(社説)ながら運転防止 対策の担い手を広げて

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 スマートフォンなどを見ながら車を走らせる「ながら運転」は、命に関わる危険な行為だ。スマホがあらゆる場面に浸透し、誰もが事故の加害者にも被害者にもなりうる。さらなる対策の充実が求められている。

 三重県亀山市の新名神高速で3月、6人が死亡した多重事故は、その危険性を改めて突きつけた。津地裁は、大型トラックを運転中、スマホに十数秒間目をやっていた元運転手に、自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致死)の罪で拘禁刑7年を言い渡した。判決などによると、SNSの動画のスクリーンショットを撮るためで、渋滞で停車中の乗用車に追突。さらに前方の乗用車などを巻き込んだ。

 脇見をしていなければ、防げた悲惨な事故だ。最高刑が拘禁刑20年の危険運転致死傷罪の類型に、ながら運転を加えるべきか、改めて検討する必要もあるだろう。

 運転中の携帯電話使用は、2004年の道路交通法改正で、事故を起こしていなくても罰則の対象になった。その後、スマホやカーナビの注視による事故が増えたことなどから、ながら運転の罰則は19年に大幅に厳しくなった。

 それでも、警察庁の統計では、25年にスマホなどの使用中に発生した自動車の交通事故は、「死亡」「重傷以上」で計148件。20年の67件から増え続けている。ながら運転は、死亡事故につながる割合が高い。警察庁には啓発や取り締まりのさらなる強化に踏み出してもらいたい。

 対策の担い手は、警察だけにとどまらず、関係省庁や団体、企業へ広げていきたい。国土交通省は、運転者の眠気や脇見を検知して警報を出す「ドライバーモニタリングシステム」を義務づけるよう、保安基準を改正した。新型車は31年9月、継続生産車は33年9月から適用する。自動車メーカーによるさらなる技術開発も重要になる。

 新名神事故の公判で検察側は、元運転手のながら運転の常習性を指摘していた。スマホの誘惑に負けるドライバーの存在を前提に、対策を講じていくべきだろう。

 16年10月には愛知県一宮市で、スマホ向けゲームをしながら運転していた男のトラックに、小学生がはねられ亡くなった。この事故の後、県警などの要望を受けたゲーム運営会社は、一定の速度以上で移動している時は操作ができない仕様に変更した。

 スマホに関わるメーカーやプラットフォーム、アプリ提供業者も、実効的に防ぐためのサービス改修に主体的に取り組んでほしい。

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