災害に見舞われ、避難所での生活を余儀なくされたとき、当たり前だった日常は大きく変わり、見えにくかった女性の困りごとが表面化しやすいともいわれています。そうした課題に向き合うため、ポータブル電源をグローバル展開するEcoFlow Technology Japan(以下、エコフロー)は、「災害時でも、その人の尊厳を守りたい」との思いから、2026年、さまざまな業種の4社に呼びかけ「避難所女性ケアプロジェクト」を立ち上げました。9月に開かれたイベントの展示ブースに密着し、その背景にある問題意識やこれからの防災のあり方について、思いを聞きました。
「誰も取り残さない」 災害時の見えない課題とは
災害に備えていても、いざという時に防災アイテムをスムーズに使えるかどうかは、また別の話。だからこそ「いつも」の日常と「もしも」の非常時を区別せず、普段使っているモノやサービスを災害時にも役立てようという考え方が「PHASE FREE(フェーズフリー)」です。
9月25~27日、東京ビッグサイトで初開催された「PHASE FREE Meet 2026」では、日常の便利さと災害への備えを両立する製品やサービスが一堂に会しました。中でも女性が安心して過ごせる避難生活という新しいかたちで異彩を放っていたのが、エコフローをはじめとする5社で共同出展した「避難所女性ケアプロジェクトチーム」の展示。女性が避難所生活で直面する衛生・生活環境の課題の解決を目的に、今回のイベントに向けてチームが結成されました。
展示は「避難所でも、女性の尊厳を守る」がテーマ。エコフローのポータブル電源で電力を供給することを想定し、生理への対応として、PlaySの吸水ショーツ「PlayS(プレイショーツ)」を、マイクロテックの「置くだけ手洗器」から出る水と、シャボン玉石けんの「洗濯用せっけん シャボン玉スノール」を使って洗い、ソウイジャパンのコンパクト衣類乾燥機「DryOne(ドライワン)」で乾かすという流れを来場者が体験できます。エコフローは、2026年8月に発売された「ポータブル電源 DELTA 3 Max(ホワイト)」などを展示。ドライヤーや電気ケトルなどの使用も長時間可能な2200Wの高出力で、インテリアになじみやすいのが特徴です。
「避難所女性ケアプロジェクト」は、各社の製品と技術を組み合わせたソリューションとして、フェーズフリー認証も取得しました。プロジェクトの発起人であるエコフローの広報・PRマネジャーの李由紀さんは、前職で報道記者として豪雨災害の被災地を取材した経験が、女性防災の課題に関心を持ったきっかけになったといいます。
「避難所で、生理中の女性が町内会の備蓄品から夜用ナプキン1枚だけを手渡されている場面を目にしたんです。避難所運営は男性が中心になることも多く、女性の困りごとが十分に理解されていない現実がありました」
李さんは自治体関係者や防災士への取材を重ねる中で、さらに多くの課題を知ることになります。避難所にはついたてがなく、着替えや授乳などのプライバシーを確保しにくいこと。炊き出しや水回りの作業が女性に偏りがちになること。安心してトイレに行くことさえ難しくなること……。「災害時には、見えないジェンダー課題がより深刻なかたちで表面化することがあります。だからこそ、災害が起こる前から、困る人が出ない仕組みを作っておくことが大切だと思います」
その後、エコフローへ転職した李さんは、ポータブル電源が、電力を供給するだけでなく人の尊厳を守るために活用できるものだと実感しました。「体育館などの避難所ではコンセントの位置も数も限られています。ゾーニング(区分け)は電源がある場所を中心にすることが多いので、ポータブル電源のように持ち運べる電源があれば、授乳スペースやケアが必要な方のためのエリアなど、より柔軟な環境づくりができます」
女性を守る、新しい防災のかたち
誰も取り残さない避難所の実現に、自社製品で寄与したい。エコフローの思いが「避難所女性ケアプロジェクト」の出発点でした。
「エコフローはポータブル電源でフェーズフリー認証(2024年に2製品、2025年に1製品)を取得していますが、女性防災を伝えるなら、自社だけで展示するよりも他企業と一体になった方が、実際の利用シーンをイメージしやすいと考えました」と李さん。被災してライフラインが止まったとき、限られた水で衛生を保ち、洗濯や乾燥もできる環境をどう確保するのか。実際の避難所で起こりうるさまざまなリアリティを感じてもらうことを大切にしたといいます。
プロジェクト立ち上げにあたり、異なる製品や専門性を持った企業の担当者に声をかけた李さん。その1人は、記者時代に取材で知り合った吸水ショーツ「PlayS」の開発者でPlaySの取締役でもある坂上大介さんです。吸水ショーツは女性アスリートからの需要が高い製品ですが、開発の原点は1995年の阪神・淡路大震災で、当時高校生だった坂上さんがボランティアで避難所に生理用ナプキンを届けた時、女性たちから握手を求められるほど感謝され、「ナプキンがないからティッシュを使っている」という声を聞いたことでした。
「吸水ショーツの使用シーンから、洗濯、乾燥といったように、李さんと発想を広げ、協働先を探しました。今回の展示が、女性の防災について考えたり行動したりするきっかけになっていただければ。例えば生理に関することなら、下着の替えをどれくらい備えておくか考えたり、吸水ショーツを災害時に使うのであれば日常使いして使用感を試してみたりといった備えにつながればうれしいですね」
ブースのデザインコンセプトは李さんが考案。国際女性デーのシンボルであるミモザをモチーフに、ロゴマークから展示レイアウトまで一貫してデザインしました。来場者へのノベルティーグッズには、避難所での睡眠環境を保てるようにアイマスクを用意しました。
ブースに立ち寄った来場者からは、女性ケアという防災のかたちに「被災したときの困りごとや、解決方法が想像しやすい」といった感想が多く寄せられました。50代女性は「非常用にエコフローのポータブル電源を持っていますが、普段から使ってもいいですね」と話しました。また、「自分ごと」としてとらえる男性の来場者も。被災経験があり、地域活動に携わる60代男性は「私には認知症の母親がいましたし、避難所はプライバシーが十分でなく、生活を送るのが難しい場所。今回得た情報は地域でも共有したいです」、自治体と一緒に防災の提言に関わる40代男性は「『避難所女性ケア』というブース名を見たときは少し入りにくさも感じましたが、このような発信はすごく興味深いですし、女性目線での備蓄や対策の重要性をあらためて実感しました」といった共感の声があがりました。
命を守り、ケアをつなぐために必要な電力
今回の展示について、李さんは「点ではなく線でつながることで、実際の避難生活に近い提案ができ、ポータブル電源を使う目的がより具体的になりました。避難所には多様な人が来ることを前提に、男性、女性を問わずみんなで平時から防災について話し合える社会にしていきたい」と語ります。
エコフローは、被災地にポータブル電源やモバイルバッテリー、ソーラーパネルなどを無償で提供し、行政との連携も進めています。「各自治体と包括協定や防災協定を結んでおくことが、電力を必要な場所に必要な数だけ届けるためには大切」と李さん。東京都では千代田区、港区、品川区に防災・減災対策としてポータブル電源などを寄贈したほか、江東区とは災害時の支援に関する協定を締結。現在も新たな自治体との協定締結に向けた協議を進めるなど、各地域との連携強化に取り組んでいます。
ポータブル電源は、ソーラーパネルと組み合わせればクリーンな電気を供給し続けることができます。平時にはアウトドアなどで生活や趣味の質を向上させ、災害時に停電した時にはスマートフォンや家電への給電だけでなく、ケアをつなぎ、命や人の尊厳を守る社会インフラにもなります。「避難生活にはまだ可視化されていない困りごとがたくさんあります。その中には、電力で支えられるものも多いと思うんです」
災害という非常時の場だからこそ、持ち運べる電力は、日常の風景の一部を取り戻し、被災者の気持ちを大きく和らげることにもつながります。例えば、2024年の能登半島地震では、エコフローのポータブル電源が役立ち、発災から2週間足らずで営業を再開したヘアーサロンがありました。
「私たちが目指したいのは、企業や行政と連携してさまざまな人がいることを前提に避難所運営や防災計画を考えることです。避難所には、女性も男性も、高齢者も子どもも、性的マイノリティの方も、障がいがある方も、医療的ケアが必要な方もいて、それぞれ言い出せなかったり、我慢してしまったりすることはきっとあります。今回の展示を入り口に、人の尊厳に関わる課題をさらに掘り下げていきたいと思っています。一企業のアイデアだけでなく、自治体や避難所運営に携わる方々、当事者の方々と一緒に考えながら、誰も取り残さない環境づくりに向けて、ポータブル電源の活用方法や電力が果たせる役割を模索していきたいです」
日本限定カラー×家庭の防災にぴったりなデザインの「エコフロー ポータブル電源 DELTA 3 Max(ホワイト)」。2,048Wh、定格2,200Wの大容量・高出力で、停電時も冷蔵庫や通信機器、照明など暮らしに必要な電力を長時間支えます。本体幅は23.9cmで、家具の隙間にもスッキリ収納。20.3kgの軽量設計と両手で持てるハンドルにより、力に自信がない人も扱いやすく、日常にもいざという時にも安心の一台です。