冤罪防止を体現、「伝説の裁判官」しのぶ 元最高裁長官や映画監督ら

阿部峻介
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 裁判官として30件以上の無罪判決をすべて確定させたことで知られ、冤罪(えんざい)防止を訴えて再審法の整備に尽力した木谷明さん(享年86)をしのぶ会が20日、退官後に教壇に立った法政大学東京都千代田区)であった。約200人が集い、「伝説の裁判官」と呼ばれた故人を惜しんだ。

 新人時代に教えを受けた元裁判官の水野智幸・法政大法科大学院教授は、主催者あいさつで「被告人の言い分を真剣にきき、証拠を徹底的に読み込む。そんな刑事裁判の心を伝えてきた」と話した。1期後輩だった島田仁郎(にろう)・元最高裁長官は「刑事裁判官としては、はるか大先輩のよう。無辜(むこ)の者を決して罰してはならないという信念を貫いていた」と振り返った。

「有罪の確信持てなければ無罪なんです」

 映画「それでもボクはやっていない」を制作した映画監督の周防正行さんは、作中の裁判官が「無罪でも、本当はやったと思ったことは」と問われて「ありません」と答えたのは、木谷さんの発言がベースだと説明した。

 「本当は真犯人かもと悩むと、証拠もないのに検察官の言い分を補って無罪の人を有罪にしかねない」「有罪の確信が持てなければ無罪なんです」――。周防さんは「木谷さんは裁判官でも絶滅危惧種だと言う人がいたが、まだ『木谷種』は絶滅していないと信じている」と話した。

 木谷さんは1963年に任官し、最高裁調査官や東京高裁部総括判事などを歴任。一度も無罪判決を出したことがない裁判官もいるなかで30件以上の無罪判決を出し、徹底した審理と緻密(ちみつ)な論理で検察にほぼ上訴もさせなかった。退官後は「再審法改正をめざす市民の会」の共同代表となり、昨年11月に亡くなった。

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