広告特集 企画・制作 朝日新聞社メディアビジネス局
「悪性リンパ腫」という疾患をご存知ですか。悪性リンパ腫とは白血病や骨髄腫と同じ血液のがんで、血液の成分・白血球の一種であるリンパ球ががん化したものです。実は血液のがんの中では悪性リンパ腫の頻度が最も高く、悪性腫瘍全体でも罹患数は男女共に10位以内(※1)に入ってくる決して珍しくはない疾患です。
ところが、悪性リンパ腫はがん細胞の形態や性質により70種類以上に細かく分類されることや、白血病などその他の血液のがんと混同されることが多く、臨床的な病態や治療法に誤ったイメージを持つ人が少なくありません。
疾患に対する正しい理解と患者さんやそのご家族への支援を求めて定められたのが、毎年9月15日の「世界リンパ腫デー」です。
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※1 国立がん研究センター「2017年のがん統計予測」より
https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/short_pred.html
世界50カ国、75の悪性リンパ腫患者会・関連支援団体で構成されている世界リンパ腫連合(Lymphoma Coalition)(※2)では、2004年より毎年9月15日を「世界リンパ腫デー」として世界的な疾患啓発活動を展開しています。
その趣旨に賛同して同連合に日本から加盟しているのが、一般社団法人グループ・ネクサス・ジャパン(※3)です。グループ・ネクサス・ジャパンでは、活動に賛同してご寄付をいただいた方に、ライムグリーンリボン型のピンバッジを贈呈する「ライムグリーンリボンキャンペーン」を実施しています。キャンペーンの一環として、全国各地で患者さんやそのご家族に医療情報や交流の場を提供しています。
※2 Lymphoma Coalition https://www.lymphomacoalition.org/
※3 グループ・ネクサス・ジャパン http://group-nexus.jp/nexus/
丸山 大 先生
(国立がん研究センター中央病院 血液腫瘍科)
悪性リンパ腫という疾患について、もう少し詳しく知るために、国立がん研究センター中央病院血液腫瘍科の丸山大先生にお話を伺いました。
「血液には赤血球や血小板、白血球やリンパ球などの血液細胞が含まれています。悪性リンパ腫はこの血液細胞に由来するがんの一つで、白血球の仲間であるリンパ球ががん化した疾患です。リンパ球には大きく分けてB細胞、T細胞、NK細胞があります。それぞれ役割が違っていて、本来は連携をとりながらからだの免疫をつかさどっているのですが、そのうちの一部がおかしくなり腫瘍になってしまったもの。それが悪性リンパ腫です」
悪性リンパ腫の直接的な原因はまだ明らかになっていませんが、その一部にはウイルス感染症が関係することや免疫不全者に多いことがわかっているそうです。
さらに、悪性リンパ腫にはがん細胞の形態や性質によって70種類以上の病型に細かく分類されるという特徴があります。大きくはホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫の2つに分類され、日本では約90%を非ホジキンリンパ腫が占めています。
「同じ悪性リンパ腫でも、症状の出方や進み方は病型によってかなり差があります。もちろん、治療方針も病型によって異なってきます。つまり、悪性リンパ腫の場合は病型を特定する検査がとても重要だということです」
悪性度による分類 | 非ホジキンリンパ腫の種類(病型) |
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低悪性度:インドレントリンパ腫 (年単位で進行) |
濾胞性リンパ腫など |
中悪性度:アグレッシブリンパ腫 (月単位で進行) |
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫など |
高悪性度:高度アグレッシブリンパ腫 (週単位で進行) |
バーキットリンパ腫など |
からだの免疫をつかさどるリンパ球は、全身に張り巡らされたリンパ管やリンパ節を通って全身をパトロ−ルしています。そのため、悪性リンパ腫は全身いずれの場所にでも病変が発生する可能性があります。初期症状として一番多く見られるのはリンパ節の腫れです。また、原因不明の発熱や体重の減少、ひどい寝汗などがみられることもあります。リンパ腫にできた腫れは、数週間から数ヶ月、あるいは数年かけて持続的に増大します。発生した場所によっては気道や血管、脊髄などの臓器が圧迫されることでさまざまな弊害が起こってきます。
「一番の問題点は、悪性リンパ腫ならではの特徴的な症状が乏しいことです。進行度が早い場合は血液検査でわかる場合もありますが、低悪性度のリンパ腫の場合はほとんど異常が出ません。そのため、悪性リンパ腫だと診断されるまでに時間がかかることが多いです」
リンパ節の腫れも頸の周りや脇の下、脚の付け根など体表近くにあるリンパ節の場合は気づかれやすいものの、胸やお腹など外から見えない場所の場合はなかなか気づかれにくいそうです。
「悪性度が低い場合は年単位でゆっくり進行するため、健康診断の超音波やCTなどの検査でたまたま見つかるというケースも少なくありません。リンパ節の腫れや痛み、発熱など気になる症状が長く続いたり、少しでも悪性リンパ腫の疑いがあるとわかったら、血液内科で診てもらうようにしてください」
医学の進歩によって今、悪性リンパ腫の治療の選択肢は増えてきています。
「悪性リンパ腫は他の血液のがんと同じく全身のがんです。そうお話すると悲観的に考える方が多いのですが、決してそうではありません。化学療法を標準治療とした治療によって、多くの悪性リンパ腫では長期にコントロールすることができるようになっていますし、治すことを目的とした治療もできるようになっています。また、これまで複数の薬を併用する治療が中心でしたが、近年、新しい薬がいくつか承認され、患者さんの病型や状態によっては1つの薬剤でも治療できるようになり、外来での治療の選択肢が増えてきています。」
たとえば低悪性度のリンパ腫の場合は、病変が見つかっても外来だけの治療や、中には経過観察だけを行う患者さんもいらっしゃるそうです。
「そういう方たちの中には仕事をしたり、家事をしたり、普通の社会生活が行える方も少なくありません。悪性リンパ腫は誰にでも発症し得る疾患です。患者さんとその家族だけでなく、周りの人たちも是非、悪性リンパ腫について正しく知っておいていただきたいと思います」