(社説)防衛費概算要求 膨張の一途 持続可能か
「防衛力の抜本的強化」を旗印に、規模ありきで決めた計画に従い、膨張の一途をたどるが、持続可能なのか。財源の一部を賄う増税の開始時期が定まらぬ一方で、物価高や円安による費用の上振れも続く。年末の予算編成に向け、費用対効果や優先順位の厳しい吟味が不可欠だ。
来年度予算の各省庁の概算要求が出そろった。防衛費は今年度当初予算を約6千億円上回る8兆5389億円と過去最大を更新。初の8兆円台となった。岸田政権が「5年で43兆円」と総額を決めた整備計画の3年目にあたる。
敵基地攻撃にも使える長射程ミサイルの量産・配備など「スタンド・オフ防衛能力」の強化に9700億円を計上。うち3200億円は、多数の小型人工衛星を連携させて、目標を探知・追尾する衛星コンステレーションの構築に充てる。敵基地攻撃などのために必要な能力とされる。専守防衛を空洞化させ、軍拡競争による地域の不安定化を招かないか懸念は尽きない。
巨額の予算に見合う効果があるのか、かねて社説が疑問を呈してきたイージス・システム搭載艦の整備も止まらない。すでに2隻の取得経費の計上を終え、来年度は発射実験などの準備経費を入れた。
維持整備費を含めると1兆円を超す可能性が指摘される。元々の計画であった陸上イージスに比べ、1年の3分の1程度しか運用できないのに、倍以上のコストがかかるというのは、どう考えても割に合いそうにない。
5年で43兆円という計画は、1ドル=108円で計算された。その後、大幅に円安が進み、輸入価格は上昇。資材や労務費も高騰している。政府は効率化、合理化を徹底し、43兆円の枠は変えないとしているが、大胆な取捨選択なくして可能だろうか。
防衛省は少子化や人口減少に伴う自衛隊の隊員不足に危機感を強めている。一昨日には省内に設置した検討委員会が、給与面の処遇向上や生活・勤務環境の改善などを求める中間報告を出した。
概算要求にも、各種手当の見直しや隊舎の個室化などを盛り込んでいるが、俸給体系などの抜本改革に乗り出すなら、多額の費用が必要となる。43兆円の枠内でやりくりするなら、思い切った合理化が求められる。
防衛省・自衛隊では、川崎重工業からの裏金接待疑惑や潜水手当の不正受給など、不祥事が相次いでいる。徹底した綱紀粛正と再発防止策が明確に示されなければ、膨張予算への幅広い国民の理解は得られまい。





































