朝日地球会議2024

2024年メインテーマ
対話でさぐる 共生の未来

広告特集 企画・制作 朝日新聞社メディア事業本部

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パネルディスカッション

想像しよう2100年の地球 私たちは何をする?

想像しよう2100年の地球
私たちは何をする?

島村 琢哉

公益財団法人旭硝子財団理事長
AGC取締役兼会長

さかなクン
東京海洋大学名誉博士/客員教授

コーディネーター
市野 塊
朝日新聞科学みらい部記者

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2100年、私たちの子どもや孫の世代はどんな暮らしをしているのでしょうか。科学技術の進歩で暮らしが大きく変わっている一方、気候変動問題がさらに深刻な影響をもたしている可能性もあります。旭硝子財団の島村琢哉理事長と、東京海洋大学名誉博士客員教授のさかなクンが、地球の未来について語り合いました。

「わくわくする未来」から「不安な未来」へ

市野「未来」という言葉から思い浮かべることはなんでしょうか。

島村子どもの頃は「未来」という言葉にわくわくする思いがありました。でも最近は身のまわりでも環境の危機的状況が迫っているので、不安を感じるようになりました。

さかなクン小さい頃は未来に大きな夢を膨らませていました。でも今は「これから未来はどうなっていくのだろう」というドキドキした思いに変わっています。

市野科学者らでつくる国連の組織IPCCによると、2020年に生まれた子どもが80歳になる2100年には気温が今よりもさらに上昇。環境省の未来天気予報では、北海道で気温が40度を超えるのではないかと言われています。

島村気温が40度になるのが普通になるなんてショックです。昨今のゲリラ豪雨などで気候変動を肌身に感じ、世の中がずいぶん変わってきてしまったと実感しています。

さかなクン9月、10月になっても30度を超えているなんて、子どもの頃は考えられませんでした。本当にびっくりしています。

深刻な水温上昇、東京湾でもサンゴが白化

市野朝日新聞が気象庁のデータを分析し、今年上半期の日本近海の海水温を調べたところ、1982年以降で過去最高になっていました。海が熱くなれば、水蒸気が増えることで台風が強くなったり、サンゴが死滅したりするなど、さまざまな影響が現れると指摘されています。

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海の環境の変化について語るさかなクン

さかなクン近年、海水温の上昇によって海藻が減っています。海藻が著しく減少する「磯焼け」が日本各地で起き、魚も育たなくなっています。二酸化炭素をたくさん吸収してくれる海の植物が減ることはとても深刻です。

水温の上昇で暖かい海に暮らすアイゴという魚が東京湾で増えています。冬場は動きが鈍くなるはずのクロダイが、冬もとても元気です。そんなアイゴやクロダイが東京湾で養殖している海藻やのりをたくさん食べ、被害が深刻化しています。

水温上昇により、沖縄で起きていたサンゴの白化が、今では東京湾でも増えています。

環境危機時計は「極めて不安」な9時27分

市野今年の、地球環境問題の解決に貢献した個人や組織を表彰する「ブループラネット賞」の受賞業績は2件とも生態系関連のものでした。

島村この賞は、私どもの財団が1992年に創設しました。今年で33回目になります。第1回の受賞者は、数値気候モデルによる気候変動予測を世界で初めて行った真鍋叔郎博士です。真鍋博士は、その後2021年にノーベル物理学賞も受賞しました。

財団では、地球環境問題を身近に感じてもらうため、1992年から世界各国の環境問題の有識者に毎年アンケート調査を実施し、危機感を「環境危機時計の時刻」として公表する取り組みもしています。

この時計では、環境に対する危機感を四つにわけています。0時から3時までは「ほとんど不安はない」、3時から6時までは「少し不安」、6時から9時が「かなり不安」、9時から12時が「極めて不安」な状態です。12時を過ぎると「これまでと同じ生活を維持することができなくなる」イメージです。

2024年の調査結果を平均すると、時刻は9時27分。2021年から4年連続で時計の針は戻りましたが、いまだ「極めて不安」な状態です。

最近、日本で一般の方々の意識も調査したところ6時59分で、専門家の方々とかなりのずれがあるな、と感じました。一般の方々にも、もっと環境問題に真剣に取り組んでいただくようなきっかけづくりをしていきたいと思っています。

移動に徒歩や自転車、買い物にはエコバックを

市野気候変動の影響について私たちになにができるかについても議論したいと思います。国連の組織は2030年までの10年間の行動が、地球の未来を決める上で非常に重要になると言っています。

日本ではCO2全排出量の14.7%が私たちの暮らしの中から出るものです。環境省は暮らしの工夫を呼びかけていますが、お二人は気候変動の問題に対してなにか実践していることはありますか。

環境の変化と対策について語る島村琢哉・旭硝子財団理事長・AGC取締役兼会長
環境の変化と対策について語る島村琢哉・旭硝子財団理事長・AGC取締役兼会長

島村意識して、消費電力が少ない家電製品を購入しています。また、家の中と外の熱の80%は窓から出入りするので、自宅の窓を3層ガラスにして断熱効果を高めています。その結果、クーラーの使用量は3分の1程度に減りました。

さかなクン今、千葉県の館山市に住んでいるのですが、魚は漁師さんをお手伝いしたときにいただいています。それを農家さんにもあげて、代わりに野菜をいただく。そんな地産地消の物々交換で、新鮮で美味しいものを毎日、食べています。

あとはテレビをつけないときは待機電流を抑えるためコンセントを抜く。買い物にはエコバックを持っていく。マイボトルを持ち歩くといったことをやっています。

目標を持ち、ポジティブな気持ちで取り組みたい

市野今回のお話を踏まえて、今後やってみたいと思うことはありますか。

島村買い物など、短い距離なら車を使わず、歩きや自転車で行けば健康にもいい。地球のためだけを考えると大変だけど、健康のためにもなれば実践しやすいと思います。

さかなクン(左)に、再生可能なガラス製のマイボトルを紹介する島村理事長(右)
さかなクン(左)に、再生可能なガラス製のマイボトルを紹介する島村理事長(右)

さかなクンみんなでできる活動もいいですね。わたしもビーチクリーン活動によく参加しますが、小さなお子さんからおじいちゃん、おばあちゃんまで、みなさん目をキラキラさせて取り組んでいます。

深刻な問題も多いんですけれど、深刻にとらえすぎ、「今やっても無駄なんじゃないか」「自分一人が取り組んでも力になれるのかな」などとネガティブに考えると先に進めません。でも「目標に向かってみんなと一緒に取り組んでいくぞ!」というポジティブな気持ちで取り組むと、どんどん楽しく先に進んでいけると思います。

「環境危機時計」もすごくわかりやすい。目で見て、現状をしっかり認識して、目標を立て、それに向かって突き進んでいきやすい時代だと思います。

島村我々の孫の世代が生きる2100年代を、「希望」に満ちた未来にしていきたいですね。そのために我々が今できることを、一つひとつ積み重ねていきたいと思っています。

今年のブループラネット賞受賞者
ロバート・コスタンザ教授

ロバート・コスタンザ教授

環境経済学者、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン教授。1997年の論文で、自然環境が人間に提供する恩恵の経済的価値が、当時の世界のGDP総額を上回っていることを初めて実証し、それまで過小評価されていた生態系サービスの重要性を世界に示した。

生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学-政策プラットフォーム「IPBES (イプベス)」

生物多様性及び生態系サービスに関する
政府間科学-政策プラットフォーム「IPBES (イプベス)」

生物多様性、生態系サービス、そして自然が人間 にもたらすものについての知見と科学的評価を提 供している国際機関で、ドイツに事務局を置く。その評価報告書は、国際的な取り組み、各国の政策決定にも活用されている。

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