
【第1回】FPコラム「知らないとヤバい、相続放棄」
亡くなった親の借金は、子どもが引き継がないといけないの?
結論から言えば、原則は「Yes」。
納得いかないかもしれませんが、法律的には、そうなのです。
子どもは、親の「相続人」となります。
相続人とは、被相続人(亡くなった人)の財産を引き継ぐ人のことで、その財産には「マイナスの財産」も含まれるからです。
つまり、相続人である子どもは、親の借金を引き継ぐことになるのです。
見知らぬ親戚の借金も、継ぐことに!?
亡くなった叔父さんの借金は、あなたが払うんだよ。
ということは・・・鋭い方は、そんなケースがあり得ることも、予想できるでしょう。
ここでのポイントは、相続人は、(亡くなった人の)近い身内がなるとは限らないということです。
相続人の範囲は、法律で明確に決められています。
ザックリと説明すれば、亡くなった人の配偶者は、常に相続人となります(配偶者相続人)。それと同時に、血族においては、亡くなった人の子どもが相続人となります(血族相続人第1位)。
しかし、子どもがいなければ、亡くなった人の親(もしくは祖父母等)が相続人となり(血族相続人第2位)、親(もしくは祖父母等)がいなければ、兄弟姉妹が相続人となります(血族相続人第3位)。
つまり、血族相続人には優先順位があって、上順位者から優先して、相続人となるのです。
そして、相続人となった兄弟姉妹がすでに死亡している場合には、その兄弟姉妹の子どもが相続人としての地位を引き継ぐのです(これを代襲相続という)。
つまり、亡くなった人の家族構成によっては、その甥や姪が、相続人となり得るわけです。
この場合、いざ、おじさん(おばさん)が亡くなってから、その甥(姪)が、「ええっ、私が相続人なの?」ということも珍しくないかもしれませんね。
相続人となって財産を相続する、と言うと、何となく、「お金が入ってくる(遺産が転がり込んでくる)」というイメージがあるかもしれません。
しかし、亡くなったおじさん(おばさん)が借金まみれだったとしたら・・・お金が入ってくるどころか、お金を支払わなければいけないということです。
相続放棄とは
でも、ご安心下さい。
相続人は、「強制的に」財産を引き継がされるわけではありません。財産を引き継ぐかどうかは、自由に選べるのです。
もし、財産を引き継ぎたくなければ、そのときは、相続放棄をすればよいのです。
相続放棄とは、被相続人の財産を引き継ぐことを、一切、拒否することです。
つまり、相続放棄をすることで、借金があっても、それを引き継ぐ必要はないのです。もちろん、プラスの財産も引き継ぐことはできなくなりますが。
ただ、心の中で「相続放棄するよ」と思っていても、それは誰にも伝わりませんし、認められません。
放棄をしたければ、きちんと手続きをする必要があるのです。
具体的には、相続開始があったことを知ったときから3ヵ月以内に、家庭裁判所に申述する必要があります。この手続きを期限内にしないと、単純承認(相続財産をすべて引き継ぐこと)したものと見なされてしまい、場合によっては、借金を引き継ぐことになってしまうのです。
状況によっては、相続放棄をしていないと、エライ目にあうことかもしれませんね。
先順位者の放棄にも、要注意
あと、相続の先順位者が放棄をした場合も、要注意です。
なぜなら、相続放棄をすると、その放棄をした人は相続人ではなくなるので、相続人の範囲が変わってくるからです。
たとえば、亡くなったおじさん(おばさん)に子ども(血族相続人第1位)や親等(血族相続人第2位)がいても、彼らが相続放棄をすれば、血族相続人第3位である兄弟姉妹(つまり、あなたの親)が相続人となります。繰上げ当選みたいな感じですね。
そして、相続人となったあなたの親が、すでに死亡している場合には、あなたが相続人となるのです。
おじさん(おばさん)には子どもがいるし、私には関係ない・・・と思っていたところ、その子どもが相続放棄をして、いきなりあなたが相続人となる可能性もあるのです。
そして、おじさん(おばさん)に多額の借金があったなら・・・怖いですね。
つまり、相続の先順位者の放棄についても、しっかり把握しておかなければいけません。
そういった意味でも、相続放棄は、知らないとヤバいのです。
相続放棄をしても、死亡保険金は受け取れる
ところで、相続放棄でよくある誤解が、死亡保険金の受取です。
相続放棄をした人は、死亡保険金は受け取れない・・・と思い込んでいる人も少なくないのですが、相続放棄をした人でも、死亡保険金は受け取れます。
相続放棄した人が、死亡保険金を受け取るなんて・・・と、感覚的に釈然としないかもしれませんが、堂々を受取ってかまいません。なぜなら、死亡保険金は、亡くなった人の財産ではなく、保険金受取人の「固有の財産」とされているからです。
相続放棄すると、死亡保険金がもらえなくなる・・・と心配されていた人は、安心ですね。
ただし、受け取った死亡保険金(契約者=被保険者の場合)は相続税の対象になります。
その際、死亡保険金受取人が相続人であれば、受け取った死亡保険金のうち「500万円×法定相続人の数」の金額が非課税となるのですが、相続放棄をした人は相続人ではなくなるので、この非課税枠は使えないことには注意しましょう。
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