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大火の佐賀関に空き家561件 手放したくても取り壊せない事情

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伊木緑 遠藤隆史 贄川俊
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 大分市で18日夕に発生し、170棟以上に延焼した大規模火災は、市の東端に位置する人口7千人弱の佐賀関地区が現場となった。人口減少が進むこの地区は空き家も多く、かねて防災面での懸念があった。過疎化による災害リスクが改めて浮き彫りになった格好だ。

 市の2020年度の調査では、市内の全世帯数のうち、佐賀関地区は2%程度にあたる約4200世帯。これに対して同地区の空き家は561件で市内全体の約16%を占めた。

 背景にはこの地区の急激な人口減がある。25年10月末時点の住民基本台帳人口は6937人で、10年前から3割近く減った。世帯も600近く少なくなっており、家主のいなくなった住宅がそのまま放置され、空き家になっているおそれがある。

解体費用、通常の数倍

 NPO法人「空き家サポートおおいた」(大分市)によれば、「空き家を手放したい」という相談は、佐賀関地区から多く寄せられている。市も5カ年計画で空き家対策を進めているが、この地区に関していえば十分に機能しているとは言いがたいのが実情だという。なぜか。

 市や同NPOによると、過疎化が進む地区では空き家の活用策が乏しく、主な対策は取り壊しだ。しかし佐賀関地区は古い木造住宅が密集し、家々が接する道が狭く、解体工事の車両が入らず、廃材の持ち出しなどが手作業となって費用が通常の数倍になるという。

 市は空き家の所有者らに対して解体費用を補助しているが、「費用負担の問題もあり、なかなか協力が得られていない」と担当者は言う。

空き家の増加が防災力低下に

 名古屋大学減災連携研究セン…

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この記事を書いた人
伊木緑
東京社会部
専門・関心分野
ジェンダー、メディア、スポーツ
遠藤隆史
大阪社会部|司法クラブキャップ
専門・関心分野
司法、労働、福祉
  • commentatorHeader
    BossB
    天文物理学者・信州大准教授
    視点

    これは、国と行政が本格的に介入すべき課題です。大分市佐賀関の火災は、空き家が「個人の資産」ではなく「地域全体の災害リスク」へと変わっていることを示す象徴的な出来事だと思います。 私は、空き家問題を「防災」「若者移住」「地域活性」の三つを同時

    2025年11月20日 19:03
  • commentatorHeader
    たかまつなな
    笑下村塾代表
    提案

    佐賀関の大規模火災は、過疎化と空き家問題が引き起こす複合的な社会課題を浮き彫りにしました。 手放したくても取り壊せない空き家が地域に561件も存在し、それが延焼リスクを高めるという現実は、多くの限界集落が抱える課題の縮図です。特に、重機が入

    2025年11月30日 20:45

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