趣味がないのは恥ずかしい? 歌舞伎もアニメも、な文化的雑食の時代

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聞き手・高重治香
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 人に語れるような趣味がないと、悩んだことはありませんか? 趣味について研究する片岡栄美・駒沢大学教授に、趣味語りの難しさや、「危険」について聞きました。

 ――私自身、これといった趣味がないことに悩んできました。博報堂の調査では、25・2%の人が「自分は無趣味である」と答えており、趣味がない人は少なくないようです。

 「趣味がない、というのは現代的な悩みではないでしょうか。働くことに精いっぱいだった時代には、趣味がなくても当たり前で、恥ずかしいとは感じなかったと思います。日本社会が豊かになるにつれ私生活や個性を大事にする傾向が生まれ、趣味を語ることで自分を表現することが求められるようになりました」

 ――趣味がないと、どんな時に困るのでしょうか。

 「履歴書やマッチングアプリには趣味欄があり、趣味が人柄、個性の判断材料にされています。趣味の話題は、友達を増やしたり、新しいネットワークを広げたりする資源でもあります。たとえば中学・高校では、趣味でクラス内のグループが分かれます。本当はクラシック音楽が好きだけど、友達をつくるためにアイドルを趣味にしたという子もいました」

 ――どのくらいやっていれば趣味と呼べるのでしょうか。

 「『うんちくが語れないから趣味というレベルではないかも』と、自問自答して趣味がないのではと悩む人は、『趣味』のハードルが高すぎるのではないでしょうか。私が行った調査で、『好きでよくやっている活動や趣味』を尋ねて48の選択肢を並べたら、95%の人が何かしらに○をつけました。お金や時間をかけなくても、好きでよくやることは、大抵何か一つはあると思います。猫が好きでも、散歩が好きでもいい。趣味をもっと幅広くゆるやかに考えればいいのではないかと思います」

趣味の話は「危険」? 「格付け」の認識

 ――とはいえ、友達との会話や企業などの面接で語るのに、すわりのいい趣味と、恥ずかしく感じる趣味とがあるような気がします。

 「若い人では、相手と趣味を通じて友人になれるかどうかを探る時に、どこまで自己開示するかで悩み、趣味の話に慎重になる人がかなりいます。そのテーマで毎年のように大学の卒業論文が出るほどです。たとえばアイドルのファンの場合、相手も同じ趣味を持っていたら『誰が好き』などその次の話に進みます。しかしわかってもらえないだろうと感じると、当たり障りのないところまでしか話しません。大人にとっても、趣味の話は危険な面があります。ライフスタイルや育ち方まで、見透かされてしまうことがあるからです」

 「人々がどんな文化活動を『…

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この記事を書いた人
高重治香
論説委員
専門・関心分野
ジェンダー、文化
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    天野千尋
    映画監督・脚本家
    視点

    たしかに「趣味」という言葉を使う時、「人に語らなければならない」というプレッシャーが付きまとうことは否めません。 「趣味は美術鑑賞ですって言ったからには、ある程度詳しくしとかないとな…」など、謎の義務感に駆られてしまう私のような人も割といる

    2023年6月30日 06:30