
【第1回】身近な税金と年末調整・確定申告
みなさんはじめまして、横川楓と申します。私は税理士事務所と芸能事務所に所属しながらファイナンシャルプランナーとして活動しています。このコラムでは「いまさら聞けないお金の話」を基本からわかりやすく、みなさんと考えていきたいと思います。よろしくお願いします。
突然ですが、みなさんは「お金」についてきちんと考えたことはありますか?
お金は私たちの生活にとても身近な存在ですが、お金にまつわる制度や仕組みなどは、ほとんど学校で習わずに大人になっていきます。
しかし、お金に関することを知っているかいないかで、その後の人生に大きな影響が及びます。
まずは身近な制度や仕組みを知っていき、「知らないと損!」をひとつひとつなくしていきましょう!
今回は身近な税金の仕組みの中で、会社にお勤めの方と特に関係が深い年末調整と確定申告の基本についてお話をしていきたいと思います。
こちらは両方とも納めすぎた税金を戻すための手続き。この仕組みをきちんと知ることで、今までよりももっと税金が返ってくるかもしれません!
私達に身近な税金って?
まずは一番身近な税金といえば、何かを買うときに必ず払っている「消費税」がありますよね。
消費税は、商品の定価に一律で8%がかかってきます。そして、2019年の10月にはこれが10%に増税される予定です。
8%って意外と大きいんですよね。
たまに「これ安い!」と思って商品をレジに持って行くと、税込の金額が表示されて実際に支払う額になり、税抜だから安く見えたのか…とがっかりすることもあります。
とはいえ、何か自分で商売をしていない限り、消費税が戻ってくるということは制度上ありません。なので、高いと思っていても必ず支払わなければなりません。
一方で、働き出すとお給料から引かれ、なんとなく税金って高いなぁと思いつつ、特になにもせずに終わりがちなのが「所得税」です。
(住民税も同じ印象の方が多いと思いますが、住民税についてはまた別の機会に…。)
お金があろうとなかろうと一律で8%がかかる消費税とは違い、所得税は人それぞれの生活状況で納める金額が変わってきます。そして、会社員の方が納めている所得税を収入や生活状況に合わせた金額に近づけるための手続で代表的なものが、「年末調整」と「確定申告」です。
年末調整って何を調整しているの?
会社員の方は毎年年末になると、勤めている会社にいくつか書類を提出して、年末調整という作業をしてもらっていますよね。年末調整が行われた後、お給料をもらうときに支給される額が少し多くなっていたことがあったりして、ラッキーと思ったことはありませんか?
実は所得税は1年間の所得によって決まるので、毎月引かれている金額は確定の金額じゃないのです。1年間の所得が確定した年末に、確定した所得税と今まで払った分の所得税の過不足が計算され、払いすぎていた分は返ってくるし、足りなかった分はお給料から引かれることになる。この仕組みが年末調整です。
年末調整の際に扶養家族だったり、保険だったり、住宅ローンについての書類を提出するかと思います。これらの書類が、皆さんの生活の状況に合わせて税金の金額を調整するためのアイテムなのです。保険を払っている、あるいは扶養の家族がいる場合には、そうでない人より所得税が少なくなるようになっています。
たいていの人がこの年末調整で税金の計算が済むのですが、住宅ローン1年目の人、年間で医療費をたくさん払った人、どこかへ寄付をした人、控除証明書を年末調整までに提出できなかった人などは、年末調整では対応できません。そういった人たちがしなければいけないのが、「確定申告」です。

確定申告をする必要がある人って?
確定申告とはそもそも何かというと、こちらも1年間の所得からそれに対する税金を計算して、税務署に申告する手続のことをいいます。
会社にお勤めの方の場合は基本的には年末調整だけで済むのですが、確定申告をしなければならないケース、確定申告でしか納めすぎた税金を返してもらう手続きができないケースなどがあります。
確定申告の必要がある人は、
- 給与が年間2,000万円を超える人
- 給与を2か所以上から受けている人
- 副業をしていて、20万円以上の収入がある人など
です。
また、確定申告をすることでさらに控除を受けられる人は、
- 高額な医療費を払った人
- 家を購入して住宅ローンが1年目の人(2年目以降は年末調整)
- どこかへ寄付をした人
- ふるさと納税をした人で、6自治体以上にふるさと納税をした人
- セルフメディケーション税制の対象になる薬を一定額購入した人
- 年末調整で出しそびれた控除証明がある人
などがあげられます。それぞれの控除の詳細については、また今後ご紹介していきますね。
確定申告というと、なかなかやる気にならないのが現実です。
そんな皆さんに、ぜひ知ってもらいたいことがあります。
去年の申告もまだ間に合います!還付申告の期限は5年間
確定申告というと3月15日までと思っている人が多いのですが、それは間違いです。この控除を受けるための申告(還付申告)の期限は、申告をしようとする年の翌年1月1日から、なんと5年間!翌年3月15日じゃないのです。
申告書を作るのがとにかく大変なイメージがあるかもしれませんが、自分で何かを書いたり計算したりは特にしなくても、今はインターネット上で必要事項を入力していくだけで申告書が作れます。もちろん何をどうしたらいいのか全くわからないという方は、必要なものを全部持ってひとまず税務署に相談しにいけば、職員の方がやり方を教えてくれます。
せっかく控除をすることができる書類があるのに、家で眠ったままの人。毎年3月15日までにやらなきゃと思いつつ、忙しくて間に合わないとあきらめていた人。今からでも遅くありません!ぜひ自分のできる時間を使って申告をして、納めすぎた税金を返してもらいましょう。