歴史を刻んだ大阪桐蔭打線 1試合最多の6本塁打は「ヒットの延長」

山口裕起
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(28日、第94回選抜高等学校野球大会 準々決勝、市和歌山0-17大阪桐蔭

 夕暮れの甲子園に白球が舞った。しだいに、どよめきは大きくなる。6本塁打。昨秋の神宮大会王者、大阪桐蔭が選抜の歴史に新たに名を刻んだ。

 号砲は、2番打者の公式戦初の一発だ。2点リードの五回。谷口勇人が浮いたフォークを逃さず、「たたく意識でいきました」。快音を残した打球は、そのままバックスクリーンへ飛び込んだ。2死二、三塁から7番星子天真が続く。こちらも「しっかりたたけた」。スライダーを右中間席へ運んだ。

 勢いは止まらない。六回は伊藤櫂人(かいと)の2打席連続と代打の工藤翔斗の一振りで、1イニング3本塁打。七回にも海老根優大がアーチをかけ、38年前の第56回大会(1984年)に、清原和博桑田真澄を擁したPL学園(大阪)が記録した1チームで1試合6本塁打の大会記録に並んだ。

 今大会は1回戦の16試合で1本塁打しか出ず、長打が少ない傾向にあった。だが、昨秋のチーム打率4割超、17本塁打の優勝候補は例外だった。

 誰よりも驚いたのは、打った本人たちだった。「びっくり」「まさか」。歴代のチームに比べたら小粒で長打力はない、と自認しているからだ。そのうえ、全体的に打撃の調子も悪かったという。西谷浩一監督が「不安を持って試合に入った」と悩むほどだった。

 なぜ、快音が連なったのか。不調で、この日も朝からコーチとつきっきりで練習した伊藤は言う。「後ろにつなぐ気持ちだった」。谷口や星子の「たたく」という意識も同じ思いだろう。ミートを心がけて次の打者へ。得点を重ねても大振りにならず、その姿勢を貫いたことが好結果につながった。悲鳴を上げるほどの冬場の走り込みと筋トレで、パワーは身についていた。

 ヒットの延長が本塁打。その力をまざまざと見せつけ、強打者ぞろいだった歴代の先輩たちを超えた。

 だが、浮かれない。試合後、主将の星子はさらりと言った。「もう過去のことなので切り替えたい。僕らはがんがん打って勝てるチームじゃない」。4度目の春の頂へ、隙はない。

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この記事を書いた人
山口裕起
スポーツ部|野球担当
専門・関心分野
プロ野球、高校野球、大学野球、大リーグ、ゴルフ

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