英国の「AIおばあちゃん」が詐欺師を翻弄 「長電話」で時間を浪費

ブリュッセル=牛尾梓
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 英国で「AI(人工知能)おばあちゃん」が詐欺師を「翻弄(ほんろう)」している。78歳の女性という設定の対話型AIで、名前はデイジー。電話をかけてきた詐欺師に本物の人間と会話していると思い込ませて、時間を浪費させることで電話詐欺の被害を減らすのが狙いだ。

 デイジーは英携帯大手O2が開発した、電話詐欺対策のチャットボットだ。英国では電話を使った詐欺が深刻化している。

 そこで2024年11月に誕生したのがデイジーだ。O2は、ネット上で売買される「名簿」に、デイジーの電話番号を複数件、紛れ込ませた。

 デイジーにつながった詐欺師が、偽アプリをダウンロードさせようと、グーグルのアプリストア「グーグルプレイ」に誘導すると、デイジーは「いま、ペイストリーって言った? 三角形のアイコンは見えるけど、パイの切れ端かも」ととぼける。さらに、「あなたの地域にはおいしいペイストリーがあるかしら。私はおいしいスコーンが大好きなの」と話は脱線していく。

 ペースを乱された詐欺師が「人をうっとうしがらせる天才ですね」と嫌みを言っても、デイジーは「ちょっとおしゃべりなだけよ」と軽く受け流す。

 O2によると、約1年間で1千人以上の詐欺師がデイジーと「長電話」をした。最長で50分に及んだ通話もあったという。詐欺師はデイジーとの会話に時間をとられることで、実際に人間をだます電話をかける時間が少なくなる。

 こうした取り組みが評価され、25年10月に英国のマーケティング会社が主催するコンテストで、「AI最優秀活用賞」を受賞した。

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この記事を書いた人
牛尾梓
経済部|電機・IT業界担当
専門・関心分野
テクノロジー、AI、データジャーナリズム
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    インベカヲリ★
    写真家・ノンフィクションライター
    視点

    AIおばあちゃんの会話から逮捕につなげるのかと思いきや、デイジーとの会話に時間をとられることで、詐欺師の労働時間を奪うという、アナログな予防手段であるところが面白い。詐欺をやめさせるためには、説得や罰則よりも、作業効率が悪いことをやり続けさ

    2026年1月2日 16:15
  • commentatorHeader
    鈴木一人
    東京大学大学院教授・地経学研究所長
    解説

    ネット上で売買される名簿があるとわかっているなら、その名簿の売買を止めさせるのが筋なような気もするが、泳がせておいて、こうしたAIにつなげるのも一つの考え方だろう。しかし、詐欺師も効率的に行動しなければ生産性が上がらないので、こうした引き延

    2026年1月2日 17:22

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