50代以降になると、子どもの独立や退職、親の介護などをきっかけに、自身の保険や老後の備えについて見直す機会が増えます。一方で、ネット保険に対して「若い人向けではないか」「今からでも入れるのだろうか」と感じる人も少なくないでしょう。

ライフネット生命は2026年6月、「定期死亡保険」「終身医療保険」「終身がん保険」について、申し込みできる契約年齢の上限を70歳から80歳へ引き上げました。なぜ今、年齢の上限を広げたのか。人生100年時代において、50代・60代以降の保険選びをどう考えればよいのか。「ネットで保険に入りたいすべての人に最高の保険体験を届ける」ことを掲げるライフネット生命の代表取締役社長・横澤淳平さんに聞きました。

子育て世代だけじゃない、ネット保険のメリット

──オンライン生命保険というと、若い世代に選ばれている印象があります。ライフネット生命の契約者の現状は?

横澤淳平社長(以下、横澤):ライフネット生命は「子育て世代の保険料を半分にして、安心して子どもを産み育てることができる社会を作りたい」という思いをもって、2008年に開業しました。開業以来、子育て世代を中心に支持されてきたこともあり、2024年度の新規ご契約者さまでは30代・40代が半数以上を占めています。

新契約データ2024
※2024年度に成立した新契約件数ベース(73,260件) 出典:ライフネット生命 新契約データ(2024年度)

──「ネット保険は若い人向けではないか」というイメージもあるかと思います。実際どうなのでしょうか?

横澤:「ネット保険は若い人向け」という考え方は、これからさらに薄れていくと思います。現在、70代前半の方のスマートフォン所有率は90%に達し、シニア世代もネットで情報を調べ、購入(契約)することが日常になってきています。そういった社会背景を表すように、当社にも60代70代の方々からのお問い合わせがありますし、実際に70代の方も当社の保険に契約を継続いただいています。

スマートフォン所有率の推移
出典:「2026年シニア調査」NTTドコモ モバイル社会研究所

──対面での保険勧誘では「断りづらい」「勧められるままに入ってしまった」という悩みも聞きます。熟年層(50-60代)以上の世代がネット保険を利用するメリットを教えてください。

横澤:「自宅で自分のペースで検討できること」です。ときにはご家族と相談しながら、納得いくまでじっくり検討することもできると思います。また、ライフネット生命のようなネット専用の保険は店舗がなく、営業拠点にかかるコストを抑えられるため、その分、お客さまに保険料を抑えて保障をご提供できています。

当社の保険は「自分で決められる」わかりやすい商品設計にしているので、「老後に備え保険料を抑えつつ、必要な保障に絞って契約したい」という熟年層以上の方に活用していただきやすいと思います。

これは一例ですが、ライフネット生命で保険を見直して保険料が安くなったと回答した人は、年間9万円相当の保険料の節約になったというデータもあり、保険料の節約になる可能性もあります。

見直し前後の保険料の比較
ライフネット生命で保険を見直して、保険料が安くなったと回答した方の平均削減額(2023年~2025年3月末申込時アンケート結果/有効回答数258名) ※乗換による解約はお客さまの不利益になる場合がありますので、保険の見直しに当たってはご注意ください。

なぜ今、80歳まで申し込めるようにしたのか

──2026年6月に「定期死亡保険」「終身医療保険」「終身がん保険」の契約可能年齢を80歳に引き上げました。その背景を教えてください。

契約可能年齢の拡大について語る横澤社長

横澤:契約年齢上限の70歳から80歳への拡大は、「ネットで保険に入りたいすべての人に最高の保険体験を届けたい」という私たちの考えを形にしたもののうちの一つです。前出のデータにあるように、シニア世代のデジタル活用が進み、ネットで情報収集や契約をすることへのハードルは年々低くなっています。

一方で、当社の保険に関心を持ちながらも、年齢上限によって加入を検討できない方もいらっしゃいました。また、当社の保険を検討した70代の方から「申し込みをしたかった」「ライフネット生命を選びたかった」といった声が寄せられることもありました。

私が社長に就任してあらためて感じたのは、私たちが保険を届けたいお客さまは、「インターネットで生命保険に加入したい」と考える方々だということです。そう考えたとき、年齢を理由に選択肢から外れてしまう状況を見直す必要があると感じ、今回の拡大を決めました。

──人生100年時代といわれるなかで、70代の方々の暮らし方や保険ニーズはどのように変化していると感じますか?

横澤:そうですね。実は私の両親も70代ですが、とても活動的で、孫と過ごす時間も楽しんでいます。そうした姿を見ていると、「70代だから加入できない」という考え方そのものが、今の時代には合わなくなってきていると感じます。

実際に、70代の方々の暮らし方や価値観は大きく変わっています。ご自身の医療の備えだけでなく、終活のひとつとして、亡くなったあとのもろもろの整理に係る費用で子どもや孫に迷惑をかけたくないから死亡保険に入っておこうと考える人もいるでしょう。

──人生後半の保険選びで大切なポイントとは?

横澤:「ご自身の金融資産(貯蓄)」「ライフステージの変化」そして「公的医療保険制度」の3つを踏まえ検討することです。

例えば、50代以降ではお子さまの成長や独立に伴って「家族を支えるための保障」の必要性は大きく減少しますし、60代以降は住宅ローンの返済が終わるなどで住居費に係る保障は不要になり、万が一の際の大きな死亡保障も必要ではなくなるのが一般的です。そのため、このタイミングで手厚すぎる保障を備えている場合は見直し、必要な保障に絞っていくことが大切です。

一方で、60代に入り、現役を退いてセカンドライフに突入していくと、ご自身の病気やケガによる入院・手術などのリスクは高まっていきます。そこで重要になるのが、ご自身の蓄えや公的医療保険制度(高額療養費制度など)でカバーできる範囲をしっかりと把握し、手元の資金だけでは足りない部分についてピンポイントで備えておくという考え方です。

──保険料の支払いを負担に感じる人には、どんな選択肢がありますか?

横澤:そもそも生命保険は、自分だけではカバーしきれない経済的リスクに備えるための仕組みです。医療費や遺された家族の生活費を十分に賄える貯蓄があれば、無理に民間保険に加入・継続する必要はありません。

当社では、2026年6月に契約年齢の拡大にあわせて、小さい保障のプラン(月々の保険料を抑えた選択肢)を拡充しました。人生後半のライフステージに合わせて「必要な分だけを小さく補う」という選択肢を提供しています。

ネット保険を、もっと身近な選択肢に

──ネット保険に不安を感じる方に向けて、安心して利用してもらうための取り組みを教えてください。

「ネット保険だからこそ、人の温もりが伝わるサポート」が大切だと語る横澤社長

横澤:私たちライフネット生命は、むしろ「ネット保険だからこそ、人の温もりが伝わるサポート」を大切にしています。

いざ申し込みを始めたものの、どのように入力したらよいか分からないなどの不安を感じたお客さまに向けて、当社のコンタクトセンターでは保険プランナーが電話で丁寧にサポートする体制を整えています。このコンタクトセンターは、HDI-Japanが主催する2026年「HDI格付けベンチマーク(生命保険業界)」において、「問合せ窓口(コンタクトセンター)」で生命保険業界最多※の通算14回最高評価の三つ星を獲得しています。

※2026年8月時点。ライフネット生命調べ

さらに、お客さまの画面と同じ状態を確認しながらご案内するツールなども導入しており、安心して手続きを進めていただけます。加入を強く勧められるプレッシャーがない一方で、相談したいときにはプロのスタッフが親身に対応する、このバランスが多くのお客さまから高い満足度をいただいている理由なのではないかと思います。

──保険は「入るとき」より「使うとき」が大切だといわれます。保険金や給付金の支払時の工夫を教えてください。

横澤:保険の一丁目一番地は、必要なときに保険金や給付金を確実にお届けすることです。

私たちは、保険金や給付金のご請求に必要な書類が当社に到着した後、最短で当日中にお支払いする体制を整えています。こうした取り組みにより、平均支払日数は2024年度の1.91日から、直近では0.58日まで短縮しました。

支払い日数実績

また、医療保険の一部の給付金については、スマートフォンから診断書などの画像をアップロードするだけで請求手続きが完了する「スマ速請求」を導入しています。必要書類はウェブサイトの「マイページ」から提出できるため、人と会ったり郵送したりする手間もありません。

例えば入院給付金のご請求であれば、午前中に退院し、その場でスマートフォンから請求手続きを行うと、最短で当日中にお支払いが完了するケースもあります。

──給付金の請求漏れを防ぐための施策はありますか?

横澤:ご契約者さまに年に1回、お誕生月の2カ月前に「ライフネット生命レター」をお届けしています。現在の保障内容をわかりやすくお伝えし、請求漏れや手続き忘れを防ぐご案内を行っています。

もちろん、請求できるのか迷ったときには、お電話でもチャットでもご相談いただけます。契約後のサポートから給付金の請求漏れを防ぐご案内まで、お客さまに寄り添ったアフターフォローにも力を入れています。

──お客さまからはどんな評価を受けていますか?

横澤:実際に給付金を受け取られた50代以上のお客さまからも、「給付金の着金がスピーディでびっくりするとともに、感謝しかない」「請求もしやすかったし、給付金もすぐに支払われてすごく助かりました」といったお声をいただいています。

いざというときに迅速に、ストレスなく安心をお届けすることこそが、私たちの使命だと考えています。

ネットで保険に入りたいすべての人に、
最高の保険体験を届けたい

──ライフネット生命が掲げる「最高の保険体験」が目指すものは何でしょうか?

最高の保険体験について語る横澤社長

横澤:私たちは、「最高の保険体験を届ける」というスローガンのもと、ライフネットの生命保険マニフェストを形にした“全自動の生命保険”構想を掲げています。

生命保険では、保障内容そのものに加えて、見直しや保険金・給付金の請求がお客さまにとってわかりやすく、そして便利であることも重要です。一方で、年齢を重ねるにつれて「手続きが複雑そう」「自分でできるだろうか」と不安を感じる方も少なくありません。私たちは、そうした不安を解消し、できる限り手間なく安心して利用できる保険を目指しています。

具体的には、次の3つのフェーズで進化させていこうと思っています。

(1)加入時:マイナンバー制度の仕組みを活用することで、本人確認や加入時の情報入力を簡略化し、お客さまの手続きの極小化を目指します。

(2)加入後:公的個人認証サービスの機能を活用し、住所等の変更があった際に自動検知して確認のご連絡を差し上げることによって、メンテナンス漏れの解消を目指します。

(3)請求時:将来的にはマイナポータルから必要な医療情報を取得し、AIが支払いの対象かどうかを自動判定することで、お客さまが請求手続きに手間をかけず最短で給付金を受け取れることを目指します。

──AI時代の生命保険として、今後はどんなサービスを提供したいですか?

横澤:私たちが目指しているのは、単に保険料が安い保険会社ではありません。便利で、安心なネットだからこそ、この会社を選びたいと思っていただける体験を実現したいと考えています。

例えば、現在は最短で当日中の保険金・給付金のお支払いを実現していますが、将来的にはさらに手続きを簡単にし、より早くお届けできる世界を目指しています。ネット保険だからこそ実現できるサービスを磨き続けていきたいと思っています。

「最高の保険体験を届ける」という言葉は、お客さまへの約束であると同時に、私自身を含めた社員一人ひとりの判断基準でもあります。本当にお客さまのためになっているか。その問いを持ちながら、これからもサービスを進化させていきます。