相続税の税務調査の基本情報
まずは相続税の税務調査について、下記の基本的な情報を押さえておきましょう。
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税務調査の対象となる確率
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税務調査の連絡がくる時期
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税務調査の実施の流れ
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税務調査の対象となる年数
税務調査の対象となる確率は?
国税庁の発表によると、令和5事務年度(2023年7月~2024年6月)に行われた相続税の実地調査は約8,500件、簡易的な接触は約1.9万件でした。
2024年10月までの1年間に提出された相続税額のある申告書は約15.5万件なので、多少集計の時期はズレていますが、相続税の申告をした人のうち「およそ2割」が国税庁から何らかの連絡を受けた計算になります。
ただし、これはあくまで全体の数字の話で、申告内容に不備があったり、財産額が大きかったりするケースでは、調査の対象となる可能性はさらに高まると考えられます。
令和5事務年度における相続税の調査等の状況|国税庁
令和5年分相続税の申告事績の概要|国税庁
税務調査の連絡はいつ来る?
税務調査の連絡は、相続税の申告期限(相続開始を知った日の翌日から10カ月以内)から1~2年後の秋ごろに来ることが多いです。
これは、税務署の人事異動が7月に行われ、新しい担当者が案件の調査に着手する時期だからだと考えられます。
申告からしばらく経って、忘れたころに税務署から連絡が来るため、関連書類は大切に保管しておきましょう。
税務調査はどのように行われる?
税務調査は、ある日突然、調査官が自宅に押しかけてくるわけではありません。
一部の悪質なケースを除き、通常は次の流れで進められます。
| 流れ | 概要 |
|---|---|
| 1. 事前通知 | ・税務署の担当者から、相続人または申告を依頼した税理士に、調査したい旨の電話連絡が入る ・連絡は、調査予定日の7~10日前になることが多い ・書面添付制度を利用した場合、事前に税理士に意見聴取が行われる |
| 2. 実地調査 | ・調査官(通常は2名)が被相続人の自宅などを訪れ、相続人へのヒアリングや資料の確認などが行われる ・期間は1~2日間で、午前10時頃から夕方まで行われるのが一般的 |
| 3. 調査結果の報告 | ・実地調査の内容をもとに、税務署内で指摘事項の検討がされる ・その後、2週間~1カ月程度で、相続人または担当税理士に調査結果が伝えられる |
調査の結果、指摘事項があった場合には、修正申告をして追加の税金を納めることになります。
税務署は何年さかのぼって調べる?
税務調査では、過去5年分の「預貯金の動き」や「不動産や有価証券の購入状況」などが重点的に調べられます。
ただし、過去の相続について調べるために、10年分の預金通帳の履歴がチェックされることもあります。
また、2024年から相続開始前直前贈与の相続財産への加算が3年から順次7年に延長されるため、今後は過去7年分~10年分が対象となると思われます。
税務調査の対象になりやすい人の四つの特徴
税務署は、限られた人員で効率的に調査するため、「申告漏れの可能性が高い案件」に狙いを定めています。
ここでは、特に調査対象として選ばれやすい人の特徴として、次の四つを紹介します。
- 遺産総額が大きい
- 税理士に頼らずに自分で申告した
- 家族名義の預金や過去の贈与に申告漏れがある
- そもそも相続税の申告をしていない
特徴1. 遺産総額が大きい
一般的に、遺産総額が2億円以上の申告に対しては、税務調査が入りやすい傾向があります。
これは、申告内容に誤りがあった場合に、追徴課税となる金額が大きくなりやすいためです。
ただし、これはあくまで「目安」で、遺産総額が2億円未満なら調査対象にならないわけではありません。
特に、評価が難しい「土地」や「非上場株式」などが相続財産に含まれているケースでは、その評価額が適正か確認するため、調査対象になりやすい傾向があります。
特徴2. 税理士に頼らずに自分で申告した
相続税の申告は、税理士に依頼しなくても、ご自身で行うことが可能です。
ただし、税理士が関与していない申告は、税務調査の対象になりやすい傾向があります。
これは、専門家ではない個人が作成した申告書は、財産の評価ミスや計算間違いによる申告漏れなどが起きやすいためです。
特徴3. 家族名義の預貯金や過去の贈与に申告漏れがある
税務調査で特に指摘されやすいのが、「名義預金」と「生前贈与」に関する申告漏れです。
| 名義預金 | ・名義預金とは、配偶者や子供、孫の名義の預貯金口座でありながら、実質的には被相続人がお金を管理していた口座のこと ・名義預金は、「被相続人の相続財産」として申告しなければならないが、名義が被相続人になっていないことから計上漏れしやすい |
|---|---|
| 生前贈与 | ・相続時精算課税制度で贈与した財産の申告漏れや、相続開始前3年(2024年以降は段階的に7年に延長)以内の贈与が申告から漏れているケースなどがよくある |
これらは、相続人が把握できていないことも多く、申告漏れが起きやすいため、税務署が重点的にチェックするポイントです。
生前贈与を相続税対策として活用するには?贈与税の非課税枠や課税方式も解説
特徴4. そもそも相続税の申告をしていない
相続税がかかるにもかかわらず、期限までに申告をしなかった「無申告」のケースは、税務調査の対象となる可能性が非常に高いです。
「黙っていれば指摘されないのでは?」と考える方がいるかもしれませんが、税務署はKSK(国税総合管理)システムというデータベースで、亡くなった方の過去の「所得税の申告状況」などを把握しています。
KSKシステムに照会した結果、「相続税がかかる可能性が高い」と判断されれば、無申告に対して調査が開始されます。
税務調査にAI導入で追徴課税が増加!KSKも次世代システムへ完全移行|VSG相続税理士法人
税務調査が不安……しっかり備えたいなら「税理士に相談」を
ここまで税務調査の対象になりやすい人の特徴を見てきましたが、どうすれば調査の可能性を減らせるのでしょうか。
結論から申し上げると、もっとも着実な対策は「相続専門の税理士」に申告を依頼することです。
ここでは、その理由として以下の三つを紹介します。
- 「名義預金」や「生前贈与」などのリスクを適切に減らせるから
- 調査率を下げる「書面添付制度」を活用できるから
- 万が一の調査でも「立ち会い」をしてくれるから
理由1. 「名義預金」や「生前贈与」などのリスクを適切に減らせるから
前述のとおり、税務調査で指摘されやすいのは「名義預金」と「生前贈与」の問題です。
相続専門の税理士は、相続人へのヒアリングや過去の預金移動の分析を通じて、これらの税務リスクを一つひとつ洗い出してくれます。
もし「名義預金」の存在が確認されれば、確実に被相続人の財産として計上し、「生前贈与」も当時の状況を確認したうえで適切に処理します。
こうして、法的に正しい申告書を作成することで、税務署から指摘されるリスクを減らすことが可能です。
理由2. 調査率を下げる「書面添付制度」を活用できるから
「書面添付制度」とは、申告書の内容がどのように計算・整理され、どのような資料をもとに作成されたのかを、担当した税理士が詳細に記載して申告書に添付する制度です。
書面添付がされていると、「申告書の信頼性が高い」と税務署に判断されやすくなります。
また、税務署が申告内容に疑問を持った場合でも、すぐに実地調査に入るのではなく、まず税理士に意見を聴く機会が設けられます。
この「意見聴取」の場で税理士が疑問点を丁寧に説明し、税務署から調査の必要性がないと認められれば、実地調査には至りません。
書面添付制度を活用すると、結果的に、税務署の実地調査に移行する可能性が減ります。
理由3. 万が一の調査でも「立ち会い」をしてくれるから
相続専門の税理士が正しく申告しても、残念ながら調査の対象となる可能性をなくすことはできません。
しかし、もし税務調査の連絡が来たとしても、税理士に依頼していれば安心して対応できます。
これは、申告内容を把握している税理士が調査に立ち会い、調査官からの質問に対して、依頼者に代わって回答してくれるからです。
この税理士の立ち会いによって、申告者の精神的な負担は軽減されます。
【税務調査に強い】相続専門の税理士の選び方
相続税の申告を安心して任せられる税理士を選ぶには、事前に次の三点を確認することをおすすめします。
| 相続税の申告実績 | ・相続税を専門に扱っているか? ・公式サイトなどで、年間の相談件数や申告件数を確認する |
|---|---|
| 明確な料金体系 | ・料金体系が明確で、事前に見積もりを提示してくれるか? ・税務調査が入ることになったときの「立ち会い」の費用も確認しておく |
| 税務署の視点 | ・税務署が指摘しそうなポイントについて対策を打てるか? ・元国税調査官(国税OB)が在籍していれば、申告書チェックの精度や調査時の対応力に期待できる |
初回の相談が無料の税理士事務所も多いので、実際に話をしながら、これらのポイントをチェックしましょう。
相続に強い税理士の選び方|申告で失敗しないための3つの注意点
相続税の税務調査に関するよくある質問
最後に、相続税の税務調査に関してよくある質問にお答えします。
Q1. 税務署は、どうやって個人の財産を把握するの?
税務署は、主に下記の情報を活用して、被相続人やその家族の財産を把握しています。
| KSK(国税総合管理)システム | 全国の国税局と税務署を結ぶデータベースで、過去の申告・納税の履歴などが一元管理されている |
|---|---|
| 金融機関への照会 | 法律に基づき、銀行や証券会社などに預金残高や取引履歴の照会をかけられる |
| 不動産の登記情報 | 法務局の登記情報から、不動産の所有状況を把握する |
いわゆる「タンス預金」も、そのお金で不動産や有価証券を購入したり、家族の口座に入金したりすれば、上記の方法で税務署に把握されることがほとんどです。
Q2. 申告から何年経ったら調査は来なくなる?
相続税の「除斥期間」は、原則として申告期限から5年で、意図的に財産を隠すなど悪質なケースでは7年に延長されます。
この期間を過ぎると、国は相続税を課税できなくなることから、税務調査が入る可能性は減るかもしれません。
しかし、前述のとおり、税務署はさまざまな情報をもとに個人の資産状況を把握しているため、除斥期間の経過を期待して申告をごまかしても、ペナルティが課されることにつながるでしょう。
相続税の時効は5年または7年【時効の起算点や申告ミス・無申告時のペナルティを解説】
Q3. 調査で申告漏れを指摘されたときのペナルティは?
税務調査で申告漏れを指摘された場合、本来納めるべきだった税金に加えて、ペナルティとして、状況に応じて次の税金が課されます。
| 延滞税 | 法定納期限の翌日から納付する日までの日数に応じて課される税金 |
|---|---|
| 過少申告加算税 | 申告額が本来よりも少なかった場合に課される税金 |
| 無申告加算税 | 期限内に申告をしなかった場合に課される税金 |
| 重加算税 | 意図的に財産を隠した場合など、悪質なケースに課される税金 |
それぞれの詳細は、下記のコンテンツで解説しています。
相続税の税務調査で追徴課税が発生するのは9割!どんなケースで起きる?
Q4. 調査には何時間くらいかかり、どのような雰囲気?
調査は通常1~2日間、午前10時頃から始まり、お昼休憩を挟んで午後5時頃まで行われることが多いといいます。
雰囲気としては、調査官はあくまで事務的に、申告内容について淡々と質問を進めていくイメージです。
過度に緊張する必要はありませんが、誠実な態度で対応しましょう。
Q5. 調査結果に納得がいかない場合は?
調査結果に不服がある場合は、「税務署長等に対する再調査の請求」や「国税不服審判所長に対する審査請求」といった手続きができます。
ただし、これらの手続きには専門的な知識が求められるため、実際に行う際は税理士に相談することをおすすめします。
税務調査が不安なら……税理士に相談を
今回は、「相続税の税務調査の基本・対象になりやすい人の特徴・調査の可能性を減らすための対策」などを解説しました。
相続税の申告は、専門的な知識が求められる場面が多く、ご自身のみで対応することに不安を感じるのは当然です。
そこで、何かわからないことがあれば、相続専門の税理士に頼ることをおすすめします。初回の面談は無料の事務所もあるので、お気軽に足を運んでみてください。



