(社説)ロケット開発 厳しい試練と現実と
民間ロケットによる人工衛星の打ち上げが再び失敗に終わった。国の小型基幹ロケット「イプシロン」の開発も難航している。ロケットに対する需要は世界的に高まっているとはいえ、商業ベースで成功するには厳しい現実が待ち受ける。
18日に打ち上げられた「カイロス」2号機は、予定の飛行経路を外れたため、発射から約3分後に自動で爆破措置が取られた。人工衛星の軌道投入には至らなかった。
今年3月にあった初号機の打ち上げでは、直後に爆発炎上。約9カ月で2回目の打ち上げにこぎつけたが、ロケット開発の難しさを思い知らされる。当初は2020年代半ばに年間20回の打ち上げを目指していたが、遅れは避けられそうにない。原因を究明し、いかに早く次の挑戦につなげられるかがカギとなる。
カイロスを開発した「スペースワン」(本社・東京)は、キヤノン電子、IHIエアロスペースなど4社の出資で設立され、経済産業省や文部科学省の支援を受ける。和歌山県串本町に発射場が整備され、地域の活性化や観光資源としても注目される。
一方、宇宙航空研究開発機構(JAXA)がIHIエアロスペースと共同開発する「イプシロン」も、運用が見通せない。2年前の打ち上げ失敗の原因調査と再発防止には区切りがついたが、改良型「イプシロンS」のエンジンの燃焼試験で昨年に続き、先月も爆発事故を起こした。
そのため、今月改定される政府の宇宙基本計画工程表の案では、イプシロンSの打ち上げ予定の多くがいったん白紙となった。改めて時期を調整する。
政府は、2030年代前半までに官民あわせて年30回の打ち上げ能力を確保する方針を掲げる。大型基幹ロケットH3の運用が軌道に乗りつつあるものの、実現は容易ではない。米国のスペースXやロケットラボをはじめ、実績を持つ競合相手もいる。
今年度からは、企業や大学の技術開発を最大10年間にわたって支援する「宇宙戦略基金」の運用が始まった。総額1兆円を目指すという破格なものだ。
最新の技術開発に公的資金を投じる必要性は理解できるが、規模や使い道が適正なのかは、関係省庁のもとで不断の検証が欠かせない。
基金を配分するJAXAには、産業振興や安全保障分野での業務が増えている。失敗や遅れが続けば、計画にふさわしい組織の態勢が取れているのかという視点からの議論も必要だ。
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