国公立大学 進学のすすめ2020

広告特集
企画:朝日新聞社メディアビジネス局
制作:AERAムック編集部

京都大学 Kyoto University

INFORMATION

FOCUS

常識を破る研究で
宇宙の起源に迫る

感性を信じ、道を究める ×
Kyoto University

「素粒子物理学を学べば、なぜ自分が存在しているのか少し理解できます」(市川准教授)

素粒子物理学のトップランナー

宇宙はどうやって生まれ、なぜ現在のような形になったのか──そんな究極の謎にもうすぐ手が届くかもしれない。

茨城県東海村に建設された世界最先端の巨大加速器を用い、素粒子・ニュートリノの性質に迫るプロジェクトである「T2K実験」。プロジェクトチームには世界12か国から集まった約500人の研究者が参加する。その代表者としてチームを牽引(けんいん)するのが、京都大学理学研究科の市川温子准教授だ。

日本の素粒子物理学研究は世界の最先端を走っている。原子より小さく、たくさん存在するにもかかわらずその存在を捉えるのが非常に難しいニュートリノ。1987年、超新星爆発によって発生したニュートリノを巨大観測装置カミオカンデが捉え、2002年に小柴昌俊博士がノーベル賞を受賞した。その後継機であるスーパーカミオカンデでニュートリノに質量があることが証明され、15年に梶田隆章博士がノーベル賞を受賞。現在、さらに強力なハイパーカミオカンデの建設も進行中だ。

京都大学には世界最先端の研究に挑む研究者が集う

これらの研究では宇宙から降り注ぐ天然のニュートリノを観測したが、市川准教授が参加するT2K実験では、人工的にニュートリノを生成できる装置を使って、世界最大レベルのニュートリノビームを295キロメートル離れたスーパーカミオカンデに打ち込むことで観測のチャンスを増やす。こうした実験ができるのは世界でもこことアメリカの2カ所だけ。ライバルのアメリカチームと切磋琢磨(せっさたくま)しながら、市川准教授たちは人類未解明の謎に挑んでいる。

「机上で理論を考えるというよりも、私たちは実験屋。加速器装置の部品となる機械をつくったり、実験で発生する放射線を防御するための壁を設計したり。実験を成功させるためなら、ありとあらゆることをします」

究極の謎を解く鍵は
ニュートリノ

ニュートリノ研究の意味を、市川准教授はこう説明する。

「私が興味をもっているのは、物質と反物質の対称性であるCP対称性です。宇宙が誕生したときに物質と反物質が同じだけ生まれたと考えられています。物質と反物質は衝突するとエネルギーを放出して消滅してしまいます。CP対称性のもとでは、常に同じ数の物質と反物質が生まれたり消えたりします。ところが、私たちの宇宙は物質で形成されました。これはCP対称性が破れているということです」

T2K実験では人工的にニュートリノや反ニュートリノを生成させ、その違いの観測を試みている。うまくいけばCP対称性はなぜ破れたのかが説明でき、宇宙の始まりに何が起きたのかを知ることができるのだ。

大学は夢中になれるものに
出会える場所

京大理学部に入学したばかりの頃は「落ちこぼれだった」という市川准教授。知識をつめこむ受験勉強から、自分で学ぶという大学のスタイルにうまく切り替えられなかった。だが、実験を行うようになると、学問のおもしろさに目覚めていった。

「与えられた枠のなかで考えるのが高校までの物理。どこまでも自由に考えていけるのがその先の物理。信じられないような世界が広がっていて、ものすごく楽しいです」

T2K実験のための装置を京大で学生たちと開発中

京大理学部には、教員と学生が対等な研究者として議論できるフラットな空気がある。それが市川准教授には合っていた。

「年齢や立場なんて関係ない。担当する実験に関しては、自分が誰よりも詳しいという心意気で研究しろとよく言われました。大学院時代の指導教官はいい意味で学生の面倒をみない人で、自由にやりたいことをやらせてくれました。失敗してもほったらかし。だからこそ、自分で考える力がついたんです」

研究は「趣味」で、趣味を楽しむために授業や会議などの仕事をしていると言い切る。素粒子物理学に没頭する市川准教授は、研究には「いかに常識を破るか」が重要だと語る。

「新しいことをやろうとすると十中八九、失敗する。それでも繰り返していける人が研究者に向いているのかもしれません。苦労して必死に頑張ったから見える世界がある。そこまで夢中になれるものに出会える場所、それが大学です」

今年5月、市川准教授は優れた女性科学者をたたえる「猿橋賞」を受賞した。宇宙の謎を自らの手で解き明かす日まで、その勢いが止まることはない。

TOP MESSAGE トップメッセージ

人・学問・研究の多様性が
未来を拓く
専門を究めてリーダーになれ

北野正雄 副学長

拡大する新型コロナウイルス感染症について「誰にも解けない、正解のない問いだ」と話すのは、京都大学の北野正雄副学長だ。

「少しでも良い対応策を模索するべく、医学や経済学をはじめ、さまざまな分野の研究者がそれぞれの現場で頑張っている。今回のことで、学問や研究の多様性が社会の安定性に寄与していることに、多くの人が気づいたと思います。先行きの見えない時代だからこそ、ビジネスに直結するかどうかという安直な考えではなく、長期的な視座に立った多様な研究が必要。それが大学の機能でもあります」

ノーベル賞受賞者が多数輩出するなど、“研究の京大”として知られる同大には、世界中からさまざまなバックグラウンドをもつ学生が集う。2016年にはユニークな学生を集めるための「特色入試」、18年には海外の最優秀層の学生を募って、入学前に日本語教育を徹底する制度「Kyoto iUP」を導入。こうした入試改革もあって、近年は学生の多様化が進む。

「特色入試やiUPを導入した背景には、偏差値で大学を選ぶような受験ビジネスへの危惧があります。受験勉強ができる人ばかりが集まってもおもしろくない。大学は本来、文化的な混合を行う場ですし、ワイルドで個性が強いのが京大のカラー。考え方やバックグラウンドが違う人々がせめぎ合い、対立するのではなく、学問によって結びつけられていく。そういったなかから新しい考え方やシナジーが生まれるのだと思います。その仲間になりたい人に来てもらいたいですね」

現在、授業が対面で行えないなか、大学はさまざまな挑戦を迫られている。オンライン授業を導入することで、逆に教員と学生の距離感が縮まり、内容の濃い教育ができるようになった。時間と空間の制約を超えて大学の機能が拡張されている。一方で、多様な人が集まり、互いに影響し合うキャンパスという場の意味が失われている現状をどう補っていくか。課題はあるが、「この状況を改革のチャンスと捉え、おもしろがる気風が京都大学にはある。また、そういう人に、ぜひ入学してほしい」と北野副学長は語る。

「自分の頭で考えて行動していく人に京大の門を叩いてほしいです。そして、できれば大学院まで進学して専門を究めてほしいです。とくに文系は就職を心配して学部卒で終える人が多いですが、元気でコミュニケーション能力が高ければ就職できるなんていう風潮がおかしい。大学院でスキルを磨けば、学者になる道だけでなく、専門知識をもったリーダーとしてさまざまな場所で活躍できます。これから受験に挑む人に言いたいのは、大学入学はゴールではないということ。大切なのは、大学や大学院で何を学びたいのかです。他人の意見に縛られることなく、自分の感性を信じて考えてみてください」

FROM STUDENTS

1 iPS 細胞を使った創薬に携わりたい
究めたいものを究められる環境で最先端分野の研究者になる

京都に住んでいる私にとって、京都大学は身近な存在です。高校1年生のときから京大のサマースクールや見学ツアーに参加。第一線で活躍する研究者の方々のお話を聞くうちに、京大を志望するようになりました。印象に残っているのは、山中伸弥先生の講演です。ノーベル賞を受賞した偉大な研究者も生まれながらの天才ではなく、挫折と失敗の連続を力にしてきたというお話に驚くとともに、「私もiPS細胞を使った創薬研究をやってみたい」と強く思いました。

創薬の基礎となる化学を学ぶために、工学部工業化学科に入学。先生方の授業は普段から興味深いですが、特にご自身の研究内容と重なる分野になると生き生きと熱弁をふるって、気迫に圧倒されます。研究というのはそんなに魅力的なものなのかと、ますます楽しみになりました。

無機化学、有機化学、物理化学、生化学……。これまで得た知識が最近になってようやく分野を越えてつながり、ますます勉強がおもしろくなってきました。将来は大学院に進学する予定です。世界中の研究者たちが切磋琢磨(せっさたくま)してワクチンや治療薬を開発していますが、私もいつか人の役に立つ薬をつくれるようになりたいです。

究めたいものを究められる環境があることが京大の特長。何かに熱中して、これだけは譲れないというものをもっている人が集まっているので、刺激をもらえます。

これから京大を目指す人には、受験勉強に集中するだけでなく、大学で何をやりたいかをしっかり考えておくことをおすすめします。きっと学生生活が充実するはずですから。
工学部工業化学科3年生
長澤舞奈さん

2 身近な疑問を大学で掘り下げたい
高校時代の思いが京都へ導いた 特色入試がきっかけで広がった世界

京都大学を目指すきっかけになったのは、特色入試の存在を知ったことでした。受験のチャンスが1回増えるなら得だなという不純な動機でしたが、京大の文学部には現代史学やメディア文化学の研究室があることを知り、惹(ひ)かれるようになりました。もともと近現代の遺構を巡るのが趣味だったのと、私の家が日本最大のコリアンタウンである東京・新大久保から近かったため、子どもの頃から反韓デモやヘイトスピーチを見て育ち、日韓問題に関心をもっていました。

特色入試では大学に入学してからどのようなことを学びたいかをまとめる「学びの設計書」を提出しますが、そこには東アジアの近現代史をやりたいと書きました。その思いは今も変わらず、現在取り組んでいる卒業論文も「植民地時代朝鮮における神社の参拝について」というテーマで進めています。

現代史学専修のゼミでは、学生がそれぞれ興味のある課題について研究発表しますが、教授や院生の先輩たちが丁寧に指導してくださいます。どんな資料にあたるべきか事前にアドバイスがありますし、発表のあとはたとえ専門外の内容であっても本質的な質問が返ってきます。自分では気がつかなかった視点をたくさん得られました。

勉強以外では、京都着物企画というサークルで若者に伝統文化の魅力を伝える活動をしたり、小料理屋やデザイン事務所でアルバイトをしたり。好奇心のおもむくままにさまざまな挑戦をしてきました。

卒業後はテレビ局の報道記者として働く予定です。大学での学びを生かして、現代の問題を深く考察し、伝えていく記者になりたいです。
文学部現代史学専修4年生
阪本周悠さん