広告特集 企画・制作 朝日新聞社メディアビジネス局

TOKYO SAKE PROJECT Tokyo Tokyo

「生まれたままの姿」の
酒を東京から世界へ

田村酒造場

日本酒といえば自然豊かな田舎で造られるイメージですが、実は東京にも酒蔵が。そんな「東京の日本酒」のこだわりを探るべく、9つの蔵や卸売店を回りました。今回訪れたのは、「嘉泉」を造っている田村酒造場さんです。

都心から西へ約40キロ。東京都福生市は、多摩川に沿って連なる河岸段丘の崖線(がいせん)から豊富な地下水が湧いている。江戸時代には玉川上水も整備された。そんな水が豊かな街で、田村酒造場は1822(文政5)年から酒を造り続ける。

田村家は古くからこの地で名主を務めてきた家だったが、9代目の時代に酒造りを始めた。

田村酒造場内の庭園

「当時江戸では、酒と言えば上方、中でも『灘の下り酒』が一大ブランドとして一世を風靡(ふうび)していました。それに対して幕府は地元で造る『江戸地廻(まわ)り酒』の生産を関東近県の豪商や豪農に奨励したんです。伏見、灘に対抗できるいい酒を江戸で、という思惑があったようです」。

そう話すのは、16代目当主の田村半十郎さん。敷地内には、創業当時の仕込み蔵が、現役で活躍しながらも細やかに手入れされ、往時を感じさせる美しい姿を見せてくれる。

田村酒造場の酒蔵

大樹の下から掘り起こされた
名水で造られた酒

もう一つ目を引くのが敷地内を流れる水。すぐ脇を流れる玉川上水から取水する、その名も「田村分水」。地域の生活用水や田んぼや畑のかんがい用水として利用されてきた。

田村分水にはコイが泳いでいる

しかし、酒を造るにはもっと多くの水が必要だった。敷地内をあちこち掘り起こすものの、なかなかいい水脈に当たらなかったという。

そんな中、樹齢800年とも1000年とも言われるケヤキの大木の下を掘り起こしたところ、水脈を発見。酒造りに適している水を得た喜びから、「嘉泉」という銘柄が生まれた。

ケヤキの大木

「丁寧に造り、丁寧に売る」
という家訓

約200年に渡り守り続けているのが「丁寧に造って、丁寧に売る」という家訓だ。

「丁寧に造るのは当たり前。でも、丁寧に売るというのは実はとても難しいのです」と田村さん。

自分たちが精魂込めて醸した酒を、誰がどんな状態で扱っているのか、目の届く範囲で売りたい。その思いから、清酒の消費がピークだった時代も大量生産はしなかった。

信念を貫く姿勢は代々受け継がれた。甘く低品質の酒がまだまだ出回っていた1973(昭和48)年、田村さんの父である15代目当主は、60パーセントまで削った高精白の米を使い、通常は一級酒の本醸造を二級酒として販売したのだ。

それが今も高い評価を得る「特別本醸造まぼろしの酒嘉泉」だ。

しっかりとした飲み口でありながら、後味はスーッと切れていく。1杯、また1杯と杯が進んでしまう心地いい酒だ。今でも日本酒ファンから高く支持される、この蔵を代表する酒となった。

特別本醸造まぼろしの酒嘉泉

「生まれたままの姿」
の日本酒

さらに、ここ10年ほどは「生まれたままの姿」を大切にしているという。

もろみを搾ってできた酒は、濾過(ろか)や加水で味わいを調整することがある。「スッキリさせたり、軽くしたりするのが目的ですが、やりすぎると日本酒の魅力である米のうまみや芳しい香りまで取ってしまいます」と田村さん。

「何かを引いたり足したりしなくても、そのままでおいしい。それもまた、『丁寧に造る』という精神につながっているのです」。

photo by Yoshihiro Shimizu

世界に向けて
「Made in TOKYOの酒」
を発信

今や「SAKE」として世界から注目される日本酒。そして、「TOKYO」はさまざまな文化を発信する世界の最先端都市だ。しかし「東京の酒」は、海外はもちろん、日本でもあまり認識されていない。

「東京は都会のイメージが強すぎて、いい酒ができるはずがないと思われてきた。今でもそうですが、50年ほど前はさらに厳しかった。先代である父は『東京の酒』ではなく『多摩の酒』と銘打っていた。東京の酒であることを隠したかったのだと思います」。

しかし実際は、江戸時代の灘、伏見に始まり、東京は古くから全国のありとあらゆる酒が集まってくる「最先端の激戦区」。「その時代のトレンドや技術をいち早く知り、それに負けない酒を造る努力を続けてきた。それが東京の酒蔵なのです」と田村さん。

photo by Yoshihiro Shimizu

今では全国どこでも当たり前の吟醸酒も、東京の酒蔵は早い時期から取り組んでいたという。そして今、田村さんは満を持して「東京の酒蔵」をアピールしていく考えだ。

「来年の東京五輪を控え、東京を訪れる海外の観光客もどんどん増えている。ミシュランガイドの星の数は世界一を誇ります。食や文化の最先端都市である東京で造る『Made in TOKYO』をしっかりとアピールし、東京の地酒文化を伝えていきたい」。

一方で、「日本の皆さんにも、日本酒の魅力をもっと知っていただきたい」と田村さん。「若い人や女性など知的好奇心がある方々に、日本酒のおいしさや料理とペアリングすることの楽しさを伝えていく。和食はもちろん、世界中の食が体験できる東京だからこそ、多彩な提案ができるはずです」。

(文:中津海麻子)

横田基地周辺の街並み 横田基地の関係者向けに、アメリカを中心に様々な国の飲食店や輸入雑貨店、古着屋などが多くあります。街は多国籍な文化が入り交じった異国情緒あふれる独特な雰囲気に包まれています。
玉川上水 江戸時代に造られた玉川上水は、 福生の自然と歴史の双方を伝えてくれます。また当時の優れた土木技術を今に伝えているとして、 国の史跡に指定されています。
田村酒造場

JR青梅線福生駅より徒歩10分
〒197-0011 東京都福生市福生626
TEL 042-551-0003
蔵見学/可・要予約(8:00~17:00)
見学定休日/月・日・祝

嘉泉

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