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【前編】Facebookの暗号資産「Libra」を知ろう! BCCC代表理事平野さん×「ミスビットコイン」藤本さん対談

フリーランスライター井上 マサキ

2019年6月、Facebookを発起人とする企業連合がブロックチェーン技術を使った暗号資産「Libra(リブラ)」を発表しました。27億人のユーザを有するFacebookをはじめ、参画メンバーには名だたる企業が名を連ねている一方、各国の政府や金融機関は新たな暗号資産(仮想通貨)に危機感を強めています。

世界の金融システムを変えるかもしれないと言われるLibraは、私たちの生活にどんな影響を与えるのでしょうか。また、同じ暗号資産であるビットコインとの違いは?

Libraが生まれた背景やその影響について、BCCC(ブロックチェーン推進協会)代表理事であるアステリア株式会社の平野洋一郎CEOと、「ミスビットコイン」こと株式会社グラコネの藤本真衣CEOに語り合ってもらいました。

グローバルな通貨を目指す「Libra」

――単刀直入にうかがいますが、「Libra」とは一体どういうものなのでしょうか?

平野さん:一言で表現するなら、「Facebookを発起人として設立された新たな団体『Libra協会(リブラ・アソシエーション)』が提案、発行しようとしている仮想通貨」です。

――「Facebookが独自に作った仮想通貨」ではないわけですね。

平野さん:そう誤解されている方も多いでしょうね。Libra協会は計28社が参画して立ち上がった団体です。Facebookをはじめ、VISAやマスターカードといった金融系のほか、携帯電話事業のVodafone、配車サービスのUber、音楽配信のSpotifyといった大手サービスが参加しています。

藤本さん:企業だけでなく、非営利組織や学術機関も含まれていますね。

――そのような組織を新たに作ってまで、Libraを提案した目的はどこにあるのでしょうか?

藤本さん:Libraは「世界中の人々にグローバルな通貨と金融インフラを提供すること」をミッションに掲げています。日本では想像しがたいと思いますが、世界全体では、金融サービスにアクセスできず、銀行口座を持てない成人が約17億人いるといわれているんです。銀行口座がなければクレジットカードが作れませんし、ネット上の多くのサービスはクレジットカード決済を前提としていますよね。

平野さん:しかし、そうした国でもスマートフォンの普及率はとても高いんですよ。

――世界銀行の報告 によれば、銀行口座を保有しない成人のうち、約3分の2が携帯電話を所有しているとあります。「銀行口座はないがスマホは持っている」という人たちが、スマホからLibraで決済ができるようになれば……

藤本さん:約17億人、世界人口の約30%が新たな顧客になりうるわけです。多種多様な企業がLibra協会に参画している意味も、そこにあるのではないでしょうか。

平野さん:Libraは2020年上半期のスタートを予定しており、それまでに100社以上の参画を目指しています。参画に意欲を見せている日本企業もありますし、今後メンバーは増えていくでしょうね。

企業連合の形をとった理由とは

――LibraはFacebookを発起人として立ち上がりましたが、Libra協会を率いる立場ではなく、あくまで「メンバーのひとり」として活動するとしています。その狙いはどこにあるのでしょうか。

平野さん:Facebookの動きを見ると、「公共性」に非常に気を使っていると感じます。Facebookは過去に個人情報漏洩が問題になりましたし、1社だけで暗号資産のサービスを立ち上げるとなれば「情報がなにかに使われるのでは」と疑われかねません。1社独占ではなく、企業連合という形にしたのもうなずけます。

藤本さん:そうですね。Libra(天秤座)という名称にも、「均衡や公平な分配を保つ」という意図を感じますから。現在のメンバーはアメリカ企業が中心ですので、今後アジアやアフリカの企業が加入すれば、より公平性・透明性のある団体に近づくのではと思います。

平野さん:一方で興味深いのは、Libraの発表を受けて、政府やレギュレーター(金融監督機関)から激しいリアクションがあったこと。こちらには気を配っていないんです(笑)。

――事前にネゴシエーションをしていないから反発があった、ということですね。

平野さん:これは恐らく計算のうちでしょう。政府やレギュレーターは慎重ですから、水面下で調整すれば保守的な仕組みになりかねません。ならば、いきなり理想とする姿を打ち出して、反発も含めてディスカッションしたほうが早い。その狙い通り、いまLibraについて世界中で活発な議論が起きています。Facebookだけで提案したら、ここまでの注目は集めなかったでしょう。

Libraは「投資対象ではない。詐欺には気をつけて」

――暗号資産(仮想通貨)といえばビットコインのイメージがありますが、Libraとビットコインは何が違うのでしょうか。

藤本さん:最も大きな違いは、Libraは価格がほとんど上下しないことです。こうした暗号資産(仮想通貨)は「ステーブルコイン」と呼ばれ、決済手段に使える通貨として期待されています。価格が大きく変動しないので、ビットコインのように投資の対象にはなり得ません。

平野さん:ここは強調しておきたいですね。「Facebookの仮想通貨だから、いま買っておけば絶対儲かりますよ」といった宣伝文句は間違っていますので、早く買わねばと考えている方は落ち着いてほしいですね。今後そういう詐欺が出る可能性もありますし。

藤本さん:それはありそうですね……。

平野さん:Libraはステーブルコインですので、インフレが激しい国でも一定の価値を持った通貨として機能します。「金融システムにアクセスできない人でも使えるように」というミッションを達成するには、世界的に価値を安定させることに意味があるのです。

――Libraが広まれば、モノの値段も全世界共通になるのでしょうか。

平野さん:Libraは特定の通貨と連動するわけではないので、各国でいくらに相当するかは、その国の通貨の状況で異なります。例えば、ペットボトルの水が「1Libra」だとしても、1Libraは130円かもしれないし、別の国ではもっと高いかもしれないし、安いかも知れない。ただ、Libraが各国通貨より圧倒的に流通するようになれば、「世界共通価格」として扱われることもあり得るでしょうね。


Libraが生まれた背景、ビットコインとの違いについて解説していただきました。対談後編ではLibraがどんな場面で使われ、どのような影響を及ぼすのかについて伺います。

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