梅本さえ子さんだ。ペアを組んだ熊野範子さんは60歳。ふたりに大会当時のことを振り返りながら、テニスを続ける理由や想いなどを語ってもらった。
体づくりを大切に
励まし合って接戦を制した
梅本さんと熊野さんのテニス歴は、ソフトテニスから始まった。その後、梅本さんは30代で硬式テニスの初心者教室に通ったのをきっかけにプレーにのめり込むようになった。一方、熊野さんは大学の同好会で硬式テニスを始め、結婚後はしばらく遠ざかっていたものの、子どもが3歳になったのを機に再びラケットを握るようになった。そんなふたりが出会ったのは、和歌山県内の試合会場。過去には、「ソニー生命カップ全国レディーステニス大会」の和歌山県大会で対戦したこともあるという。そして2025年、大会への出場を考えた熊野さんが梅本さんに声を掛けたことで、ペアとしての日々が始まった。
この大会の出場経験は、梅本さんが和歌山県大会25回(全国決勝大会4回)、熊野さんが同17回(同3回)。ふたりともベテランの域だが、梅本さんはペアに誘われた当時、「とんでもない」と思ったそうだ。62歳の時以来、試合からは遠ざかり、テニスは楽しむだけのもの。4年ほど前に股関節の手術を受けて以来、ひざに慢性的な痛みを抱えていたことから、戸惑い、かなり出場を迷ったという。しかし最終的に「大会に出てみたい」という気持ち、そして必要とされたことへのうれしさが勝り、ペアを組むことを決断。それまで7名の仲間に声を掛けたものの「仕事が休めないから」などの理由で断られていた熊野さんに、ようやく相手が見つかった。
それからは、体のメンテナンスに時間を費やしたという梅本さん。ストレッチに念を入れたり、通っている接骨院をより評判の良いところに変えたりと、さまざまなアプローチを試みたそうだ。熊野さんが心がけたのも「ケガをせずに楽しむこと」。全国決勝大会に向けた練習で右肩を痛めてしまったため、週1回のリハビリに通いつつ、疲れをため込まないようにケアや入浴にも時間をかけた。
大会に向けてペアで練習したり、試合に向けた戦術を相談したりすることは増えたものの、練習のペースは週3回。練習時間を増やすよりも体づくりを大切にすることが、長く元気にテニスをプレーしていく秘訣なのだろう。
もうひとつ、全国決勝大会に複数回出場したふたりに共通していたのは、「県大会の3位決定戦に4回進んだが、一度も勝てなかった」という苦い経験だ。それでも、2025年の県大会では1回戦からすべて接戦を制し、2位という結果を出せた。この勝因を、「互いのプレースタイルがうまく合致していたから」だと梅本さんは分析する。熊野さんに聞くと、梅本さんは「ボールに対する反応がとても良く、ボレーが上手でコースの打ち分けが得意なプレイヤー」。一方、梅本さんから見た熊野さんは「粘り強いテニスで、素晴らしい脚力の持ち主」。その良さを生かし、熊野さんがラリーをつなぎ、梅本さんが前でボレーを決めるパターンをつくってポイントを取り、初めて組んだとは思えないほどの絆や信頼感を感じたという。熊野さんも「お互いができることを全力でやり、苦しい時も励まし合えたからこそ勝つことができた」と思うそうだ。
とはいえ、決して余裕のある県大会2位獲得ではなかった。暑さが厳しいこともあってふたりとも足のけいれんが止まらず、何度も棄権を考えるほど。それでも何とか最後まで力を合わせることで全国決勝大会への出場権利を得たときは、「これで有明に行けるね」と喜び、梅本さんと抱き合った。
テニスは技術を磨き続け
進化できるスポーツ
全国決勝大会で、和歌山県代表チームは勝利を目指したものの、初戦で惜しくも敗退。それでも、聖地・有明に立ったときの気持ちについて、梅本さん、熊野さんとも「とてもうれしかった」と語る。梅本さんは世界のスポーツの祭典が開催された場所に自らも立てたということに感無量で、熊野さんも「還暦を迎える年だったので特別な幸せを味わえた」そう。
そんなふたりが全国大会への挑戦を支えてくれたと感じるのは、周囲の人々の存在だ。大会を主管する日本女子テニス連盟和歌山県支部で事務局業務をしている熊野さんは、「仲間たちが『がんばってね』と応援してくれて、気持ちよくプレーできた」と話し、梅本さんも「私がテニスを続けられるのは、家族も健康でいてくれているから」と感謝する。全国決勝大会の試合後、梅本さんは夫と、熊野さんは友人とそれぞれ観光に出かけ、気分転換もできた。それぞれの挑戦の背景には、支えてくれる人の存在がある。その姿は、今大会のキャッチコピー「この挑戦は、ひとりじゃない。」と重なる。
実際に、選手たちの挑戦を支えているのは家族や仲間だけではない。梅本さん、熊野さんは、都道府県大会で選手たちを支えるソニー生命保険のライフプランナーにも助けられていると話す。支援活動のひとつとして、一部地域で提供するかき氷は多くの選手に好評だ。ふたりは、「あの暑さの中で本当にうれしかった」「頭も体もリフレッシュさせていただけた」と笑顔を見せる。選手に寄り添うソニー生命のライフプランナーの存在も、挑戦を支える大きな力だ。
ふたりが60代を迎えた今もなお続けるテニスには、一体どんな魅力があるのだろう? そんな質問に対し、「テニスそのものが生きがい」と答えてくれたのが梅本さんだ。
「テニスができなくなったら生きていけないと思うくらい、一番大切なもの。目標は“生涯テニス”です。好きなことがあるということは、日常生活の励みにもなります」。テニスを始めた頃は「うまくなりたい、試合に勝ちたい」というがむしゃらさが、いまは「仲間とずっとプレーを続けていきたい」という思いに変化してきたそうだ。
そして「テニスは生活の一部」だという熊野さんは、「何歳になっても技術を磨けば進化できるスポーツ」だという。「年齢を重ねるにつれてできなくなることが増えるように思いますが、テニスは違う。昨日までの練習で打てなかったショットが試合で決められるようになったときは、本当に喜びを感じます」
熊野さんは、この大会の参加資格に「全国決勝大会に3回出場した選手は、翌年から3年間出場できない」という規定があるため、今年は大会の運営に携わる予定だ。それでも「またこの大会に出場できたらと思っているので、それまで梅本さんがテニスを続けているならがんばりたい」という。梅本さんの目標が「生涯テニス」と考えると、ふたりが再びペアとして有明でボールを追うことも夢ではないかもしれない。
熱い戦いと多くのドラマが、今年も始まる
年齢、性別を問わず、それぞれの楽しみ方で続けられることから、「生涯スポーツ」ともいわれるテニス。体力やスピードが勝る若いプレイヤーと対戦しても、技術を磨いて進化していけば勝利を収めることもできる。
そんなテニスを楽しむアマチュア女子プレイヤーにとって、「ソニー生命カップ全国レディーステニス大会」を「アマチュアプレイヤーのステータス」と評し、試合への気持ちの向き合い方を知るためにも出場を勧める梅本さん。熊野さんも、県大会の3位決定戦で勝てなかったあの悔しさがあるからこそ、全国決勝大会への出場はとても名誉でうれしいことだと語る。「日常から離れ、一人のプレイヤーとして本気でボールを追いかける。仲間と抱き合って勝利を喜び、負ければ本気で悔しがる。そんな青春をプレイバックするような熱い感動が、この大会にはあります。年齢も人生経験もそれぞれ異なる選手たちが出場し、全力を尽くして勝利を目指すことも魅力なので、ぜひ多くの方に参加してほしいですね」
思い描いた試合運びでポイントが取れた時にテニスの醍醐味を感じる梅本さんと、一生懸命プレーする選手たちの姿に感動するという熊野さん。ふたりの視点は、この大会を見て楽しめる注目点にもなりそうだ。
多くのプレイヤーと支える人たちにとって特別な位置付けといえる「ソニー生命カップ全国レディーステニス大会」。各都道府県の代表になって有明を目指すために、今年も選手たちは戦い続けている。
その一打一打の積み重ねが、それぞれの人生に寄り添う“生きがい”になっていく。その挑戦は、決してひとりではない。
大会エントリーの日程は各都道府県により異なりますので、都道府県大会、全国決勝大会の詳細は、以下の公式ホームページをご覧ください。
ソニー生命は、本大会への協賛を通じて「生きがいある人生」を応援しています。