体は言葉よりも物を言う 美学者・伊藤亜紗さんが聞き取りたいもの
体について研究する美学者の伊藤亜紗さんは、話したり書いたりする言葉だけではなく、人の身体が発する「体の言葉」を聞き取りたいと言います。体の言葉っていったい何? なぜそれを聞き取りたいの? 離れて言葉を交わすネットでもそれは可能? 問いを重ねるうちに、考えや思いを伝えるという人の行為の奥深さが見えてきました。
記事で問いかけ→皆さんの声→伊藤さんのRe:
伊藤亜紗さんが動画で問いかけた「あなたの怒りや、やる気の引き金になるスイッチは何ですか?」。みなさんならどう答えますか。記事の末尾にある「おたよりフォーム」から書き込んでみてください。
――様々な障害がある人にインタビューされています。
不自由な体と向き合って何十年もかけて培ってきた知恵みたいなものを教えていただいているので、毎回、敬意を抱きます。なかでも、食道がんになって喉頭(こうとう)を摘出し、声を失った方へのインタビューは印象深いですね。
その方は気管孔が開いていて、声を出そうとするとヒューという音がする。はじめはヒューという「音」でしかないんですが、2時間ほど話をしていると、ふと「声」に聞こえた。「そうそう」と言われた気がしたんですね。タブレットで言葉をやりとりしていたのですが、相づちをうつ時にヒューという音がした。ヒューと相づちが無意識に結びつき、「そう」という「体の言葉」として理解できたということでしょうか。
――興味深いですね。
何らかの障害がある人に限らず、初対面の人って動きが読めないですよね。でも、共に過ごしていると、こういう時に笑ったりうなずいたりすることが分かってくる。ヒューが「そう」に聞こえるようになったのも、同じでしょう。
答えを求めず一緒に考えたい
――インタビューする際、気を使っていることはありますか。
答えを求めないことです。
相手の話を一方的に聞くのではなく、相手が考えたことがないことを一緒に考えたい。私と話をすることで、体について新しい見方を獲得し、体との付き合い方にいい影響が出ればいいなと思っています。
――それって「対話」では。
そうかもしれません。学生にも言うのですが、対話と討論とは別物です。討論は自分の考えを相手に納得させるのが目的。対話は、それを通じて気付きがあり、自分や相手が変わることが重要。その点からすると対話ですね。
――インタビューというかたちの対話……。最近、記憶に残ることはありましたか。
先日、拒食と過食を繰り返す摂食障害の人へのインタビューをしました。食べない時は、カロリーなどを徹底的にコントロールするのに、どうでもよくなると際限なく食べてしまうそうです。今はもう症状はないのですが、何かをきっかけに衝動が生まれそうになる。それを説明される際、「スイッチが入る」と表現された。
実は私自身、吃音(きつおん…
お気に入りのニュースサイトをGoogleで優先的に表示できます。今すぐ「朝日新聞」をかんたん登録
おおたとしまさ教育ジャーナリスト視点私も職業柄、インタビューをする側にもされる側にもなります。 インタビューをしているとき、こちらの質問に対して、間髪入れず立て板に水のように出てくる言葉には色気がありません。そこで「うーん」としばらく黙り込んで、宙をにらんで絞り出してくれた
2023年6月27日 08:03
中川文如朝日新聞コンテンツ編成本部次長視点「いやいや、私が言いたいのはそういうことじゃなくて……」って思わず口走っちゃったこと、誰にでも一度や二度はあるんじゃないでしょうか。せっかちな不肖・私、何度もあります。 でも、それじゃダメなんですね。伊藤亜紗さんのこの言葉に、気づかさ
2023年6月23日 08:35












































