ハンセン病強制隔離に抗った京大医師の記録映画を公開
国のハンセン病隔離政策に一貫して反対し、患者の治療に生涯を捧げた京都大学の小笠原登(おがさわらのぼる)医師(1888~1970)のドキュメンタリー映画「一人になる」が京都シネマ(京都市下京区)で公開されている。10日まで。
小笠原医師は1915年に京都帝国大学医学科を卒業後、京大病院の皮膚科特別研究室でハンセン病患者の治療にあたった。
当時、ハンセン病は誤った認識から、国による患者の強制隔離が行われ、患者や家族らは苛烈(かれつ)な差別や偏見にさらされ続けた。「らい予防法」は1996年に廃止。2001年には、元患者による国家賠償請求訴訟で熊本地裁が隔離は違憲との判決を出し、国は控訴を断念。政府も謝罪した。
小笠原医師は、そのはるか前から隔離政策に反対し続けた。患者を守るためにカルテの病名欄を空欄にして診療し、ある患者の家族が職場を追われそうになった時には、同僚や上司を説得するため、遠方まで足を運ぶこともあったという。
映画では、国だけでなく医学界や宗教団体も差別に加担した事実にも迫る。プロデューサーの鵜久森典妙(うくもりのりたえ)さん(72)は「小笠原は医師、公務員、僧の三つの立場で同調圧力に屈しなかった。どれほど孤独だったか。タイトルは群れるな、という思いからつけた」と話す。
監督の高橋一郎さんは4日、大阪市淀川区のシアターセブンで、シンポジウムに出席後、虚血性心疾患で亡くなった。67歳だった。鵜久森さんは言う。「今もコロナで差別に苦しむ患者や家族はおり、過去の話ではない。人間の根っこは変わっていない。彼が一人になることを恐れず、医師として信じる道を進んだ背景を若い人にも知って欲しい」
大阪市淀川区の「シアターセブン」では18日まで、神戸市中央区の「元町映画館」では12~25日上映される。問い合わせは映画製作委員会(072・845・6091)。
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