企画制作:朝日新聞社メディアビジネス局 広告特集
PR : クリナップ株式会社
震災乗り越えた「地域に感謝するDNA」
クリナップ・竹内宏社長

東日本大震災から10年を迎えます。数多くの尊い命が失われ、いまだに避難を余儀なくされている人たちも少なくありません。
日本で初めてシステムキッチンを開発したクリナップ(本社・東京都荒川区)は、福島県いわき市に8カ所の生産拠点を持ち、当時、大きな被害を受けました。グループ会社の社員1人と家族16人も犠牲になっています。しかし、未曽有の災害後も現地にしっかりと根を張り、地域とともに歩んできました。
被災から復旧への歩みや、支えてくれた地域の人たちなどへの感謝の思いを竹内宏社長にうかがいました。
1956年生まれ。兵庫県出身。専修大学卒業後、1979年にクリナップの前身である井上工業に入社。全国各地の営業責任者を務め、2012年に執行役員に就任。2016年に取締役に就き、2018年からは社長を務めている。
東日本大震災で被災。それでも下した「地域に残る決断」
――入社後、西日本を中心に営業畑を歩まれています。2011年3月11日の震災当時、どこで何をされていましたか?
福岡市にある九州支店の責任者を務めておりました。あの日は市内のホテルでクリナップの代理店様や販売店様が集まる催しがあったのです。発生を知り、テレビで現地の様子を見ました。「大変なことが起きている」。そう思ったものの、しばらくは本社や福島の情報がなかなか入ってこなかったのです。
私は直接被災したわけではありませんが、この「わからない」ことが精神的にとてもきつかった。今となっては無謀で軽率な考えだと思いますが、情報が少ない当時は西日本の全社員が「福島に行きたい。一日も早い復旧のために何かできないか」と考えていたと思います。
竹内宏社長――いわき市の拠点の中には津波や地盤沈下といった被害を受けたところもあり、ライフラインの寸断などで1カ月ほど生産停止に追い込まれたそうですね。
新たな主力システムキッチンの発売も5月に控えていたのですが、新商品どころか全ての商品を出荷できなくなりました。なので、すでに受注いただいているお客様のところに社員が回り、「申し訳ありません。納期に間に合わないので、ほかのメーカーの商品に替えて下さい」と頭を下げました。
すると、多くのお客様から「クリナップの商品が良くて決めた。出荷できるようになるまで待ちます」という声を頂いて。これはうれしかった。本当に全社員の支えになりました。
震災直後の福島県いわき市にあった久之浜工場(提供:クリナップ)――いわき市の拠点には東電福島第一原発から50キロ圏内に入る工場もありました。物資不足などに加え、風評被害も起き、復旧や操業を続けられない可能性もあったと思います。ですが、クリナップはいわき市から離れませんでした。
当時、社長だった井上強一(現会長)は3月19日と26日にいわき市を訪れ、全拠点を視察しました。現地を見た上で、「ここに残る」と決断したのです。
市内にはクリナップのものづくりを支えてくれる数多くの協力企業などが存在します。地域に支えられて、クリナップはあります。
井上社長には「福島はきっと良くなる。いや、より良くしていかなければならない」という強い思いがあったのでしょう。「我々社員も頑張らないといけない」と思いました。
復旧を支えた各地からのエール
――いわき市の生産拠点の社員は約2週間、自宅待機した後、3月28日から出社を再開しました。自宅を流されて避難所から出勤したり、家族を遠方に避難させた上で単身帰ってきたりした社員もいたそうですね。
はい。本当につらかったと思いますが、社員が戻ってきたことで、復旧が進みました。震災から39日目の4月18日には、一部の商品を出荷することが可能になったのです。念願の新商品も6月1日に発売できました。とはいえ、震災前に近い生産体制に戻すまでには、ほぼ1年かかりました。
――この間、本社から繰り返し支援物資を現地に届けています。ほかにも関わりのある企業や地域の方々などからたくさんの支援や激励を受けたそうですね。
震災翌日には東京の取引先の方が、トラックにペットボトルの飲料水をたくさん積んで届けてくれました。
ほかにも関わりのある全国の企業から支援物資や義援金をいただきました。東南アジアにあるクリナップの代理店の方々も、エールを送って下さったのです。
地域の皆さんから励ましを受けたほか、会社のSNSにも「頑張れ!」といった書き込みが相次ぎました。本当にありがたかったです。
震災直後から、福島県いわき市の拠点にはたくさんの支援が寄せられた(提供:クリナップ)地域への「感謝」のカタチ
――2012年には「公益財団法人クリナップ財団」を設立。翌年から、福島県出身で地元の大学や専門学校に進学する子どもらを対象に、奨学金を給付する就学支援事業もスタートしていますね。
被災から復旧に至るまで、地域に本当にお世話になりました。「いわき市や福島県に、何か恩返しがしたい」。そんな思いから財団を立ち上げました。将来の地域社会の発展に貢献する有用な人材を育てることが目的です。
――8回目の2020年には対象者を10人増やし、継続受給者も含めて50人への支援を決めました。これまでに支援を受けた奨学生は310人。今回から奨学金も月額2万円から2万5千円に増やしていますね。
一人でも多くの若者を支えたいと考えました。奨学金は返済不要です。奨学生の皆さんには、大きく育ち、感謝の心を忘れず、社会に貢献できる人材になってほしいと願っています。
2018年にクリナップ財団が支援を決めた奨学生ら(提供:クリナップ)――いわき市はクリナップの創業者・井上登氏(2008年死去)の出身地・福島県広野町の隣です。その創業者が戦後間もない1949年、東京都荒川区で座卓の製造販売を始めたのがクリナップのルーツだそうですね。東証一部上場企業になった今も、本社は創業地のすぐ近く。地域を大切にする姿勢が感じられます。
私が入社したのは1979年ですが、当時の本社は古い校舎のような木造の建物でした。廊下を歩くとミシミシ音がするんです。私自身、「これが本社か」と感じたことを覚えています。
ですが入社後、「本社はお金を生むところではない。工場や営業所などの出先にこそお金をかけるべきだ」という創業者の持論を知り、納得しました。
――本社が現在の鉄筋コンクリート造り3階建てに建て替えられたのは1990年のことですね。
この時、社内には「社員食堂を設けてほしい」という声もあったのですが、創業者は「これまで地域の飲食店にお世話になってきた。社員食堂を造ればその人たちが困る」と認めませんでした。私は今も、本社近くの定食屋や中華料理店などで昼食をとっています。近所の小学校のイベントに協賛したり、地域のお祭りに駐車場を貸したりもしています。
上場企業ですから、株主や取引先、お客様を大切にするのは当然ですが、地域に愛される企業であることも大切だと思っています。

――クリナップの創業者理念は「五心」。「創業」「親愛」「創意」「技術」「使命」の五つの心が重要だと説いています。「使命」の心では、「我が社の使命は社業を通じ社会に奉仕することにある。常に感謝の心を忘れることなく邁進(まいしん)せよ」とうたわれていますね。
全社員に浸透しています。時代に合わせて変わらなければならないものはありますが、変えてはならないものもあります。創業者が大切にしていたのは「感謝」。そのDNAは引き継いでいかなければなりません。クリナップでは社員が電話を受ける際、まず「感謝致します。クリナップです」と応じるようにしています。
地域と一体となり、「笑顔を創(つく)る」

――竹内社長は兵庫県出身で、その後は大阪府枚方市にお住まいでした。いずれも1995年の阪神・淡路大震災では大きな揺れに見舞われました。
当時、私は奈良営業所の所長でした。早朝の地震だったので、枚方市の自宅にいました。幸い家族らは無事でしたが、神戸営業所が被災したのです。
震災翌日だったと思いますが、水や食料を積んだ営業車のハンドルを握り、迂回(うかい)しながら8時間かけて神戸市まで運びました。
現地は想像を絶する状況でした。この経験があったので、東日本大震災の時、「これは大変なことになる」と感じました。
――宮城県や福島県では先日(2021年2月13日)も、最大震度6強を観測する地震がありました。いわき市も震度5強を記録しています。阪神・淡路も東日本も、風化させてはなりませんね。
その通りですね。2月13日の地震の時は、すぐに工場の担当者に被害がないか確認するよう指示しました。施設も社員も無事でした。初動の大切さは、過去の震災から学んだ教訓です。
若い社員の中には阪神・淡路はもちろん、10年前のことをよく知らない者もいます。日本は地震を免れません。常に危機感を持ち、若い社員にも教訓を伝えていかなければならないと思っています。
――クリナップの企業理念は「家族の笑顔を創(つく)ります」。キッチンは食と住の交わる点で、家族の核であるという考えに基づく理念だそうですね。
そうです。いい商品をつくり、お客様においしいものを召し上がっていただく。個人の笑顔は家族の笑顔になり、ひいては社会の笑顔につながります。
被災地だけでなく、クリナップは全国に拠点があります。震災10年を機に、感謝を忘れず、今まで以上に地域と一体になり、社会に貢献していきたいと思っています。
(文=河井健・写真=山田秀隆)
- 伝えよう、キッチンのありがとう
- クリナップでは10年間の感謝を込めて、システムキッチンをプレゼントする「伝えよう、キッチンのありがとう」キャンペーンを実施しています。キッチンや食卓にまつわる、大切な人への日ごろの感謝をお聞かせください、