賃金下がる「60歳の崖」問題 専門家が改善を期待できると語る理由

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聞き手・北川慧一
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 60歳を過ぎても働く人が増えるなか、賃金が大きく下がる「60歳の崖」の問題が指摘されています。労働法が専門の東京大学社会科学研究所の水町勇一郎教授は、賃金制度は企業の選択だとしつつも、将来的には下げ幅が縮小していくとみています。高齢者が働くのが当たり前の時代で、賃金はどうあるべきなのかなどを聞きました。

――60歳を境に賃金が下がる60歳の崖の問題があります。

 「かつては55歳で定年を迎えるのが一般的でした。1986年に高年齢者雇用安定法が制定され、60歳定年が広がりました。さらに継続雇用の対象が65歳へと段階的に引き上げられました。こうしたなかで、60歳以降の賃金が下がることについて、法律は禁止してきませんでした」

――企業はなぜ賃金を下げたのでしょうか。

 「給料が高いと年金が減ってしまう仕組みが、影響していたとみています。60歳以降に働きながらもらう『在職老齢年金』は、65歳未満の人の給料や年金の合計額が月28万円を超えると年金がカットされていました。そのため、年金などと合わせて28万円になるように賃金を設定する企業が多かった。60歳までの賃金水準が高い企業ほど削減幅が大きくなるという事態が起きました。法改正で2022年4月から月47万円に引き上げられ、今年4月以降は月48万円になっています。働きながら年金を受給できる範囲は広がりました」

――今後は60歳を過ぎても、賃金があまり下がらなくなっていくのでしょうか。

 「かつて定年が55歳から60歳に引き上げられたときも、50代後半の賃金は大きく下がりました。賃金を維持することは企業の財政上難しかったからです。60歳が定着するにつれて、次第に賃金はフラット化されていきました。いまは大きく下がる60歳以降についても将来的には調整が進むと思います。標準的な年金が支給できる65歳までは、労働法の保護をきちんと受けられる雇用形態であるべきです。企業はそれぞれの能力を生かせるポストと仕事を与えて、それに見合った処遇をする。実際、競争が激しい企業では、年齢にかかわらず能力のある人を処遇しないと生き残れないというところも出てきています」

みずまち・ゆういちろう 1967年生まれ。東京大学社会科学研究所教授。厚生労働省「新しい時代の働き方に関する研究会」構成員。著書に「詳解労働法」など。

 「定年が65歳に延長される…

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この記事を書いた人
北川慧一
首都圏ニュースセンター次長
専門・関心分野
労働政策、賃金、働き方
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    千正康裕
    株式会社千正組代表・元厚労省官僚
    視点

    定年でいったん待遇をリセットするのは、悪くないような気がする。人生100年時代と言われる中で個人の人生設計としても、長く元気に活躍してもらうことは大切なことだ。また、社会保障制度の持続可能性や生産年齢人口が減少していく中で人材不足に対応する

    2023年10月28日 17:54

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