統合から生まれる本物の多様性
大阪府立大学で学べる学問分野の多さは、公立大学としては最大級だ。この多様性は大学統合の歴史によるところが大きく、各大学の歴史と強みが融合した結果といえる。
現在の大阪府大は2005年、大阪府立大学(旧)、大阪女子大学および大阪府立看護大学が統合されて誕生した。その前身は1883(明治16)年設置の獣医学講習所までさかのぼる。「統合によって、互いの文化を生かした新たな強みが生まれた」と辰巳砂(たつみさご)昌弘学長は語る。現在は、大阪市立大学との将来的な統合を見据えた教育プログラムの連携を進めている。統合されれば、日本最大の公立大学が誕生する。
専攻にとらわれない広く深い自由な学び
大阪府大の特長について辰巳砂学長は、「異なる分野を気軽に行き来できる垣根の低さにある」と言う。それは理系と文系、学生と教員、大学と企業、日本と諸外国など、あらゆる面にあてはまる。
大阪府大には学部がなく、学域・学類制を採用している。入学時に4学域13学類から専攻の大きな枠を選択し、2年次以降に専門領域を選択する。学類の分け方は独特だ。例えば、現代システム科学域マネジメント学類では、経営・経済といった文系の学問だけでなく、データ分析など理系に近い分野を組み合わせて学ぶことができる。同学類3年の中村元寛さんは、もともと経営学を勉強したくて入学したが、大阪府大で学ぶうちにコンピュータ技術にも興味をもち始めた。
現代システム科学域マネジメント学類3年の中村元寛さん、大学院生命環境科学研究科応用生命科学専攻博士後期課程2年の古谷舞さんと語り合う辰巳砂学長
「ビジネスとITのそれぞれを理解できる人はいますが、いま社会に求められているのは両方に強い人材だと思います」(中村さん)
もっと学びたい学生は、主専攻に加えて副専攻をとることもできる。生命環境科学研究科応用生命科学専攻博士後期課程2年の古谷舞さんは、作物学について研究する一方、副専攻で食生産科学を選んだ。獣医学類の学生とともに牛の世話をし、食の生産現場から販売流通までを一貫して学んだ。研修で海外の生産現場も見学した。
「複雑化する現代社会では、高い専門性と複眼的な思考をあわせもった人材が社会に求められる。そう考えて副専攻を設計しています」(辰巳砂学長)
入学後に、学びたい分野や内容が変わることもある。そのため、さまざまな学問を試せる機会を多く設けていると、辰巳砂学長は言う。
「1年次では基礎的な学びを行うと同時に学域を越えた学びも行います。他の学域の学生と混じりながら興味のあるゼミを取り、試しながら自分の道を見つけることができます。自分が思っていたのと、実際にやってみたら違っていたということがあってもよいのです」
また、教員・職員と学生の垣根も低く、学生のサポートも手厚い。中村さんは、「先生方や職員の方々の的確なアドバイスで、自分に合ったプログラムを見つけることができた」と語る。また、古谷さんは「研究室で先生といつでも気軽に話し合えることが大阪府大の魅力」だと言う。
変化し続ける現代で道を開く力をつける
46万㎡を超える広大な敷地面積を誇る中百舌鳥キャンパス
「実学」と「リベラルアーツ」の伝統を受け継ぐ大阪府大では、看護・リハビリなどの医療系学域や、獣医学、マネジメント学、情報工学、マテリアル工学、航空宇宙工学などの応用学問分野も多く設置されている。
医療系の資格取得にも強く、2018年度の看護師・助産師・保健師・理学療法士・作業療法士・管理栄養士の国家試験合格率はいずれも100%だ。
「大学で学び研究したことが世の中の役に立つ。それも100年後、30年後、5年後にそれぞれどう役立つのか、イメージをもてる環境を用意しています」(辰巳砂学長)
企業とのコラボレーションも積極的に行っている。辰巳砂学長自身、電気自動車への実装を見据えた次世代の電池「全固体電池」の研究者として、日本の大手自動車メーカーと連携し、最前線で開発を進めている。
研究面だけでなく人材育成においても企業と手を取り合う。「大学で学びながら産業界と交流できる機会が多くあり、そのことが自分の考え方を深めてくれました」(古谷さん)
さまざまな意味で垣根の低さが魅力の大阪府大。学生の視野は自然と広くなり、問題のとらえ方も変わってくる。
「自分の将来の目標を見つけ、それを実現する力を身につけてほしい。それができる環境が本学にはあります」(辰巳砂学長)

