(社説)ナフサ供給不安 節約要請 始めるときだ
中東情勢の緊迫が続き、多くの石油化学製品の原料になるナフサの供給に不安が強まる。政府は日本全体として必要な量は確保されているとの説明を繰り返し、首相は国民への節約要請を否定している。しかし影響が長引けば、暮らしに欠かせない物資が手に入らなくなる恐れがある。後手に回ることなく、節約の要請を始める必要がある。
政府は少なくとも国内需要の4カ月分を確保していると説明し、中東以外からの調達に取り組む。だが、国内で使うナフサの4割超は中東産の輸入で、約4割を占める国内精製も、その元となる原油はほとんどが中東産だ。代替調達で国内の必要量を賄うのは難しい。ホルムズ海峡の開放が見通せないなか、国内の石油の備蓄やナフサを少しでも長く使えるよう温存することが、死活的に重要だ。
石油関連製品のサプライチェーン(供給網)では、川下にあたる企業にも製品の大幅値上げや新規受注の停止など混乱が広がる。冷凍保存袋の値上げやゴミ袋の品薄をはじめ、消費者が使うプラスチック製品にも影響は迫る。
政府は供給網で生じている原材料の調達難は「供給の偏り」や「流通の目詰まり」が原因だとする。具体的に把握した「目詰まり」は、民間事業者や業界団体への安定供給の要請などを通じて、解消に腐心している。取り組みを細かく公表して成果を強調するものの、政府に寄せられる相談は増えているという。もぐらたたきのような対応を続けるには限界がある。
川下の企業に影響が出た典型例が、塗装に不可欠なシンナーの供給難だ。日本塗装工業会は、塗装現場では供給網が寸断されていて、「政府発表と現場の実態には大きな乖離(かいり)が生じている」(加藤憲利会長)と訴えている。ナフサからプラスチック製品やゴムなど多様な製品を加工する供給網はすそ野が広く、細分化して複雑に入り組む。在庫の水準も様々だ。やむをえず中間製品の減産や値上げを迫られている企業もあるだろう。
深刻な事態に陥ってから需要を急激に抑え込む規制をかければ、社会の混乱は大きくなりかねない。パニック買いによる混乱や、景気に水を差すことが起きないよう目配りをしつつ、石油やナフサの供給見通しに応じて、段階的に抑制策を強めていくことが求められる。
レジ袋の削減や食品トレーを使わない商品の販売など、私たち消費者や事業者にも少しずつできることがある。今回の危機を脱プラスチックを前に進める契機にもしたい。
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