外国人の不法就労通報で報奨金、茨城県が創設へ 「差別助長」懸念も

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張守男 浅田朋範 山本知佳
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 茨城県は、外国人の不法就労についての情報を募り、県警による摘発につながった場合に報奨金を支払う「通報報奨金制度」を新年度から始める。出入国在留管理庁(入管庁)にも同様の通報制度があるが、県によると、都道府県レベルではあまり例がないといい、識者からは「差別を助長するおそれがある」との指摘も出ている。

 18日に公表した新年度当初予算案に関連事業の費用を盛り込んだ。

茨城県は3年連続最多

 背景には、茨城県は農業分野を中心に不法就労の外国人が多いことがある。入管庁によると、2024年に不法就労と認定された外国人1万4千人あまりのうち、茨城県で働いていたのは3452人で、都道府県別では3年連続で最多だった。

 県外国人適正雇用推進室によると、これまで職員が事業者を直接訪問して不法就労者を雇わないよう呼びかけるキャンペーンを展開してきたが、新年度からインターネットを利用した情報提供システムを導入し、不法就労の情報提供を呼びかける報奨金制度を創設するほか、業界団体や市町村による情報収集体制も強化するという。

 報奨金制度は、寄せられた情報をもとに担当者が調査し、不法就労が疑われる場合には県警に連絡する流れ。報奨金は数万円程度を想定しているという。

「人権に配慮した形で」

 推進室の担当者は「不法就労している外国人より、不法に雇用している事業者の情報提供が多くなるのではないかと想定している」としたうえで、「人権に配慮した形で制度の詳細を詰めていきたい」としている。

 大井川和彦知事は記者会見で「不法就労が全国でもトップクラスという問題解決のために抜本的な対策を取らないといけない」とし、外国人の人権侵害が起きたり、密告を奨励したりする懸念については、「確認できた不法就労だけ警察に通報する仕組み。まじめにやっている外国人労働者まで不安に陥れるような身もふたもない話には絶対にならない」と強調した。

相談より「隠れる」可能性も

 茨城県の施策に対し、外国人支援の団体や識者から懸念の声があがる。在日ベトナム人を支える日越ともいき支援会(東京)の吉水慈豊(じほう)代表理事は「相談するよりも隠れることを選んでしまう外国人が増える可能性がある」と言う。

 同会が支援してきた外国人のなかには、実習先から解雇されたり、パワハラなどが理由で失踪したりして住む場所を失い、お金もなく帰国できずに非正規滞在状態に陥る人たちも少なくない。そんな中で通報制度が始まれば、通報を恐れて相談しづらくなり、万引きなどほかの犯罪に手を染めることになりかねない。

 吉水さんは「困っている人ほど声を上げられない。通報を増やす仕組みよりも、早い段階で安心して相談できる環境づくりが重要だ」と話す。

同様の入管庁の制度、実績は

 移民政策に詳しい国士舘大学…

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この記事を書いた人
張守男
ネットワーク報道本部|首都圏ニュースセンター
専門・関心分野
まちづくり、人口減、AI、不動産
浅田朋範
東京社会部|司法クラブ
専門・関心分野
司法、日本で暮らす外国人、ヘイトスピーチ
  • commentatorHeader
    安田菜津紀
    フォトジャーナリスト・D4P副代表
    視点

    差別を扇動する最低の愚策です。「外国人を疑いの目で見ろ」と報奨金で煽る、公的排外主義でしかありません。 この社会には包括的に差別を禁止する法も、人種差別撤廃法も、政府から独立した人権機関も存在しません。外国人が直面する困難や困りごとの公的

    2026年2月20日 14:54
  • commentatorHeader
    堂本かおる
    ニューヨーク在住ライター
    提案

     報奨金付きの密告制度を「人権に配慮した形で」行えるはずなどない。県による制度ゆえに県民に真っ当な制度だと思わせてしまい、それはやがて不法就労者だけでなく、移民全般への反感を募らせていく下地となる。  移民による不法就労を減らしたいのであ

    2026年2月21日 07:42

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