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 香川県高校野球連盟は5日、第102回全国高校野球選手権大会と香川大会の中止を受け、県の独自大会を7月23日から開催すると発表した。会期は8月13日までの土日祝日などの計9日間で、無観客で実施する。トーナメント方式で、香川の「夏」の覇者を決める。

 県高野連は5日、丸亀市のレクザムBP丸亀で理事会を開き、大会の概要を決めた。大会名は「令和2年度香川県高等学校野球大会」。県高野連が主催し、日本高校野球連盟と朝日新聞社が後援する。

 会場はレクザムBP丸亀と高松市のレクザムスタジアムの2球場。7月23~25日の3日間のみ両球場で実施し、それ以外はどちらかの球場を使う。

 県高野連に加盟している38校全校が参加を表明している。組み合わせ抽選会は7月10日に実施する。

 今回限りの特別ルールも設けた。各校は原則3年生に限り、ベンチ入りメンバーを試合ごとに代えられる。延長十一回からタイブレーク制をとる。

 また、控え部員はスタンドでの応援を認める。今後の新型コロナウイルスの感染状況に応じ、保護者の入場を認めることも検討している。

 感染予防のため、県高野連は、試合当日に部員ら来場者全員の体温を確認し、37・5度以上の来場者は入場させないなどの対策をとる。

 県高野連の鏡原寿吉会長は理事会後の会見で「球児たちが、はつらつとした姿で練習の成果を発揮することを願ってやまない」と話した。

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 香川県丸亀市の飯山高校の野球部には、3年生の三つ子の部員がいる。それぞれ甲子園への憧れを抱きながら、練習を続けてきた。県の独自大会が開かれることになり、一緒に野球ができる最後の夏に挑む。

 三つ子は、長女でマネジャーの溝渕律心(りっしん)さん、長男で投手の優心(ゆうしん)君、次男で内野手の皐心(こうしん)君。同校の部員は選手8人、マネジャー3人の計11人だ。姉は3年生唯一のマネジャーで、弟2人はチームの主力を担う。

 部活動が約2カ月ぶりに再開した今月1日。同校のグラウンドでは野球部員たちが腕立て伏せの回数を測定した。顔をゆがめる優心君に、律心さんと皐心君が「あと5回はできる」「動きが遅くなっているぞ」と笑顔で励ました。

 3人が野球を始めたのは小学2年のころ。プロ野球の試合をテレビでよく見ていた父が、グラブを買ってくれた。近所の空き地で、3人でキャッチボールをして遊んだ。夏休みは毎年、3人そろって甲子園での高校野球の中継に釘付けになった。

 中学で優心君と皐心君は野球部に入った。だが、優心君は野球が面白くなくなり、1年の冬から部活動を休んだ。復帰したのは2年の夏。皐心君から「このまま終わっていいのか。お前と野球がしたい」と言われ、やる気を取り戻した。

 律心さんは弟たちをキャッチボールに誘ったり、彼らの試合を見に行ったりした。2人の姿を見るうち、一緒に野球に関わりたいとの思いが募った。先に推薦で入学が決まった2人と同じ飯山高校を受験し、合格した。

 高校で念願の野球部員になった律心さんは時々、打撃投手を務めたり、ノックをしたりする。「最近打てないよ」と皐心君がこぼすと、「体が開くのが早いかも」とアドバイスした。

 優心君と皐心君は1年の秋にはチームの主力になった。練習への姿勢が変わり、部活を終えて帰宅後も近所で素振りやランニングをするようになった。

 この春、3年生になった。新型コロナウイルスの影響で休校中も最後の夏に向けて、いつもの空き地でキャッチボールをしていた。

 5月20日、今夏の全国高校野球選手権大会と各地方大会の中止が決まった。

 皐心君は「落ち込んだが、悩んでもしょうがない」と県の大会開催を信じ、気持ちを切り替えた。

 だが、優心君は「まだ受け入れられない」と話す。1年でも2年でも夏の香川大会は初戦敗退したが、部内で唯一、「甲子園に行きたい」と言い続けてきた。ただ、部の全体練習が再開すると笑顔が戻った。「やっぱり野球は楽しい」

 律心さんも「中止と聞いたときは心が乱れた」という。弟たちが試合に出場しているのを見て内心うらやましいと思ったこともあるが、2人の陰の努力を誰よりも知っている。「最後まで全力でサポートしたい」

 選手が8人の同校野球部は他の生徒を勧誘するなどして出場するつもりだ。選手らは複数のポジションを守る練習をしている。

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 甲子園の道が絶たれた今夏、各校の3年生部員らはそれぞれ、自分なりの答えを探して前に進んでいます。最後の夏に向けた部員たちの思いを、随時紹介します。(平岡春人)

独自大会の感染症対策例

・部員や指導者は大会2週間前からの行動歴を記録する

・試合当日は部員らの体温を確認し、37・5度以上の部員らは入場させない

・バスの利用時や球場内を移動するときはマスクを着ける

・試合前後のあいさつで、選手は間隔を空けて整列する

・ベンチ前で円陣を組まない

・試合後は両校の選手がベンチやドアノブの消毒をする

・メガホンの使用や大声をあげての応援はしない