朝日 地球会議2019特別協賛企業・団体による 特別講演・登壇

朝日 地球会議2019 特別協賛企業・団体による 特別講演・登壇 広告特集 企画・制作 朝日新聞社メディアビジネス局

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パネル討論
水素社会における地産地消の実現に向けて
小島 康一
トヨタ自動車先進技術開発カンパニー 先進技術統括部 環境技術企画室 担当部長

エネルギー資源不足の日本が目指す水素社会

水素社会に関わる取り組みについて語る小島康一氏

二酸化炭素(CO₂)を排出しないことから脱炭素社会の次世代エネルギーとして注目されるのが「究極のクリーンエネルギー」とも呼ばれる水素だ。具体的に水素の特長として挙げられるのは①エネルギーを生む際にCO₂を排出しないこと②石油や天然ガス、バイオマス、下水汚泥など地球上のあらゆるところに存在し、水の電気分解でも調達できること③長期間大量に貯蔵でき送電線がない場所にも運べることの3点。①はパリ協定で定められた温室効果ガスの削減目標「50年度に13年度比80%削減」の順守に、②は日本における慢性的なエネルギー資源不足の解消に、③は災害時の対応や貿易に利するもので、日本が水素社会から得られるメリットは計り知れない。

水素社会の実現に向けて叫ばれているのが地産地消だ。理由は主に運搬コスト。水素はガスなので、電線を通して運ばれる電気とは違い運搬にお金がかかる。また、長距離の運搬で多くのエネルギーが消費されては本末転倒にもなりかねない。そのため、地域で水素を生産し消費する社会の構築が望まれる。これが実現すると、エネルギーを地域ごとに蓄え、ある地域でインフラが機能しなくなった際も近隣から水素を運ぶことで復旧を早められる可能性があることから、自然災害の多い日本にとって魅力は尽きない。

水素の地産地消をFCVから始めよう

水素の地産地消に向けて、福島県いわき市を中心に「いわきバッテリーバレー構想」という取り組みが行われている。いわき市中心部から60㌔ほど北に位置する浪江町では、世界最大級の水素製造プラントの建設が進んでおり、将来はここで作った水素をいわき市の燃料電池車(FCV)に供給することで、再生可能エネルギーの地産地消を目指す。また浪江町で生産された水素は、20年に開催される「東京2020オリンピック・パラリンピック」の選手村の電源や熱源に使われる予定だ。

今年3月、この流れに合わせていわき市では県内初の定置式商用水素ステーション「いわき鹿島水素ステーション」が開所した。開所式に集まったトヨタ自動車のFCV「MIRAI(ミライ)」は全部で24台。これらはすべて市内の民間企業、個人所有によるもので、年内にはさらに40台以上が市内に納車される。市では来年3月にトヨタ自動車のFCバス「SORA(ソラ)」を納車する予定だ。最終的な目標である人口1人当たりFCV普及台数日本一に向けて、いわき市は官民一体となって水素社会の実現に取り組んでいる。

いわき市にFCVを納入しているトヨタ自動車は水素ステーションのインフラ整備にも積極的で、エネルギー会社や経済産業省と連携し、これまで4大都市圏を中心に100カ所を超える水素ステーションの整備に関わってきた。これとは別の動きとして「いわき鹿島水素ステーション」が開所した際に、同社先進技術開発カンパニーの小島康一氏は、水素社会実現への新たな可能性を感じたという。

小島氏は「トヨタ自動車は水素が再生可能エネルギーと並びエネルギー供給の一翼を担うものと考え、クリーンエネルギーである水素を使うのがあたり前の社会を目指し、燃料電池の開発を継続しています」とも語る。

今年10月に開かれた東京モーターショーで、トヨタ自動車は次世代FCVの開発最終段階モデル「MIRAI Concept」を発表したばかり。FCシステムをすべて一新し、性能の大幅な向上、水素搭載量の拡大による航続距離の約30%延長(従来型比)を目標に開発が進められている。東京都もFCVや燃料電池バス(FCバス)の20年以降の普及を目指して水素ステーションの整備を急いでいる。今後、水素ステーションのインフラ整備が全国的に進み、「ミライ」や「ソラ」のようなFCV、FCバスの性能がアップすれば、私たちが思っている以上に早く、水素による生活が身近なものになるかもしれない。

水素を安全に使い真のCO₂フリーへ

SNSを使い、来場者と登壇者がリアルタイムで質疑応答を行うコーナーでは、水素爆発に対する不安や懸念がテーマになった。これについて小島氏は「トヨタ自動車のFCV『MIRAI』は、安全対策として『漏らさない・止める・ためない』を徹底しています。水素が漏れないようタンクと配管に強度・耐久性に優れた素材を使用し、万一漏れを検知した場合は直ちにタンクバルブを遮断するセンサーを搭載しています。また、設計段階から水素系部品を車室外に配置し、逃しやすい構造にすることで、安全を担保しています」と答えた。

『漏らさない・止める・ためない』の安全対策は水素を扱うときの基本で、水素ステーションやプラントにも共通する。小島氏は「FCVが普及することで水素の安全性が認知されれば、水素ステーション、水素プラントに対する懸念もぬぐい去られ、地産地消の水素社会の実現に一歩近づくと考えます」と続けた。

神奈川県川崎市では、臨海部で回収された使用済みプラスチックから水素を製造し、燃料電池によって市内にある「水素ホテル」の熱源や電源の約30%に充てる地産地消の試みがすでに始まっている。セブン-イレブンはトヨタ自動車と共同で燃料電池トラック(FCトラック)の実証を開始しており、将来的には水素ステーション併設の配送センターや店舗をハブにすることで、当該地域のCO₂排出量を大幅に減らすことを目標にしている。

真のCO₂フリー社会に必要なのは、風力や太陽光などの再生可能エネルギー由来で作られる水素と、運搬ロスを最小限に抑える地産地消の仕組みだ。次世代に生活しやすい環境を残すために、これからも地産地消の水素社会実現への挑戦は続く。

電力を供給!給電もできる

地球会議の会場でも、ミライがモニターや扇風機の電源を供給した

MIRAIは未来の発電所

トヨタ自動車のFCV「MIRAI(ミライ)」の特長は、燃料電池スタック(FCスタック)で発電した電力を、電源としても使えること。「ミライ」自体が大きな電池のようなものだと考えると分かりやすいだろう。

車両のCHAdeMO端子に直流/交流変換の給電器を接続すればスマートハウスや電気製品に電気を供給することができるため、災害時にも大活躍。供給可能電力量は約60kWh※で、これは一般家庭の消費電力量の約6日分に相当する。

※ 給電器で直流/交流変換後の値。給電器の変換効率、水素残量、消費電力により給電可能な電力量は異なる。

朝日地球会議 環境 その先へ 接続可能な社会の実現 The Environment and Beyond~Towards a Sustainable Society 公式サイトはこちら