衝撃与えた初代、テーマ史の「バタフライ」 「映像の世紀」の27年

有料記事

平賀拓史
[PR]

 膨大な映像から激動の近現代史を描き出す、NHKドキュメンタリー「映像の世紀」。4月から新シリーズ「バタフライエフェクト」が放送中だ。1995年の初代放送から30年近くが経ち、取り上げるテーマや構成も、時代に応じて変わってきた。大きな変化が、通史からテーマ史に構成が変わったこと。制作者や歴史家に、その理由を取材した。

 「バタフライエフェクト」の第3回は「ベルリンの壁崩壊 宰相メルケルの誕生」(4月18日放送)。昨年12月にあったドイツのメルケル前首相の退任式で演奏された、歌手ニナ・ハーゲンの「カラーフィルムを忘れたのね」(1974年)を入り口に、メルケルらの半生を描いた。

 青年期を過ごした東ドイツの息苦しい体制を批判したこの歌に、政治家メルケルの源流がある――。一時代を築いた政治家の歩みを、ヒット曲という「からめ手」から描く。誰もが知る歴史的事件の映像を多々用いてきた「映像の世紀」シリーズとしては、やや変わった作りだ。

 「メルケルが東ドイツ出身であることに着目して、単なる『大政治家』の話に終わらせなかった」。ドイツ現代史が専門の北村厚・神戸学院大准教授はそう評する。「政治史と文化史が融合することで、歴史が身近に感じられる構成になっている」

 「新・映像の世紀」(2015年)からシリーズの制作を指揮するNHKの寺園慎一エグゼクティブ・ディレクターは「一人のちょっとした営みが、時空を超えて結実する。『バタフライエフェクト』というテーマでそれを伝えたいと思った」と語る。

「歴史を教える」から「歴史で教える」にマッチ

 95年放送開始の初代や「新・映像の世紀」は、19世紀末から現代までの歴史を、全回を通して描く「通史」だった。

記事の後半では大量の映像が記録される現代ならではの難しさや、ヒトラーの取り上げ方に象徴される歴史の語り口の「危うさ」について考えます

 一方、16年から放送の「映…

この記事は有料記事です。残り2034文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

お気に入りのニュースサイトをGoogleで優先的に表示できます。今すぐ「朝日新聞」をかんたん登録

この記事を書いた人
平賀拓史
文化部|論壇担当
専門・関心分野
論壇、社会思想、歴史学、ヨーロッパなど

関連トピック・ジャンル