酒と音楽 濃厚な関係 振動で発酵促進 飲み比べも
日本酒に音楽を振動とともに聴かせると味が変わるのか――。徳島県三好市池田町の三芳菊酒造と音響機器メーカーのオンキヨー(大阪府東大阪市)が、醸造過程で音楽による振動を与えた日本酒を造る「加振酒プロジェクト」に取り組んでいる。振動を与えていない酒と飲み比べてもらうことができるクラウドファンディング(CF)も実施中だ。
三芳菊酒造の馬宮亮一郎社長(53)は、もともとロックなど音楽好きの杜氏(とうじ)として知られ、酒蔵でライブを開いたり、アニメとコラボした日本酒を発売したりしてきた。ただ、昔から全国で発売されている、「音楽を聴かせて造った」とうたう日本酒には懐疑的だったという。
山口県の酒造会社が、オンキヨーが開発した加振器を使った日本酒づくりをしていることを知り、「実際にタンク内のもろみを振動させるなら、単に音楽を聴かせるよりは、物理的な効果があり風味に違いがでてくるかもしれない」と感じ、自身も挑戦してみることにしたという。
今回のプロジェクトでは、オンキヨーの加振器を三芳菊の醸造タンクの外側に設置し、タンク内に均一に振動を伝えた。酒は県内産の酒米をつかい、事前の実験で最も振動の効果があるとされた精米歩合70%の純米酒に決めた。
醸造は4~5月に行い、最後の「留め」の工程から搾りまでの約1カ月、モーツァルトの楽曲による振動を与え続けた。タンク内にはオンキヨーが水中マイクを設置し、発酵が進むにつれて振動の伝わり方がどう変化するかも観測した。
同時にまったく同じ原料、条件で、振動を与えない酒も造った。馬宮さんは「振動を与えた酒は、与えていない酒に比べて発酵が進み、濃厚でしっかりした味に仕上がった」。720ミリリットル瓶で1500本分ずつ造り、「壱ICHI」と名付けた。
オンキヨー開発部の北川範匡さんは「今後も研究を続け、どのような工程でどの程度振動を与えるのが最も効果的かを突き止めたい。版元と交渉して、アニメや海外の著名なアーティストの楽曲の使用も検討している」。馬宮さんは、「阿波踊りの『ぞめき』の振動を与えれば、名実ともに徳島の酒といえるかもしれない」と夢を語る。
CFはサイト「Makuake」(https://www.makuake.com/project/miyoshikiku-01/
)で30日まで実施。返礼品として「加振酒」1本なら4千円、「加振酒」と振動を加えていない酒の1本ずつの飲み比べセットは5千円から。
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