日本の学生が世界を学ぶ意義
ローリーゼネック西出准教授 担当の模擬国連の授業
2019年6月21~23日の3日間にわたり、JUEMUN2019大会(Japan Uni-versity English ModelUnited Nations=日本大学英語模擬国連)が神戸市外国語大学で開催された。23大学から178人が集まったこの大会は、ドイツ、米国、中国、マレーシアなど、海外からの参加も多く、参加者の約3分の1が外国籍の学生たちとなった。
「模擬国連は世界中で行われている教育活動です。語学力だけでなく、リサーチ力、コミュニケーション能力、リーダーシップ、異文化理解など多くのことを学べます」と話すのは、ローリーゼネック西出准教授。この大会は西出准教授が中心となり、2010年に立ち上げたものだ。
模擬国連とはその言葉の通り、国連を模した会議を行うもの。学生は、経済や社会全般についての議決や勧告を行う国 連経済社会理事会の理事国(54カ国)それぞれの外交官役となり、与えられたテーマについて自国の考え・政策を主張。他国と交渉・折衝を重ね、委員会としての提言をまとめる。これらはすべて英語で行われる。テーマは国連で採択されたSDGs(持続可能な開発目標)のなかから選択される。同大会もこれに準じて行われる。
実際の国連と異なる点は、学生が自国ではない理事国の外交官の役割を担うこと。そのため、担当国の現状や法律、諸外国との利害関係など、幅広いリサーチが必要となる。文献を調べるのも英語が基本となる。
「模擬国連には日本の学生が英語を学ぶ意義のすべてが含まれていると考えています。この大学で教え始めた2007年から授業の一環で始めましたが、学内のみでは、緊張感が足りない。並行して年に2回開催される模擬国連世界大会にも参加しているのですが、開催地が海外のため、参加人数が限られてしまいます」(西出准教授)
より多くの学生に模擬国連を経験してもらうために生まれたのがJUEMUNだった。
模擬国連は課題を見つけ、克服する場
事務総長の松田華織さん
高校生にJUEMUNの内容を説明する地福春香さん
「今回のテーマは『雇用の促進と人々の保護』です。このテーマに基づいて『児童労働の完全撤廃』『機会と待遇における平等の実現』『労働権利保護と安全かつ安定した労働環境の推進』という三つの委員会を設置しました」
事務総長の松田華織さん(国際関係学科4年)は、今大会についてこう説明する。ホストである神戸市外大は、大会の運営も担当するが、これらも学生が中心となる。参加者の委員会や担当国の振り分けから、外交団がリサーチするにあたり基礎となる議題概説書の編集まで、業務は多岐にわたる。
「私は昨年の同大会に外交官役で参加しました。手探り状態で始めましたが、学ぶにつれ、知る楽しさも感じていきました。外交官役は主張をまとめ、1分間のスピーチをするのですが、そのためには表面的な情報では足りません。大使館に協力してもらうこともあります」
リサーチに加え、実際の会議では、初めて会う多数の外交官役の学生たちと交渉しなければならない。この経験が自信につながったという。
「私自身、昨年は経験者であるメンターなどに丁寧にサポートしてもらいました。今回はその恩返しの思いもあるんです」
事務総長補佐の地福春香さん(国際関係学科3年)は、1年生でJUEMUNを経験し、模擬国連世界大会にも2度(2017年カナダ、2019年米・ニューヨーク)参加した。
「私は模擬国連を自分の課題を見つけ、克服する場だと思っています。最初のJUEMUNでは自分のプレゼンテーション能力の低さにがっかりしました。カナダの世界大会では、理解は深まった手応えはありましたが、ネイティブスピーカーの学生たちの勢いに押され、自分の主張がなかなか通じませんでした。次の米国大会では、マネジメントやリーダーシップを意識できるようになりました」
来年11月、模擬国連世界大会が神戸市外大で開催される。
「世界大会には運営として関わるつもりです。円滑な会議運営に加え、これからも模擬国連大会の継続に尽力していきます」

